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清浄性能にこだわったスウェーデンの空気清浄機「ブルーエア」とは――CEOインタビュー

〜イオン放出や加湿機能を搭載するなんて考えられない
by 阿部 夏子
ブルーエアCEOのBengt Rittri氏と「ブルーエア 650E」

 空気清浄機の普及率は、ここ数年で飛躍的に上がっている。加湿機能付きや、イオン放出機能など、各メーカー工夫を凝らした製品を出しているが、その中でも異彩を放っているのが、スウェーデンの空気清浄機専業メーカー「ブルーエア」の空気清浄機だ。加湿機能やイオン放出機能は一切なし、空気清浄だけにフォーカスしている。

 現在、適用床面積39畳までの「ブルーエア 650E」、21畳までの「ブルーエア 450E」、12畳までの「ブルーエア 270E」の3機種がラインナップされており、実勢価格は順に119,700円、79,800円、54,600円。決して安いとは言えない本体価格に加え、内蔵のフィルターは半年に1回交換(毎日24時間稼働させた場合)する必要がある。日本メーカーの空気清浄機ではフィルター寿命を10年といっているところもある中で、独自の路線をひた走っている。

 今回、ブルーエアCEOのBengt Rittri(ベント・リトリ)氏にインタビューする機会を得た。ブルーエア製品の特徴や、考え方、さらには海外と日本の空気に対する考え方の違いなどを伺ってきた。

室内の空気をいかに早くきれいにするか

――最初にブルーエアの特徴を教えていただけますか。

 ブルーエアは、とにかく早くゴミを除去することにフォーカスしています。いかに早く、室内の空気を吸い込み、そしてきれいな空気を放出するか。それこそが空気清浄機の基本性能だと考えているからです。

――なるほど。ただ、ブルーエアは日本の空気清浄機とは違うアプローチで空気清浄を行なっていますよね。

 我々が何よりも力を入れているのは、内部のユニット(フィルター)です。確実にゴミを取り除くために、目の粗さが異なる3種類のフィルターを使っています。

――ブルーエアではフィルター寿命を半年としており、その価格も6,300円〜10,500円と高額です。その理由を教えていただけますか。

 私たちの製品は、吸引力が強いので、その分、集じん力が強い。つまり、フィルターもすぐに汚れてしまいます。一部のメーカーではフィルター寿命を10年と言っているようですが、それは私どもからすれば考えられないことです。フィルターに汚れが溜まれば、フィルターに溜まったバクテリアがそこで繁殖してしまう可能性があるし、通風量も少なくなります。

 他社メーカでは、2週間から1カ月に1回程度のメンテナンスを推奨していますが、みなさん、本当にそこまで手入れをされているでしょうか。自宅でフィルターの手入れをするにしても、初期性能が戻るまでに完璧にお手入れするのは難しく、空気清浄機の基本性能が失われてしまいます。

 価格については、フィルターの性能の高さや大きさが関係しています。私たちのフィルターはとても大きいですし、素材もたくさん入っている。日本製品に使われているフィルターと比べれば、違いは一目瞭然だと思います。半年で交換しなければならない代わりに日常でのメンテナンスは一切必要ありません。ここにも室内の空気の質を確実に維持したいというブルーエアのコンセプトが表われています。

ブルーエアの空気清浄機3機種。左から650E、450E、270E 本体内部には目の粗さが異なる3つのフィルターが内蔵される

性能やデザインは、日常生活に馴染むことが前提

ハイエンドモデル「650E」

――サイズについてはいかがでしょう。ブルーエアのハイエンドモデル「450E」(適用床面積21畳)は500×275×590mm(幅×奥行き×高さ)で、日本の製品に比べると大きめです。

 これは、空気清浄機という製品の性質が大きく関係しています。基本的に空気清浄機は、24時間つけっぱなしにして使うものなので、その運転音が不快なものであってはならない。

 ブルーエアでは、室内の風を吸い込む力を重視しているため、ファンが非常に大事なポイントとなります。本体サイズを小さくすると、その分ファンも小さくなって、音が大きくなってしまいます。たとえば、掃除機を考えてみてください。掃除機も吸引力を重視する製品ですが、本体サイズを小さくしているため、運転中はあのような音がしてしまう。

 素早い集じんと、快適さを両立させるためには、あの大きさが不可欠なのです。

――ところで、ブルーエアではシンプルでありながら力強さを感じるデザインも印象的です。スウェーデンの企業では家具メーカーのIKEAやアパレルのH&Mを始め、デザイン性の高さが評価されている世界的な企業も多いです。デザインにこだわるというのはスウェーデンの企業の特徴なのでしょうか。

 スウェーデンは、冬が長く、家で過ごさなければならない時間が長いのです。そのため、自宅での時間を大切する思考が強いのかもしれません。過度な装飾のあるものよりも、シンプルで、純粋なデザインが好まれる傾向が強いです。ブルーエアのデザインは専属のデザイナーに任せています。

アメリカシェアNo.1を誇る自信

――最近では、日本でも空気清浄機の普及率はかなり高くなっていますが、アメリカやヨーロッパでは空気に対してどのように考えているのでしょうか、また空気清浄機は普及しているのですか。

 アメリカとヨーロッパでは空気に対する考え方は全く違っています。アメリカでは空気清浄機の普及率はすごく高く、空気が汚れているならそれを自分たちでなんとかしなければならないという意識が浸透している。

 一方、ヨーロッパでは空気の汚れが問題になった場合、まず住環境や地域の問題など、政府に責任を追及します。そのため、空気清浄機の普及率は低いのですが、最近は少しずつ考え方が変わってきているようで、ヨーロッパのある国では過去2年で空気清浄機の売り上げが2倍になったところもあります。

 また、ここ数年アメリカでも空気清浄機への考え方が変化しているようです。以前は、とにかく空気清浄機を手に入れて使うことが大前提として捉えられていましたが、最近はその性能に関心が集まっています。そこでブルーエアのような効果が検証された高級機種に人気が集まっています。アメリカの高級機種市場においては、ブルーエアがシェアNo.1を占めています。

研究室で行なうボックスの中での実証実験は意味がない

――一方、日本の空気清浄機は、ブルーエアとは全く違ったアプローチで製品を作っています。たとえば、除菌・脱臭効果のあるイオンを放出するというのもその1つですが、それについてはどうお考えですか。

 ウイルスやバクテリアを無力化させるというのは、確かに大事だと思いますが、イオンだけでそれらの働きを無にすることはできないと思います。私たちの製品は、花粉や室内のアレル物質に対する効果をアメリカのテストで証明済みです。日本で行なっている実証テストは、研究室の密閉された小さな箱の中で行なっていますよね。その中で、除菌効果があった、空気がきれいになったと言っても、それは実生活では無意味なことです。

 私たちが実践しているテストは、アメリカの環境保護庁が行なっている製品テストで、実際の生活空間に近い環境で行なわれるものです。細かな規定のある厳しいテストですが、ブルーエアはそこで結果を出している。特にアメリカの市場においては、このテストで結果を出すことが非常に重要です。

 事実、アメリカの消費者アンケートでも、高い評価を受けています。評価の高い空気清浄機トップ10の中に私たちの製品が3つ入っていました。一方、日本製の空気清浄機はトップ15の中にも入っていません。この結果が、製品の性能を表していると思います。

――なるほど。それではアメリカにおいてはイオン放出機能を搭載した空気清浄機というのは存在しないのですか?

 いや、何年か前にはありました。アメリカの空気清浄機市場で大きなシェアを占めるメーカーが売り出して、一時は200万台近くを売り上げました。しかし、ある雑誌がイオンの有効性に疑問を持った記事を書いたところ、ユーザーからの問い合わせが相次いで、そのメーカーは結局倒産してしまったのです。

――もう1つ、最近の日本の空気清浄機の多くは加湿機能を搭載しています。ブルーエアでは加湿機能などを搭載する予定などはないのですか?

 とんでもないですね。水分というのはバクテリアの大好物です。それをフィルターと一緒にするなんて考えられません。空気清浄と加湿は、相反するもので、空気清浄機に加湿機能を載せるということは矛盾しています。加湿トレイで増殖したカビ菌を部屋中に放出することになる。加湿したいのであれば、空気清浄機とは別の製品を使うべきだし、我々の製品に加湿機能をプラスすることもあり得ません。

――本日はありがとうございました。






2012年2月16日 00:00