藤山哲人の実践! 家電ラボ

日本は食洗機後進国!? 食洗機を使った方がいい理由、しっかり説明します

日本は食洗機後進国!? 食洗機を使った方がいい理由、しっかり説明します

 先日パナソニックから「面白い工場見学があるけど来る?」という話しが舞い込み、早速行ってきた。訪れたのは、滋賀県の草津工場! エアコンや冷蔵庫なども作っている工場だ。

滋賀県にある、パナソニックの草津工場

 ロケーションは、琵琶湖の南側の広大な土地。パナソニックの工場群があり、その敷地内の交差点は元の社名を取って「松下中央」なんてネーミングされているほど。

 東京から京都方面の「のぞみ」に乗っていると、新幹線が京都駅停車で減速し始め「We will soon arriving at KYOTO」とかいうあたりだ。DE席の車窓前方に琵琶湖と比叡山が見えたところで、ABC席側を見るとだいたい工場あたり(笑)。

 今回見学させてもらったのは、食器洗い乾燥機。通称「食洗機」だ。なかでも、あらかじめ建てつけになっているビルトイン食洗機のラインを視察。あわせていろいろな実験なども見せていただき、理系の筆者は大興奮(笑)。

 でも世界と比べると日本は食洗機途上国にあることを知り驚いた。普段は見ることができない工場内部を、みなさんと一緒にバーチャル見学していこう!

キッチンに据え置き式のビルトイン食洗機。いまやこちらが主流で、卓上型の4倍出荷されている
デジタル家電と違って、製造工程が品質を大きく左右する白物家電。ジャパンクオリティは白物家電ではとくに武器になる

お母さん必見! 食洗機で子どもを怒る回数が激減!?

 食洗機の工場見学がメインなのだが、パナソニックでクソ面白い実験を見せられて、実験おじさんの筆者はとても悔しい思いをしたので、まずこれから紹介しよう。

 2つのビンに入っているのは、おかゆ状のお米。これらに、それぞれ食洗機用の洗剤と、手洗い用の洗剤を入れて、よくかき混ぜてみる。

 するとどうだろう? 手洗い用洗剤を入れたお米は、相変わらずベトベトで振るとビンのフチに液がドローリと付着する。一方で、食洗器機の洗剤を入れたお米はシャブシャブになって、カルピスウォーターみたいな感じ。

まだ洗剤を入れていない状態。ノリ状になっているお米
左の食洗機用洗剤を入れたものは色が少し黄色くなり、ノリ状がシャブシャブになった。右の手洗い用洗剤は、きめ細かな泡が立つのみでベットリとしたまま

 この違いは2つある。ひとつは手洗い洗剤は泡立てをよくして、洗剤の成分が長く洗いものにとどまるようにしているのだ。でも成分は昔ながらの石鹸成分が中心で、あまり進化していないというのが現状だろう。洗剤メーカーに肩代わりをすれば、お皿の油は落とすが、手の脂分は落とさないなんて、都合のいい洗剤が作れるワケがない! と叫びたいところだろう。

 しかし食洗機用の洗剤は、ほとんど泡立たない。なぜなら食洗器は、常に洗剤の混じった水を器内で噴射しているから、「お皿に長くとどまらせる云々とか、きめ細かな泡立ち」は不要というわけ。

 しかも手で触らないから、油分を分解する強い成分を入れられる上、手荒れの原因になる漂白成分も入れられる。そりゃ、よく汚れが落ちる洗剤を作れますわ……。

食洗機用の洗剤は食洗機と合わせて使うことで、どちらも最大のパフォーマンスが引き出せる相乗効果を持つ。かたや手洗い用の洗剤は、昔ながらの石鹸成分が中心

 さらに決定的に異なるのが、「米(でんぷん)を分解する酵素」が入っているか否かだ。ごはん茶碗を手洗いするときを思い出して欲しい。普通なら洗剤をつけて、ちょっと力を入れてスポンジで擦れば、ノリ状のごはんは取れる。

 でも子どもがシンクに置きっぱなしにして、翌朝まで放置してあったごはん茶碗のカピカピお米はなかなか取れない。結局その場で洗うのをあきらめ、水に漬け置きして、あとで子どもに「食べ終わったお茶碗は水の中に入れろ! って何回言ったらわかるのよっ!」とブチ切れるのが、ほのぼのとした一般家庭だ。

食洗機の水流の噴射は、垂直で2mまで飛ばせるほど強い。お風呂のシャワーを天井に向けて、水栓全開にしてもなかなか2m(床から天井まで)飛ぶ家庭は少ないはず

 さて食洗機自体は水圧で洗浄するので、ごはん茶碗についているノリ状のお米も、カピカピのお米も実は超苦手(洗剤を入れないでごはん茶碗を洗うと、ぜんぜん取れないので、苦手ってのがスグ分かる)。つまり食洗機は、ごはんの汚れを、食洗機じゃなく洗剤が落とすのだ。

 そう、食洗機があれば、ごはん茶碗が一晩経とうと問題なし! 米(でんぷん)を直に分解するので、漬け置きする手間もイライラしながら家族を教育する手間も省ける。

お父さん必見! 食洗機で洗ったグラスで飲むビールは旨い!?

 こちらは酒好きのお父さんにぜひ見てもらいたい実験。片方のグラスは、フツーに手で洗ったもの。もう一方は食洗機で洗ったもの。この2つに同じようにビールを入れてみると(泡立てるのにちょっと大げさに実演中)どうなるかっ!

いつもより泡を立ててついでおります! さて、コップの違いでビールはどうなるのか!?

 「えーーーーーーーっ! マジで!」「はい、マジです」なんと食洗機で洗ったグラスの方が泡立ちが、まったくと言っていいほど違ってくる。

 ドラマや映画、本物でもちょっと高くてオシャレなバーに行くと、バーテンダーさんが曇りひとつないように、グラスを磨いている。あれは伊達でも演出でもなく、グラスの中に汚れや水道で洗ったときのカルシウム分などが残っていると、ビールの泡立ちが悪くなったり、お酒の味や風味を壊してしまうからなのだ。

入れたてはそれほど変わりなし。でも左側の食洗機で洗ったグラスのほうが、泡がきめ細かいような……。右側はいつも飲んでるビールだな(笑)
しばらくすると……なんじゃ! この違いはっ! グラスの洗い方ひとつで、ここまでビールが違ってくるのだ! 「確かに店で飲むやつは、左側だわ~」改めて気づかされた

 とくに手洗いしてグラスを拭かずに、水が付いたまま自然乾燥させると、水道の塩素やカルシウム分がグラスに残って、うっすら水玉が見えるなんてことも。長年手洗いすると、トイレのガラス窓? ってぐらいに曇りグラスになっちゃうほど(笑)。

 その点食洗機で洗ったグラスは、拭かなくてもピカピカに。詳しい原理は分からないのだが、おそらく80℃近い熱いお湯で洗浄するため、キレイにふき取るのと同じほど、キレイに水分が蒸発するからだろう。

コラム:業務用のガラス食器用食洗機

 硬度が高い水で洗うと、マグネシウムやカルシウムの水滴痕が残ってしまう。そこで業務用のガラス食器用食洗機では、特殊フィルターで不純物を取り除き、「超軟水」(コンタクトレンズ用の純水って言ったほうが早いかも?)で洗浄している。

 ただし飛行機の機内食を提供するケータリング会社の「超」業務用の話(笑)。でも水滴痕が許せない! という場合は、水道水の軟水よりさらに硬度が低い超軟水で洗ってみるといいかも?

 食洗機で洗ったグラスなら、ホテルやバーで飲むビールのように、きめ細かい泡が長い時間ビールを覆う本格的な味が楽しめるのだ。

 もちろん他のお酒もおいしく飲めるだろうし、なにより曇りのないキレイなお皿に盛ればおつまみもいっそう旨くなる。

【無駄な】手洗いが食洗器にかなうわけがない!【努力】

 手ではぜったい落とせない汚れを軽々落とす食洗機。ほかにも絶対人間の手洗いでは敵わないところが、まだまだある。

 1) ヌルヌルが残らない!
 2) お皿真っ白!
 3) 病原菌を死滅!
 4) 超! 節水できる!

1) ヌルヌルが残らない!

 手洗いだとどうしても残ってしまうのが、油汚れのヌルヌル。タッパーやお弁当箱など、プラスチック系のヌルヌルはなかなか落ちない。結局、多少のヌルヌルには目をつぶるか、洗剤を倍使って2度洗いするかのふたつにひとつ。

 でも食洗機なら、油を分解する酵素が入った洗剤かつ、油が余裕で溶け出す70~80℃のお湯で洗うので、まったくヌルヌルが残らない。ジップロックコンテナーをたくさん使う、ご家庭に超オススメしたい。

食洗機の温度

2) お皿真っ白!

 食洗機を使っている人は当たり前なのだが、そうでない方は驚きなのが、白い食器がズーット使ってても真っ白な件。手洗いだと、何カ月かすると茶渋みたいな色がうっすら付いてきて、1年おきぐらいに漂白している人も多いだろう。

 でも最近の食洗機の洗剤には、漂白成分も入っているので、何カ月使っても、何年使っても真っ白いお皿は真っ白のままなのだ。手洗いで細々漂白していたら、手が荒れて大変なことになるので、食器洗いオンリーの強み。それ以前に手洗い洗剤は、油汚れは落とすけど、手はカサつかないなんて、相反する要求に応えなきゃいけないんだから、条件が厳しすぎ!

3) 病原菌を死滅!

 とにかく食器や調理器具、まな板などはばい菌の牧場と言っていいほどだ。夏の時期は特にヤバい。それもあって赤ちゃんの口にするものなどは、ミルトンなどの塩素系漂白剤を使って除菌する。でもしっかり「すすぎ」をしないと、塩素もまた毒であることを忘れている人も多いのでは?

 ほかにも除菌するには、加熱という方法がある。たいていのばい菌は、たんぱく質が変質する60℃以上で加熱すれば滅菌できる。その点70~80℃というお湯で数十分洗う食洗機なら、熱に強い特殊なばい菌を除けばほぼ死滅できる。すすぎから乾燥まですべてやってくれるので、塩素のようにすすぎの手間もかからない。しかも残留物質もないのでばい菌対策には食洗機が最強!

4) 超! 節水できる!

 最後は食洗機にすると水道代が目に見えるほど安くなる点。手洗いだと水をかなり絞っていても、家族4人の食器を1回洗うのに使う水は83Lほど。ジャブジャブ使う人だと最大200Lにもなるという。お風呂の水がだいたい200Lなので、お風呂1杯ほど使っている計算だ。しかもガス給湯器を使ってお湯で洗っているとしたら……。光熱費がお高いわけだわ……、奥さん!

 でも食器洗いの場合は、水を循環させるので1回に使うのはたった9L。もちろん洗いとすすぎを含めた水の量だ。

 仮に1日に2回食器を洗うとして、1カ月でどれだけ節水できるかを計算すると、4,416Lの水が節約できるという計算だ。お風呂の水に換算して22杯ぐらい。それほどまでに食洗機の節水力は凄まじく、水道代を浮かせられるのだ。

手洗いと食洗機の水量比較

 ただ水温を80℃まで上げるのにヒーターを使うため若干の電気代はかかる。とはいえ給湯器を最高温度の60℃にセットしておけば、浮いた水道代で十分ペイしておつりが来るという点も補足しておこう。

【悲報】日本は食洗機「超発展途上国」【ガラパゴス再び!】

 目を海外に向けると、日本は涙が出るほど食洗機の超発展途上国であることを思い知らされる。次の図は世界の食洗機普及率を年次のグラフにしたものだ。

食洗機の普及率。日本は3割に満たない

 日本での普及率は2016年現在で28.4%。が! EUやアメリカを見ると、のきなみ70%ぐらい普及している。海外の一般家庭を訪れた人や、コンドミニアムのようなホテルに宿泊した経験があればご存知の通り。先進諸外国の多くのキッチンはビルトイン食洗機が建て付けられている。ビルトイン食洗機が付いてない物件は、日本人の感覚からすると、風呂なし物件と同じ感覚だろう。

 世界的にみると付いてて当たり前のような食洗機。先進諸外国での普及率は、スマホの所有率とほぼ同じ7割だ。つまり食洗機の普及率3割以下という日本は、世界からみると「あの国、いまどき食洗機もってないんだって!」とささやかれてしまうほど、他の先進国から遅れちゃってるってワケ。まさにガラパゴス!

 筆者が思うに、普及していない原因にはいくつかる。

 1) 「手洗いは美徳」という古い考え
 2) 女性の社会進出が遅かった
 3) 少ないから手洗いの方が早い
 4) 予洗いが面倒という人が多い

 1、2は社会的な影響が大きい。今でこそ「うちはロボット掃除機まかせ」という世帯も増えてきたが、こと食に関しては「自分が手を動かすことが美徳」という考えが日本にある。

 たとえばインスタントラーメン。日本より世界が相手の日清カップヌードルは、お湯を注ぐだけで食べられる。でも他メーカーのほとんどのカップ麺は、具材とスープが袋で別入りになっていて、ちょっとだけ調理(袋から出すだけ)するようになっている。

 とあるテレビ番組でやっていたが、アメリカではオーブンに入れればそのまま食卓に出せる冷凍食品が主流だが、日本ではひと手間なにかを加える(たとえば、薬味を後のせしたり、何か切ったり、混ぜたりする)ものが主流だ。それは手間なしの冷凍食品にしてしまうと、売れないからなのだという。

 女性の社会進出うんぬんと言われなくなり、当然のように男女がともに働くようになった昨今、この意識は徐々に変わっていくハズ。だが、いまだに頭のどこかに「食器洗いはお母さんの仕事」という意識、もはや意識下のDNAレベルで染み付いているのかも知れない。

食洗機の歩み

 3の食器が少ないから手洗いの方が早いというのは、食洗機がある程度「慣れ」が必要という点だ。日本はいろいろな形や深さの食器を使うので、外国に比べると食洗機にうまく入れるのは、ちょっとしたパズル感覚。「いちいち置き場所を考えるぐらいなら手で洗ったほうが早い!」となってしまうのだ。

 でもいつも使う食器なんてたかだか知れたもの。パターンさえ掴めば、手で洗うよりよっぽど早く、食洗機に食器を入れられる。なにより「食器洗い(に入れるの)はお父さんの仕事」としてしまえば、女性より空間認識力があるといわれる男性やパズル大好きお父さんは、喜んでやってくれるはず。っつーか、うちは食洗機に入れる係が、このボク! 筆者だ!(笑)。

 また、パナソニック独自の省エネ機能「エコナビ」搭載モデルでは、食器の点数や汚れ具合によって水量も自動で調節される。食器が少なくても、ムダなく運転できるという訳だ。なおエコナビ非搭載の場合でも、少量コースが備えられている。

エコナビ搭載モデルは、食器の点数や汚れ具合に応じて水量が自動調節される

 4の予洗いについては、最近は洗剤の能力が格段にアップしているので、予洗いしてもしなくても仕上がりはほどんど変わらない。どうしてもやらなきゃならないのは、食べ残しを三角コーナーに破棄するぐらい。あとはカレーがべっとり付いていようと、ステーキの油まみれになっていようと、新聞紙で拭いたり、ましてや軽く手洗いなんてする必要はない!

 なんか今回は、食洗機親善大使みたいになってしまっているが、いろいろ誤解されているような部分もあるので、まずそこから紹介してみた。

手洗いにない噴射

一度使うとやめられない食器洗い乾燥機の製造工程を見てきた

 クソ長い前置きだったが、いよいよ工場見学をしてみよう。現在卓上型の食洗機は、ほとんどが海外で組み立てられているものがほとんど。なぜなら、食洗機のお試し版のような形で、エントリーモデルとされる場合が多く、価格がシビアになってくるためだ。

シェア推移

 今回見せてもらったのは、ビルトインタイプの食洗機。卓上型と違い、食洗機の良さをあらかじめ知っていて、家を建てるときなどに建て付けて末永く使うものだ。それゆえ品質が問われる製品ともいえる。

 また2003年ごろは卓上とビルトインが半々というシェアだった。しかし今年は、卓上1に対して、ビルトインが4倍となっている。おそらく食洗機のエントリーモデルを使った人が、「食洗機は必須! 家を建てるなら置き場に困らないビルトイン!」と、徐々に卓上からビルトインにシフトしているものと考えられる。

 そのビルトイン食洗機は、まず1枚の鉄板を加工することからはじまる。

1.鉄板のロールをプレス機にセット
2.何段階かにわけてプレス・穿孔加工をする金型。これをプレス機にセット
3.プレス機で部品を打ち抜いて形作る
4.プレス加工した鉄板をロボットアームが次の曲げ機にセット
5.ほかに必要な部品もプレス機で加工する。一度にプレスするのではなく、何段階も経てようやく部品となる
6.ほかにもユニット単位で必要な部品を調達。青や緑のコンテナに入っているのは、すべて必要な部品だ
7.すべての部品が揃ったら最終アッセンブリ(組み立て)ラインに
8.食洗機内部の底部。取り付けているのはヒーターユニット。裏返して、おそらく心臓部のポンプユニットを取り付け
9.各工程のネジ止め作業は、デジタルカウンターがセットされている。これには、あと何本ネジを打たなければいけないかの数が表示され、作業ミスを防止する。写真は場所Aに残り1本、場所Bに残り3本のネジ打ちが必要
10.電線の束(ハーネス)の取り付け工程
11.水の循環経路工程の組み立て。ここにもネジカウンターが。水系の部品だけに1+7本のネジでしっかり固定
12.隣の工程は底部のカバーを取り付け
13.コントローラユニット(マイコン)の最終組み立て、製品のパレットに載せる(取り付けは別工程)。水を通すホースなども付いた
14.ノズルの取り付け+内側カバーの取り付け。コントローラユニットはパレット左側に乗ったまま
15.循環系のホースの取り回し
16.筐体にさびないステンレス製のスライドレールを取り付け
17.先に組み立てた食洗器ユニットをスライドレールにはめて梱包。もちろんマニュアルもれっきとした部品です!
生産予定数と実績などの電光パネルで作業の進み具合や、ペース配分を調整。このラインではおよそ1日500台の生産が可能だ

 製造工程を見ていて関心したのは、ネジの締め忘れがないように、各工程で締めたネジの本数を自動カウントするシステム。

 一般的な家電と違い、ネジの締め忘れは密閉性を左右するため、直接水漏れなどにつながる。それゆえ厳しく管理しているのが印象的だった。

画面中央、デジタル数字の下段に注目。この工程では7本のネジ打ちが必要で、ネジ止めをしていくと、カウンタの数字が減る
0になればネジの締め忘れなしということ

 また数工程ごとの部分検査も厳しく行なっていた。中でも水が通るラインは、エアーを入れて空気漏れがないか(気圧が下がらないか?)を厳しくチェック。その検査工程は機密として撮影できないぐらいなのだ(笑)。

おまけ:えっ! 生まれる前からあったの!? 食洗機ヒストリー

 工場には、パナソニックの食洗機の歴代モデルが展示されていたので、あわせてご紹介しておこう。なんとその歴史は、筆者をはじめ読者のみなさんもほとんど生まれていない、1960年の3月に始まるのだ!

ズラリと並んだ歴代の食洗機。意外とその歴史が古いことに驚く

 一般公開されていない展示物だけに、見る機会もほとんどないだろう。「あ! これ家にあった!」的に見て欲しい。

1960年製:初代食洗機
一人暮らし用の縦型洗濯機ほどもある食洗機。もともと洗濯機事業部が作ったので、洗濯機みたいな形になったんだとか
1968年製:卓上食洗機
9年かかってここまで小型化! 丸っこいデザインと、半分が透明でロボットの頭みたいなのが、未来的なデザインだったはず
1969年製:ビルトイン(床置き)式食洗機
どう見ても洗濯機(笑)
でも当時の大きな部品なのに、モーターやポンプなどが底面に収まっているのは凄い!
1978年製と1999年製:ビルトイン(床置き)式食洗機
1978年製。ビルトインと呼べる大きさに小型化
1999年製。ようやく現代のビルトイン食洗器になった
1986年:卓上型食洗機
前作の卓上型からおよそ20年して現代の食洗器っぽく! 時代はバブルまっさかり
LED+パッチボタンでコンピュータの最先端感があったころ
愛称は洗濯機からとった「キッチン愛妻号」! なつかしっ!
1999年:薄型卓上食洗機
ここまでくると、もう現行モデルと大差ない感じ

お母さんを食器洗いから解放してあげる日本へ!

 食洗機の普及率は、世界に比べまだまだ低い日本。しかし日々進歩する食洗器本体に加え、洗剤の力も加わったシナジーで、手洗いをはるかに越えるキレイさ、便利さ、安全を手にできる。

 みんなで日本のお母さんを食器洗いから解放してたい! という願いを込めて、ますますの普及を願いたい。

藤山 哲人