家電製品ミニレビュー

家具の下にもスイスイ入り込むパナのスティッククリーナー「iT」が使いやすい!

 これまで様々なスティッククリーナーを使ってみたが、筆者の好みは、スタンド等がなくても床の上にポンッと自立させられるモデルだった。だが、自立するモデルの多くは、モーター駆動部やダストカップが本体の下方に配置されていたり、そうではなくてもヘッド部が太く大きく設計されていたりする。そうすると、タンスの下などの隙間にヘッド部を入れづらいというのがネックだった。

 そんなモヤモヤとした中で使ってみたのが、パナソニックのiT(以下:イット)。結論から言うと使いやすく扱いやすいモデルだった。これまでにないほど、こまめに部屋の掃除をするようになり、置いておいた居間に関しては、多い時には3〜4回、チョチョッと掃除機がけをする日もあった。

 なぜ、それほどこまめに使うことになったのか、レビューを通して伝えていこう。

パナソニック「iT(イット) MC-BU500J」
メーカー名パナソニック
製品名コードレススティック掃除機「iT(イット) MC-BU500J」
価格66,451円(Amazon)

 イットは、充電式のコードレススティッククリーナー。特徴的なのは、モーター駆動部やダストボックスなど核心部がコンパクトな設計のため、全体的なシルエットが非常にスリムな点。可能な限り無駄な出っ張りを排除した、スッキリとしたデザインが好印象だ。

本体を正面から見たところ。非常にスリムなシルエット
本体を横から見てもスラリとしたデザイン

 これまで筆者が重視してきた“自立”するかどうかに関して言えば、イットは自立しない。ただし、壁に寄りかからせる時に、壁に当たるハンドル部分には小さなラバーを配置。

 このラバーがストッパーとなり、多少ぞんざいに立て掛けても倒れない。その点では、自立するモデルでも、立てる際に慎重さが要求されるモデルよりも扱いやすい。掃除中に、クリーナーからちょっと手を離したい時でも気軽に立て掛けられるのだ。

ハンドルの裏側に小さなラバーが配置されている
多少ぞんざいに立て掛けても倒れない
ポイッという感じで立て掛けてもピタッと寄りかかっている

狭い場所でもスイスイ入っていく

 掃除機を使う際に面倒なのが、ノズルを変えなければいけないシチュエーション。掃除が上手な人は、上の方から下の方へなど、効率的に掃除していく方法を知っているのだろう。だが筆者の場合は直情的な上に、行き当たりばったり派なので、広い床を掃除しているのに狭いタンスの下が気になって掃除したくなったりする(後でやればいいのだが)。

 一方でイットの場合は、メインのノズル「床用ノズル(くるっとパワーノズル)」での掃除可能範囲が広い。そのヘッドは名前通り、「くるっと」手首をひねってヘッドを回転させると、それまで「T字」だったヘッドの形が「I字」に変わる。ヘッドを交換することなく、5cm幅の隙間にヘッドをスイスイと入れることができるのだ。

通常の「T字」の状態にしているヘッド
手首をくるっと回すと、ヘッドが「I字」になる
撮影のためにゆっくりと動かしているが、もっとズバッと「T字」から「I字」にトランスフォームできる
もう1つ特徴的なのが、T字ノズルが壁に当たると前部がガバッと開き、壁際のゴミをしっかりと吸い取れる「ガバ取り」構造

 ヘッドを変えることなく隙間掃除ができるのは、大きな時短につながる。特にキッチンや脱衣所など細かいデッドスペースが多く、隙間が多い場所ではなおさら。何より「めんどくさいなぁ。この隙間の掃除は今度時間がある時にやろう」などと、後回しにしなくてもよくなる。

 また同じ要領で、タンスの下の隙間にもヘッドをグイグイ入れられるのがうれしい。

 最初は、ヘッドを「T字」の状態でタンスの中を掃除してみたが、ゴミがうまく吸えない。そこで手首をくるっと回して「I字」の状態にして突っ込んでみる。すると、ヘッドが床にピタッと貼り付き、奥行き50cm弱のタンスの奥まで、しっかりと掃除できた。

タンスの下を掃除。前半は「T字」の状態で掃除しようとしたが、ヘッドが浮いてしまってゴミが吸えていない。後半は「I字」の状態を倒した形にして掃除している。ヘッド全面がピタッと床に貼り付き、ゴミを効率的に吸いとっている

 以上のように、メインのノズルを使うという条件下では、これまで使ったクリーナーの中で一番使いやすかった。また、ヘッドの向きを左右に変える際にも、少し手首を意識するだけでクネクネと軽快に方向を変えてくれ、あらゆる場所の掃除でストレスを感じさせない。

少し手首に力を入れるだけで、意のままにヘッドの向きが変わる

 筆者は、ほとんど「床用ノズル(くるっとパワーノズル)」しか使っていないが、他にも「すき間ノズ」と「ペタすき間ノズル」が同梱されている。窓の桟や階段などを掃除する場合には、これらのノズルに取り替えると、さらに掃除しやすい。

「すき間ノズル(写真左)」と「ペタすき間ノズル(写真中央)」が同梱されている
すき間ノズルに取り替えたところ
延長管を外すと、より細かい場所が掃除しやすくなる

2通りの持ち方ができ、場所に応じて持ち変える

 細かい点だが、ハンドル部が大きいのも使いやすさを向上させている。通常時はハンドルの端を持ち、ローテーブルの下などではハンドル上部を握れば掃除しやすい。もしかすると身長の違いによっても、ハンドルのどこを持つかで使いやすさが変わるかもしれない。

ハンドルを横から見たところ
通常はハンドルの端を持って使った
テーブルの下などを掃除する際にはハンドル上部を握った
ちゃぶ台の下を掃除する時も、ストレスなく掃除できる

ゴミの量に合わせて吸込み力を自動調整

 電源をONにすると「自動」運転でスタートする。これはゴミの量に合わせて、吸込み力を自動調整してくれるモード。ほかのメーカーでも同様のモードが用意されているが、本機では、センサーが検知してから吸込み力が変更されるまでのタイムラグが少なく感じられた。

 強モードでの運転時間は約10分だが、この自動モードであれば、1度の充電で10〜15分の掃除が可能になる。イットを使い初めて1カ月が経とうとするが、「自動」モードでの掃除に満足している。

ハウスダスト発見センサー。ゴミを検知すると光って知らせてくれる
ハウスダスト発見センサーと吸込み力の自動調整機能

メンテナンスのしやすさは標準

 掃除機で面倒な作業の1つが、ダストボックスに溜まったゴミの処理。本当ならワンボタンでボコッと処理できれば良い。イットは残念ながら、ダストボックスを本体から外し、大きく2つに分離させてゴミを取り出す方式。

ダストボックス下部にあるボタンを押して、本体からボックスを取り外す
ダストボックスの中央にあるボタンを押し2つに分割
ボックスを2つに分割すると、なかから大きめのゴミが出てくる
内部に付着するゴミは少なく、少し振るだけで、ほとんどのゴミが出てきた
ダストボックスの上部からフィルターを分離。小さなホコリが出てくる

 ゴミ捨て時には、やはり小さなゴミやホコリが辺りに散らばるので、もう一度周囲を掃除することになる。この点は、サイクロン式の宿命なので、今のところは諦めている。

充電台は改良の余地がありそう

 充電台は壁掛け式。交換ノズルをセットしておけるので、使えれば便利なのだろうが、物置などではなく部屋に設置するのは正直ためらう。

 ためらう理由の1つは、釘などを使って壁に取り付ける必要がある点。やはり賃貸では、壁に釘で取り付けるのは気が引ける。1度設置したものの、場所を変えたくなってしまっても釘留めでは、そうそう変更もできないだろう。

充電台を壁に取り付けてみたところ
本体を設置したところ。いずれにしろコード処理が難しい

 壁に設置する方式の充電台は、どのメーカーもそうなのだが、日本の住環境はあまり考慮されていないのかもしれない。できれば以前紹介した「突っ張り棒が落ちない君」のように、釘ではなく数十個のホッチキスの針で充電台を止められるようにするなどしてほしい。そうすれば、もう少し気軽に充電台を活用しようと思うだろう。

 また、充電台を使っても電源コードがダラ〜っと垂れてしまうので、スマートではない。おしゃれでもなんでもない筆者が指摘するのも気が引けるが、これはオシャレではない。やはり物置など、見せない場所で使う場合の充電台と考えた方が良いだろう。

 ちなみに、充電台を使わずとも、電源コードを直接本体に繋げることでも充電は可能。見た目を気にしなければまったく問題ないし、前述のラバーのストッパーのおかげで、立て掛けた本機が倒れたこともない。

充電台がなくても充電は可能

気になる点はあるものの、使いやすさはピカイチ

 吸込み力が若干弱く感じることもあるが、強モードにすればパワフルに吸引してくれる。また、デザインを優先させたためか、ダストボックスの中にゴミがどのくらい溜まったのかが判別しづらい。充電台については前述の通り。筆者が気になる点は、いくつかあるのも事実。

 そうした気になる点はあるものの、使ってみた1カ月弱の感想としては、間違いなくトップクラスの使いやすさだった。使っている時のストレスが少ないのが、その理由。そのため朝食後の出勤前に1回掃除し、夕食後にもう1回気になる場所をササッと掃除。休みの日には、さらに昼食後に掃除していた。

 振り返ると、特に食事の時に床に食べ散らかしてしまう、幼い子どもがいる家庭では非常に使いやすいコードレスクリーナーだろう。

河原塚 英信