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Jackeryの「ちょうどいいポタ電」非常時でも冷凍庫は何時間動く? 太陽光で節電にも

ポータブル電源とソーラーパネルのセット「Jackery Solar Generator 600 Plus」を実際に使ってみた

じわじわと電気代が上がってきている昨今、この流れを断ち切るには各家庭で積極的に何らかの対策をとる必要があるように思う。太陽光発電システムを導入する、なんていう方法もあるけれど、さすがに大がかりで時間も手間もお金もかかる。それよりももっと手軽に始められる効果的な対策としておすすめしたいのが、ポータブル電源と小型のソーラーパネルだ。

ポータブル電源で知られるJackeryは、オレンジ色が印象的なデザインでもおなじみ。2023年に発売された「Jackery Solar Generator 1000 Plus」は、家電 WatchとGetNaviによる読者投票で決定した「家電大賞2023-2024」のアウトドア・防災家電部門でも金賞を受賞している。

特に本日4月22日に発売されたJackeryの新製品「Jackery Solar Generator 600 Plus」と「Jackery SolarSaga 40 Mini」は、サイズ感や使い勝手などの面でも、ポータブル電源を使って日常生活を便利にしつつ、節電に取り組みたい人にぴったり。発売のひと足先に製品を借りてみたので、なぜぴったりなのかの理由を、実際に使いながらお伝えしていきたい。

中容量電源&ソーラーパネルのセット「Jackery Solar Generator 600 Plus」

「Jackery Solar Generator 600 Plus」は、ポータブル電源本体である「Jackery ポータブル電源 600 Plus」(以降600 Plus)と、ソーラーパネル「Jackery SolarSaga 100」の2つがセットになったもの。

どこでも家電やデジタル機器などが使える便利さと、上手に活用すれば電気代ゼロでも運用できるエコな生活の両方をすぐに体感できる製品だ。価格は119,800円。

600 Plusは、定格出力800Wで容量632Whという、ポータブル電源としては“中くらい”のモデル。もちろんバッテリー容量は多いほど安心だが、容量が増えれば本体も大きく、重くなり、持ち運ぶよりは据え置きの使い方がメインになる。その点、600 Plusは片手で持ち運べるサイズに、適度な容量を備えているのがポイントだ。

「Jackery ポータブル電源 600 Plus」

Jackeryのラインナップのなかだと、このクラスでは初となるリン酸鉄リチウムイオン電池を採用している。手頃なサイズと価格、かつ長寿命なポータブル電源を求めていた人にとっても待望の製品となる。

容量が“中くらい”とはいえ、出力ポートの数と種類はバランス良く揃っている。100V対応のAC出力は2つあり、合計出力は800W(瞬間最大1,600W)。DC出力は12Vのアクセサリーソケット1つ(最大120W)と、USB Type-Cポートが2つ(最大100Wと30W)、Type-Aポート(最大18W)が1つの計4つある。

100V対応のAC出力は2つ
小さくて片手で軽々と持ち運べるサイズ

停電しても安心な瞬時に電力供給「UPS」 1台で冷凍庫どれくらい使える?

ポータブル電源の役割の1つとして「緊急時や災害時のバックアップ電源になる」ことも大きい。落雷や地震などで、もし停電になっても、容量の大きいポータブル電源があれば重要な家電を長時間稼働でき、インフラが復旧するまで普段通りに近い生活ができる可能性が高まるからだ。

その意味で「Jackery Solar Generator 600 Plus」は、単にバックアップ電源として使えるというだけでなく、他にも2つの側面から緊急/災害時に役立つ機能を備えている。

1つは、600 PlusがUPS(無停電電源装置)代わりになる機能。たとえば外部電源(宅内の電源コンセント)と600 Plusをつなぎ、そこから冷蔵庫に接続したとする。このとき、普段は外部電源から600 Plusをスルーして直接的に冷蔵庫に供給するが、いざ停電が発生したときには瞬時に600 Plus本体からの給電に切り替わるようになっているのだ。

電源コンセントから600 Plusに給電しつつ、冷凍庫をつないだ状態
停電する(ここでは壁面コンセントから抜く)と瞬時に600 Plusからの給電に切り替わる

通常、停電後もそのまま放置していると、電源が切れて冷蔵庫内の食材がすぐにダメになってしまう。けれど、普段から冷蔵庫の電源を600 Plus経由にしておけば慌てずに済む。600 Plusの電力が尽きるまでしっかり保冷してくれるので、停電がある程度長引いてしまったとしても大切な食材を守れるはずだ。

では実際にどれくらい保冷してくれるものなのか、今回は、筆者宅に設置している中型(定格内容積142L)の冷凍庫で、停電を想定して何時間稼働し続けるか試してみることにした。冷凍した食品は、一度解けてしまった後に再び凍らせると味も品質も大きく落ちてしまう。それを避けるために、このコンパクトな1台でどれくらい耐えてくれるのか実証していく。

大容量142L、上開き式で直冷式の冷凍庫を何時間稼働し続けられるか、実験。冷凍庫の本体サイズは632×550×850mm(幅×奥行き×高さ)で、定格消費電力60W、年間消費電力は245kWh/年のタイプだ

この冷凍庫の定格消費電力は60Wだが、電源投入時はそれより大きな電力を消費することがあるようだ。今回の場合は電源投入時に600W近くにまで達したものの、600 Plusは定格出力が800Wなので問題なし。時折内部の冷却が必要になるタイミングで55W前後を消費していたけれど、大半の時間帯は0W、つまり電力をほぼ使わなかったので、こうしたやや大きめの冷凍庫でも長く稼働させられそうだ。

電源投入直後は600W近くまで上昇した
その後は数十分間隔で0Wと55W前後になるのを繰り返した

停電時でも中身を取り出したくなることがあるだろうと仮定して、1時間に1回、20秒間ずつ冷凍庫の扉を開け放つようにした(再冷却が必要になるようにした)。それでも、600 Plusのバッテリー残量が50%に減るまでちょうど6時間。0%までフルに使い切るとすれば12時間程度はもつ計算になる。置き場所にあまり困らない“中くらい”サイズのポータブル電源で、ここまでもつんだな、というのがわかって安心できた。

最近だとメインの大容量冷蔵庫とは別に小型のセカンド冷蔵庫を設置している家庭もあるだろう。大容量の冷蔵庫だと電源投入時の突入電力が600 Plusの定格800Wを超えてしまい使えない可能性もあるが、コンパクトなセカンド冷蔵庫であれば600 Plusでも余裕で電力供給できたのが分かった。停電などの緊急時には、必要最小限の食料品をセカンド冷蔵庫に移して、それを600 Plusで稼働させるのも賢い運用方法かもしれない。

冷凍食品や、作り置きの料理などをしまえるセカンド冷凍庫は、非常時もなるべくなら電源を落とさず使い続けたいもの

停電したときに外部電源から600 Plus本体による電力供給に切り替わるまでの時間は約20msとのこと。本格的なパソコン用UPS機材と完全に同等とまではいかないけれど、試しに小型のデスクトップパソコン(電源は120WのACアダプター)で使用してみたところ、無事瞬断にも耐えて稼働し続けた。停電で作業中のデータが消えてしまうことも防げそうだ。落雷が予想される日などには、万が一の停電に備え、600 Plusをパソコンにつないでおくのもいいだろう。

デスクトップパソコンの稼働中にコンセントからの電源供給を絶ってみたが、一瞬で600 Plusからの電力供給に切り替わり稼働し続けた

冷蔵庫やパソコン以外でも、例えば熱帯魚など水槽の生育環境を守る機材のように、家庭によっては「どうしても電源を落としたくない家電や機器」はあるかもしれない。こうした家庭にも助けになってくれそうなのが、UPS機能のついたポータブル電源の良さだ。

同梱ソーラーパネル、さらに別売ミニソーラーパネルで充電コストゼロも

先ほどは冷凍庫につないで、災害を想定した使い方をテストしてみたが、もう一つの緊急/災害時に役立つ機能は、同梱のソーラーパネル「Jackery SolarSaga 100」でポータブル電源本体やデバイスの充電ができること。

同梱のソーラーパネル「Jackery SolarSaga 100」

停電してしまうと、当然ながら600 Plus自体を充電する方法がなくなってしまい、本体に残っている電力を使い切ってしまえばそれっきりだ。でもソーラーパネルがあれば、太陽が出ている時間帯である限り600 Plusに給電して稼働時間を延ばすことができる。

SolarSaga 100の最大出力は100Wなので、電源コンセントに比べて充電にかかる時間は長くなるが、電気代がかからずに電力が得られるのは明らかにメリットだ。停電したとき、もし日中時間帯ならできる限りその直後からソーラーパネルを接続して給電しつつ使用する形にすれば、より長時間稼働させられるだろう。

ソーラーパネルで充電しながら使えば600 Plusの稼働時間を延ばせる

もちろん緊急時でなくても、普段から600 Plusの充電をソーラーパネルに頼るのもアリ。宅内の電源コンセントを使わないので節電になり、クリーンでエコなエネルギーとして活用していける。

ちなみに、電力を必要としているのがパソコンやスマートフォンのようなデバイスであれば、600 Plus本体ではなく、ソーラーパネルからそのデバイスに直接給電してもいい。ソーラーパネルにはUSBポートを備えた「多機能アダプター」が装着されており、そこから最大18W(Type-Cポート)と最大12W(Type-Aポート)で電力を取り出せる作りになっているのだ。

別途USBケーブルを用意して、背面にある「多機能アダプター」からデバイスを充電可能

そして600 Plusと同じタイミングで登場した別売の小型ソーラーパネル「Jackery SolarSaga 40 Mini」にも注目したい。折りたたんだときのサイズが約252×300×30mmと、13~14型のノートパソコン並みに超コンパクトで、手に持って軽々と持ち運べるのだ。価格は17,900円。

ソーラーパネルというと、特定の場所で据え置きにするか、車で運ぶ大きな荷物というイメージがこれまで強かったかもしれない。Jackery SolarSaga 40 Miniのサイズなら「ソーラーパネルをどこにでも持ち運んで電気を作りながら使う」という利用シーンがより広がって、役立つ場面がもっと増えるだろう。

小型のソーラーパネル「Jackery SolarSaga 40 Mini」
「Jackery SolarSaga 100」と「Jackery SolarSaga 40 Mini」の大きさを比較してみた
折りたたみ状態だと13~14型のノートパソコンと同等の大きさ

展開した時のサイズも横幅は1mほどにしかならないので、見た目は小っちゃくてカワイイ感じ。このサイズならアウトドア用のリュックなどでも持ち運べそうだ。最大出力は従来のモデルに比べると40Wと控え目ではあるけれど、600 Plusの充電に対応するのはもちろん、こちらにも「多機能アダプター」が装着されているので、USBポート2つを使用してスマートフォンなどを直接充電することも可能。普段の充電も、よりエコで節約する形で行なえる。

例えば広々とした庭では少しでも電力を稼げる付属のSolarSaga 100を、そこまで広くないバルコニーや出先であまりスペースが取れないときはSolarSaga 40 Miniを、といった形で上手に使い分けて、600 Plusを可能な限り長く稼働させられるようにしたいものだ。

600 Plusの充電ももちろん可能
毎日が晴天とは限らない。この日は薄曇りだったが、それでも30Wで充電してくれた
SolarSaga 40 Miniのケーブル途中にある「多機能アダプター」

長寿命のリン酸鉄リチウム。安心のポート数とサイズ感

600 Plusに搭載しているリン酸鉄リチウムイオン電池は、ご存じの方もいると思うが、従来型のポータブル電源でよく使われているリチウムイオン電池よりも大幅な長寿命化と高い安定性を実現しているのが特徴だ。

蓄電容量が本来の7~8割にまで低下することが見込まれるサイクル数(満充電を繰り返した回数)は、一般的なリチウムイオン電池が最大2,000サイクルなのに対し、リン酸鉄リチウムイオン電池は最大4,000サイクルと2倍の長さ。これなら毎日充放電を繰り返したとしても、単純計算でたっぷり10年以上は性能をほとんど落とさずに使い続けられる。

本体を充電しているところ

ACポートで家電が使えるのはもちろん安心だが、加えて最大100Wという高出力のType-Cポートを搭載しているのもうれしい。最近のパワフルなノートパソコンもフルスピードで充電できるだろう。もちろん同時に他のポートを使ってスマートフォンやタブレットを充電できるし、AC電源も使える。デバイスが多い家庭であっても、これ1台で何の問題もなくまかなえるはずだ。

USB Type-C×2とType-A×1、それにアクセサリーソケット×1
スマホ、ノートパソコン、庭の照明に給電しながらお仕事も

普段使いでポイントとなるのは、やはりそのサイズ感。約300×219×197mm、約7.3kgの重量は、室内外のあちこちへ頻繁に持ち運ぶとしても苦労しないちょうどいいラインだ。

占有スペースが小さいので持ち運んだ先の設置場所で悩むことが少ないし、約7.3kgというのはテーブルや棚の上に置くときにも耐荷重をあまり気にせずに済むレベル。決して広くない筆者の自宅でも自由度高く活用できる。

スペースや棚の耐荷重をそこまで気にすることなく設置できる本体サイズと重量がうれしい

スマホ連携可、“中くらい”でも隙のないポータブル電源

600 Plusには専用のスマートフォンアプリも用意されている。Bluetoothまたは宅内Wi-Fi経由でスマートフォンと連携でき、600 Plusの稼働状況の確認や機能のオンオフ切り替え、ファームウェアアップデートなどが行なえるものだ。

それこそポータブル電源を日常使用していると、あとどれくらい電池がもつのかが気になりがち。そんなときにいちいち本体のところまで行ってディスプレイを覗き込まなくても、手元のスマートフォンで電池残量や稼働可能時間の目安がわかるのは圧倒的に便利だ。600 Plusを日々使いこなすのなら必ずインストールしておきたい。

Jackeryの専用スマートフォンアプリ。電池残量、稼働状況、機能オンオフのコントロールなどが行なえる

日本の大半の住宅事情にマッチする、持ち運びが楽なサイズと重量。そこに十分な性能が詰め込まれ、UPS機能とソーラーパネルで緊急/災害時にも心強い。リン酸鉄リチウムイオン電池の長寿命のおかげで普段から使いまくってもOKで、コストパフォーマンスの高さも申し分なしだ。

こうして見ると「Jackery Solar Generator 600 Plus」は、実は隙のないポータブル電源だとわかってくる。キャンプ場で発電機代わりにガッツリ使いたい、というような人にはJackeryにももっと大容量のポータブル電源が用意されているが、普段使いをメインに考えるとこの“中くらい”のサイズ感がちょうど良さそう。導入するなら、利便性と機動力をさらに高められるSolarSaga 40 Miniも含めて検討してみてほしい。

(提供:Jackery Japan)