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パナソニックら、家庭用太陽光発電の余剰電力を買い取る新会社設立

左から、パナソニック エコソリューションズ 副社長の井戸政弘氏、エプコ 代表取締役 グループCEOの岩崎辰之氏

 パナソニックとエプコは、株主間協定書を締結し、両社の共同出資による家庭用太陽光発電アグリゲーション事業を行なう合弁会社「パナソニック・エプコ・エナジーサービス株式会社」を、1月31日に設立する。

 出資額は3億円。出資比率はパナソニックが51%、エプコが49%。代表取締役社長は、パナソニック エコソリューションズの副社長を務める井戸政弘氏が就任。事業内容は、特定規模電気事業、電力卸売り事業、電力小売り事業、アプリケーションサービス事業等となる。

 この合弁会社は、2016年の電力システム改革により、家庭向けの電力小売り市場が全面自由化され、新たに7.5兆円規模の市場が開放されることを受け設立。家庭向けの太陽光アグリゲーション事業を行なう。

 具体的には、太陽光発電システムを導入している一般家庭を対象に、毎月の余剰電力を合弁会社が買い取り、それをパナソニックグループや新電力会社に販売する。今夏に本格始動し、2018年度までの事業目標として、契約者数50万件以上、売上高200億以上を掲げる。

2016年の小売り全面自由化に向け、現在実施できる事業として、太陽光発電システムを利用中の家庭から電力を買い取る
契約家庭には、Webやスマートフォンから見られるHEMSアプリケーション「ぴぴパッ!」を使用し、省エネプランの提案などアプリケーションサービスを提供する

 余剰電力の売買取引については、エプコが英国の研究所と共同開発している、家庭向けの太陽光発電トレーディングシステム「Eneberg(エネバーグ)」を利用して行なう。

 エネバーグは、各家庭の余剰電力量=売電量を予測、集計し、30分単位で電力売買取引を行なうトレーディングシステム。余剰電力量=売電量の予測データや電力入札条件の要約を一覧で表示するほか、電力会社(PPS)の管轄ごとの余剰電力量予測や、期待利益などを自動で計算するという。

 特に、太陽光発電において余剰電力量の予測に不可欠となる気象データ(日照量、気温、温度、湿度、降水量)については、1カ月先の予測が「平年並み」といった季節予報となるため、季節予報が適切なのかを10年間の気象統計データと照合し、気象解析に反映させるという。気象予測のアルゴリズムは精度を向上させるため、自動で学習する機能を備える。エプコでは予測誤差を5%以内に抑えることを目標としている。

 電力の入札量は、予測された余剰電力量や気象データなどを加えたアルゴリズムにより、もっとも期待利益が高く、インバランスリスクの低い量を自動計算。電力取引の価格相場により手動で変更し、期待利益を再計算することもできるという。

各家庭の余剰電力量=売電量を予測、集計し、30分単位で電力売買取引を行なうトレーディングシステム「エネバーグ」の概要

中野 信二