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東芝、純水素型燃料電池システムの実証試験を開始

実証システムの外観

 東芝燃料電池システムは、山口リキッドハイドロジェン株式会社、長府工産株式会社、岩谷産業株式会社と共同で、次世代型の純水素型燃料電池の実証試験を、3月21日より順次開始する。本研究開発・実証試験は、山口県が2014年に公募した「平成26年度 やまぐち産業戦略研究開発等補助金」において採択されたもの。

 実証試験では、同社が開発した出力700Wの純水素型燃料電池を、山口県周南市内の徳山動物園と周南市地方卸売市場に設置。この燃料電池は、エネファームの開発で培った技術を応用しており、世界最高水準(2015年3月現在)となる50%の発電効率を達成している。なお、今回の実証システムで使用される貯湯ユニットは、株式会社長府製作所製の従来型エネファーム向け貯湯ユニットとなる。

 水素をそのまま燃料として使用するため、CO2をまったく発生させずに発電できるほか、1~2分という短時間で発電が開始できる。なお、都市ガスなどを利用する従来型のエネファームの場合は、発電開始までに約1時間かかる。

 同社では、本実証実験により、2017年までに稼働データを収集しながら運転方法や適用メリットなどを検証し、さらなる効率化を図るとしている。また、次年度以降より開始する本開発で、燃料電池ユニットの発電効率を55%まで引き上げるほか、貯湯ユニットの補助ボイラーは、水素燃料に対応したシステムを開発する予定という。

 東芝グループは、水素社会の実現を加速するため、水素が作るCO2を排出しない持続的で安心安全快適な社会を目指し、今後も水素社会の実現に向けた様々な取り組みを進めていくとする。

中野 信二