トピック

どんな汚れも楽に落ちる!? 超音波洗浄の洗濯機Pretteで変わった、わが家の洗濯習慣

今年9月に発売された超音波部分洗浄機付き全自動洗濯機「Prette(プレッテ)」。業界初の容量14kg(左)に挑んだのも特徴

近年の洗濯機の高性能化が目覚ましい。温水や泡立てた洗剤で洗うことで洗浄力を高めたり、洗剤をあらかじめタンクに入れておくことで、洗濯のたびに自動で投入する「液体洗剤・柔軟剤自動投入」などもトレンドの1つだ。

そうして各メーカーが肩を並べてトレンドを追う中、独自路線を貫くメーカーがある。洗濯機と冷蔵庫を中心とした生活家電を開発するアクア(AQUA)だ。シンプルで堅実な性能と使いやすさ、手ごろな価格から、質実剛健さを求めるユーザーに高く評価されている。

そんなアクアから、9月にユニークな機能を備えた全自動洗濯機が登場し、話題となっている。超音波部分洗浄機を本体に搭載した全自動洗濯機「Prette(プレッテ)」だ。そこで今回は、プレッテがどんな製品で、どういった経緯で生まれたのか、開発を担当した商品本部ランドリー企画グループの松浦ミカ氏から話を聞いた。そして、実際に筆者の家で導入して起きた生活の変化について紹介したい。

商品本部ランドリー企画グループの松浦ミカ氏。自身も保育園に通うお子さんがいる経験から、「汚れた服やタオルケットなど、何かと洗濯物が多い」という悩みを持っていたという

三洋電機の高い洗濯技術を踏襲した洗濯機を開発

アクアは、旧三洋電機の冷蔵庫と洗濯機部門の技術を受け継ぐ家電メーカー。現在は中国・ハイアールグループの傘下にあるが、ハイアールの白物家電事業とは別に、三洋電機から受け継ぐ高い技術で開発した白物家電を日本で展開している。

実際、国内のコインランドリーで使用されている業務用洗濯機の7割近くを占めており、なかにはコインランドリーで「AQUA(アクア)」の名前を見たことがある人も多いのではないだろうか。

アクア独自の洗濯機開発の姿勢について、松浦氏はこう語る。

「私たちの強みは、三洋時代から培ってきた高い洗濯技術です。まわりと同じことをしていては、アクアの優位性は出せない。あくまで洗浄能力にこだわって、アクアならではの製品を開発しています」。

今回発売された「プレッテ」は、洗濯機本体に超音波部分洗浄機「らくらくSONIC」を搭載し、エリ/ソデの皮脂汚れや食べこぼしなどの部分洗いが簡単にできる全自動洗濯機。今までにない画期的な製品だが、これも「洗浄力を追求した結果、生まれたもの」というからブレがない。

洗濯機本体に超音波部分洗浄機「らくらくSONIC」を搭載。トレイを引き出すだけですぐに使える

「洗濯機を開発するにあたって、洗濯の困りごとに関する市場調査を行なったところ、多くの方が“エリ/ソデの汚れがなかなか落ちない”という不満を抱えており、実に8割の方が洗濯前に予洗いをしていることが分かりました」(松浦氏)。

そこで発案されたのが、「クリーニング店がシミ抜きで使っている超音波技術を洗濯機本体に搭載できないか」というアイデア。いきなり超音波にたどり着いたのか、という質問に対し、「実は超音波で洗うという発想は三洋時代からあり、すでに製品化もされていたんです」と松浦氏。確かにかつてのCMで「ななめドラムと超音波で洗お♪」というフレーズを聞いたことがある人もいるだろう。

超音波洗浄の手間を省くために搭載された、洗剤自動投入機能

ここで「らくらくSONIC」がどのようなものか、説明しよう。

らくらくSONICは、毎秒約4万回超音波振動することで生まれる気泡が弾ける力で、繊維の奥に入り込んだ汚れをはがして落とす。洗濯機の開口部奥に収納された超音波洗浄ユニットのトレイを引き出し、電源を入れると自動で洗浄液がトレイに溜まり、超音波振動が始まる。あとは超音波ホーンの先端に汚れた部分を当てていくだけで、エリソデ汚れから食べこぼし、泥汚れなど、ほとんどの汚れが落とせるという。

「あらかじめ洗剤液や洗う場所を準備する必要がなく、力も要らないなど、利点も豊富です」(松浦氏)。超音波ホーンが洗濯機と一体型になっているため、両手でエリの両端などを持って、手を汚さずに使えるのも大きなポイント。汚れを落とした衣類は、そのまま洗濯機に放り込めば、ほかの洗濯物と一緒に洗える。

皮脂汚れに見立てた赤い液体をエリにつけ、超音波洗浄したところ、見る見る赤い汚れが取れていった

さらに今回、アクア初の「液体洗剤・柔軟剤自動投入機能」も搭載された。今トレンドとなっている便利機能なだけに、さすがのアクアも見過ごせなかったか……と思いきや、松浦氏から意外な返事が返ってきた。「液体洗剤自動投入機能は“らくらくSONICのために”搭載することになったんです」。

実は当初、超音波洗浄で使う洗剤液は、毎回補充する使い方を想定していたという。しかし、それでは事前の準備が必要になり、ユーザビリティーが下がってしまう。毎回洗剤をユーザーがセットしなくて済むには……と考えた結果、自動投入機能を搭載することになったというのだ。

液体洗剤と柔軟剤のタンクはそれぞれ左右に搭載。デッドスペースを活用した結果、この場所になったという。詳しくは後述する

この自動投入機能は、次なる新機能を生み出した。それが「パワフル泡浸透」だ。「洗剤自動投入では、洗剤と水が複雑な経路を通過するため、泡の状態で洗濯槽に投入できます。泡立った洗剤液が衣類汚れを包み込んで浮かせるので、手で洗剤液を入れるより、洗浄力アップが期待できます」(松浦氏)。

洗剤は、水と混ざって泡立った状態で投入される。これを低水流の高濃度状態で洗うことで、より洗浄力が高まるという

超音波部分洗浄機のおかげで、洗剤を計量する手間が省けるようになり、洗濯機自体の洗浄力も上がるとは、ユーザーにとってもいいこと尽くしだ。

14kgあれば、まとめ洗いも大物洗いもストレスなし

もう1つ特筆すべきことがある。洗濯容量を8kg、9kg、10kg、12kg、そして業界最大となる14kgの5サイズを投入したことだ。今まで業界最大容量といえば、12kgだったので、それを軽く2kg超えてきたことになる。

左からPretteの8kg、10kg、14kg、12kg、9kgモデル

14kgサイズを投入した理由について松浦氏は次のように語る。

「そもそも洗濯機の大容量化の挑戦は、三洋時代から行なわれてきました。業界で初めて10kgサイズを投入したのも三洋です」。今回も「洗濯物の量が多く、1日に3回洗濯機を回すのが大変」というユーザーの声から、14kgサイズを含め、ライフスタイルに合わせて選べる5サイズを展開したという。

大容量化で懸念されるのは設置スペースだが、アクアは14kgでも一般的な64cm四方の防水パンにも入るようコンパクト化を実現。洗剤と柔軟剤のタンクも、奥のデッドスペースを活用することで、この幅に収めることができたそうだ。

14kgあれば、洗濯物の量が多いときはもちろん、シーツや毛布などの大物を洗いたいときにも便利で、シングル毛布なら一度に5枚も洗える。さらに「大きな洗濯槽で洗うことで、洗濯物がゆったり動き、ムラなくきれいに洗えるメリットもあります」(松浦氏)。一度に洗う洗濯物量は、洗濯容量の8割程度に抑えるのが理想で、6kgの洗濯物を洗う場合、6kgの洗濯機より8kg、10kgの洗濯機を使ったほうがいいという。

※別売りの大物洗い用洗濯ネットが必要

ボリュームあるアクリル毛布(シングル)でも2枚同時に洗える。実際使ってみると、6kgの洗濯機時代に比べて、このことだけでも大容量でよかった……と実感する

あの面倒な部分洗いが。手で触りたくない汚れにも

洗濯物の部分洗いが面倒で、ついサボってしまいがちな筆者にとって、この「らくらくSONIC」は非常に魅力的だった。これはぜひ使ってみたい! と思っていた時に、15年来使ってきた容量6kgの全自動洗濯機が壊れたタイミングが重なったため、自宅用洗濯機として14kgのプレッテを導入した。

現在、使い始めて2カ月経つが、もはや「らくらくSONIC」のない洗濯には戻れないかも、と感じている。わが家でどのように活用しているか、紹介したい。

【1】14kgでもコンパクトだから一般的な洗濯機置き場にすっぽり

わが家の洗濯機置き場は決して広くなく、防水パンのサイズは1辺64cm。以前は6kgの全自動洗濯機を置いていたし、さすがに14kgは置けないだろう……と思っていたが、なんとすっぽり置けてしまった。全体をコンパクトに収めたほか、足元を少し内側に寄せることで、防水パンに乗るサイズにしたようだ。

ゆとりがあるとはいえないが、狭く見えるわが家の洗濯機置き場にも収まった。足元を見ると、確かに防水パンに合わせて狭くなっている

14kgというと、以前の2倍以上! 以前は、家族3人ぶん(夫、中2息子、私)の洗濯物を毎日洗っていたが、今は2日に1回で十分になった。「洗濯回数を減らすことで、当然節水、節電にもつながります」(松浦氏)。

その一方、このコロナ禍でわが家も洗濯物が増えた。一度着て外出した洋服は、以前に増して洗うようになったし、不潔にならないよう、毛布も頻繁に洗うようになったからだ。14kgでなければ、ここまで気軽に洗おうと思えなかったかもしれない。

【2】「らくらくSONIC」の汚れ落ちに感動! 手で触りたくない愛犬のアレも……

トレイには濃度5%の洗剤液が溜まっており、これに衣類を浸しながら、超音波ホーンを汚れに当てていく

そして、目玉機能である「らくらくSONIC」がとにかく秀逸だ。この手軽さ、汚れ落ちの快感は感動もので、2カ月使い続けた今でも褒め続けられる(笑)。

筆者の以前の部分洗いといえば、洗面台の上に汚れた部分を置き、水で濡らしてから洗剤をつけてブラシでこすり洗いする、というものだった。これがとにかく面倒だったし、正直汚れが落とし切れないことも少なくなかった。

特に毎回力を入れてこすり洗いしている夫のワイシャツのエリやソデは、徐々に繊維が潰れ、ひどいときは切れてしまう。しかし、「らくらくSONIC」は、ほとんど布に触れることなく汚れをはじき飛ばしているので、繊維を傷めることがないという。

LEDライトが照らすので、汚れの状態もよく見える。押し付けず、軽くすき間を開けるぐらいがちょうどいいそうだ

ちなみに松浦氏によると、洗浄時は衣類を超音波ホーン(先端)にこすりつける必要はなく、むしろ軽く当てる程度のほうが汚れを落としやすいという。筆者もつい、キレイに落としたいという思いでホーンにこすり付けてしまっていたが、軽く当てるだけでいいなら実にラクだ。目安として、動作中にホーンからの音がほとんど出ない状態は押し付け過ぎなので、適度に音が出る位置まで少し離すといいとのこと。

そして汚れは、本当によく落ちる。今まで、エリやソデの皮脂汚れをはじめ、マスクについたファンデーション、チョコレートやケチャップのシミ、血液など、様々な汚れを落としてきたが、すべて1~2分できれいに落とすことができた。

今までで一番衝撃だった汚れは、お気に入りのワンピースにへばりついていた愛犬のウンチだ。おしりについていたのが不快だったのか、こすりつけられたらしい(泣)。急いで「らくらくSONIC」で洗ったところ、頑固にこびりついていた汚れが徐々に溶け出し、手で触れることなくキレイに落とせた。

ちなみに溶けだした汚れは洗剤液のトレイに溜まり、なかなか目に余る光景だったが、トレイを本体に押し戻せば汚れた洗剤液は外に排出されるので、洗濯槽に流れ込むこともなく安心だ。

【3】自動投入機能を使って初めて、今まで正確に計れていなかったことに気づく……

そして、「らくらくSONIC」のために搭載された液体洗剤・柔軟剤自動投入機能だが、これも使い始めて、真価に気づいた。今まで、洗剤を計量して投入するなど大した手間ではないと思っていたが、洗剤量は洗濯物や水量によって加減しなければならないにもかかわらず、いつも目分量で入れていたのだ。

今回の洗剤量は、0.9杯だという。こんな微妙な量は、目分量では計れない(笑)

その点、自動投入機能があれば、洗濯物と使用水量を計算してから、最適な量の洗剤を自動で計量して入れてくれる。私がやることといえば、電源ボタンを押し、スタートボタンを押すだけだ。

【4】運転音がとにかく静か! ただただ水の流れに癒される……

透明な天板のガラストップで、洗濯の様子が見えるのも気持ちがいい。今の状態も一目瞭然だ

プレッテを使ってみてもう一つ気づいたのが、運転音が静かだということ。洗濯をしていても、隣の部屋にいると運転音が聞こえてこないため、つい洗濯をしているのを忘れてしまうほど。ただ洗濯中に水がかき回されるジャブジャブという音や、水を注ぐジョロジョロという音は聞こえてきて、むしろ癒される。

特にアクアの洗濯機は、ガラストップのものが多いため、洗濯の様子を見ることができる。これによって、キレイに洗えている爽快感とともに、心地よさを感じることができるのだ。

プレッテがわが家の洗濯習慣を前向きに変えてくれた

アクアの松浦氏は、プレッテへの思いについて「私たちは常に、洗浄力と布への優しさにこだわり続けています。『らくらくSONIC』も斬新な機能ですが、あくまで初心を大切にした過程で生まれた機能。コロナ禍でライフスタイルが変わった人も多いと思いますが、新しい生活習慣にフィットしてくれたらうれしいです」と語っている。

プレッテを2カ月間使ってみて、わが家も洗濯習慣も少し変わったように思う。まず部分洗いをこまめにするようになったことで、汚れたらすぐに洗う習慣がついたため、衣類を大切に長く着ようと思うようになった。

例えば今まで目に見えない汚れは見逃してきたが、ワイシャツのエリソデには皮脂がついているし、汗も染み付いているはずだ。でも洗濯のたびにこまめに部分洗いしておけば、次のシーズンに白い状態で着られるだろう、とモチベーションも上がる。

また部分洗いだけは自分たちでやっておく、という習慣も身につき始めた。脱いだ服をその場で洗い、洗濯機に放り込んでおくだけでいいのだ。息子はお気に入りのマスクがあり、それを明日も使いたいため、自分で超音波洗浄し、すすいで干している。洗濯が面倒な家事でなく、きれいになる爽快感が味わえる家事に変わったのは確かだろう。

以前は手洗いを頼まれていた息子のマスクも、超音波で簡単に洗えることが分かった今、自分で洗うようになった

協力:アクア株式会社