趣味の節電道入門

第13回:電力会社の「でんき家計簿」は節電の役に立つか?

 節電道に入門したならば、電気使用量や料金を過去にさかのぼり確認できる「でんき家計簿」的なサービスを一度は使ってみるべきだろう。なぜ、「的な」サービスと書いたかというと、でんき家計簿は東京電力によるサービスの名称で、電力会社はそれぞれ別の名称で似たようなサービスを提供しているからだ(後ろに一覧を掲載しています)。

 各サービスでは、過去の電気使用量・料金の推移を一覧やグラフで表示、前年同月や同じ契約内容の世帯との比較が行なえる(サービスによって異なります)。名前には家計簿とあっても、自分でデータを入力する必要はない。むしろ一方的に送られてくる学校の通知簿に近いが、それだと嫌な記憶を思い出す人がいるから家計簿なんだろう、たぶん。

 毎月の「電気ご使用量のお知らせ」を欠かさずチェックするようになってしばらくすると、おおよその電気使用量を予測できるようになるんだが、それまでは使用量を把握するのに役立つはずだ。

 ダイエットで言うなら、まずは体重をはかり、今日は増えたのか減ったのか、また標準体重とどのぐらいの開きがあるかを確認するというような、基本の作業にあたるわけだ。ダイエットしたことないけど。

平均値はアテにならない

 でんき家計簿の場合、使用量のグラフには、同じ契約内容の平均値も表示される。だがこの平均値が、わが家の契約(東京電力の従量電灯B 30A契約)だと、かなり低く感じる。今年の6月は、160kWhを切っているのだ(料金だと5000円未満)。これは、日中ほぼ家にいない一人暮らし世帯も多く含まれるからだろうが、家族持ちや、自宅で仕事をしている世帯からすれば、「ずいぶん低いなぁ」と思うのではないだろうか。もちろん、違う生活スタイルの人や、契約によっては、平均値が高く見えるかもしれない。

 でんき家計簿のメニューを見ると、この問題を解決すべく、「使用量をみんなと比べる よく似たご家庭と比較」という新機能が追加されるようだ(原稿執筆時は「Coming Soon」となっている)。

 さらに、でんき家計簿では、節電に関する情報や料金メニューの比較・診断なども用意されている。節電アドバイスは一般的なもので、節電家の皆さんにとっては今さらといった感じだが、引っ越し手続きやカード払い、口座振替の変更など、各種手続きが行なえるのは便利だ。東京電力の場合、契約アンペア数によって基本料金が異なるので、電気代節約のための変更がネットで可能なのはありがたいのではないだろうか。

でんき家計簿のトップ画面。スマートフォンのブラウザにも対応し、Androidアプリも用意されている。ちなみに、かつては「電気のシェイプアップカルテ」という名前で、会員登録が面倒だったが、今はネットから簡単に登録できる
使用量のグラフ。水色が前年、青が今年の使用量。赤い折れ線グラフは、同契約内容の平均値を表している
「料金メニュー比較シミュレーション」。掃除や洗濯、エアコンの使用時間などを答えていくと、契約のプランを変更した場合の料金がわかる。わが家の場合、現在の契約がもっともお得なようだ

光熱費をトータルで記録できるサービスも

 でんき家計簿の最大の弱点は、2年分しかデータが見られないことだ。さらに長い期間、電気使用量を記録したいなら、「enervo(エネル簿)」というサービスを使ってみてはいかがだろう。

 「enervo」では、全国と住んでいる地域(都道府県単位)、住宅の種別(一戸建て、マンション、アパート)および一人あたりの成績(順位および偏差値)がわかる。ただし、エントリーされている世帯数がさほど多くないのと、このサービスを使うようなユーザーはかなり節電されている方なので、順位や偏差値はかなり辛めになる。ちょっと大げさだが、「中学校では優秀だったのに進学校の高校に入ったら凡人になってしまった」的な覚悟も必要だ。

「enervo」電気、ガス、灯油、水道のデータを記録でき、全国の登録ユーザーと比較できる。登録、利用は無料
毎月の入力が容易になるiOSアプリもある

 とにかく気になる人は一度使ってみるのが一番。下記に一覧を用意したので、お住まいの地域の電力会社のサービスを調べてみてほしい。

小口 覺