九州電力、家庭向け8.51%、企業向け14.22%の値上げを申請

 九州電力は27日、2013年4月1日からの電気料金値上げを政府に申請した。

 値上げ幅は、一般家庭向けを含む「規制分野」については8.51%、企業向けの「自由化分野」については14.22%となっている。

 東日本大震災以降で、電気料金の値上げ申請を行なうのは、東京電力、関西電力に続いて3社目となる。

現行料金では1,516億円不足するとしている規制部門の値上げ率は8.51%

 一般家庭向けの契約である「従量電灯B」の場合、基本料金は値上げせず、使用量によって3段階となっている従量部分を値上げする。今回の申請では、第一段階の値上げ幅を抑制し、第二段階、第三段階と使用量が多くなるほど、値上げ幅が大きくなっている。

主な契約モデルの値上げ率従量電灯Bの段階別値上げ率契約アンペアが大きい家庭ほど値上げの影響も大きい

 これにより、標準的な家庭である従量電灯Bで、契約アンペアが30A、使用量が300kWhの場合、電気料金は現行の6,643円から、378円値上げされ、7,021円となる。この場合の値上げ幅は5.70%の計算となる。

 契約アンペアごとの値上げ影響では、10A契約の場合、値上げ率が2.2%に留まるのに対し、60A契約では値上げ率は8.9%となる見込みとしている。契約アンペアが大きく、電気の使用量が多い家庭ほど、値上げの影響が大きくなる見込みだ。

 契約関係では、昼間の使用料金が高く、夜間が安い「ピークシフト電灯」契約を新設する。また、「季時別電灯」の契約条件を緩和し、夜間蓄熱式機器を持っていない使用者でも契約可能とする。これらにより、夜間の活動が多く昼間に電気を使用しないユーザーは電気料金を抑えられる可能性がある。

新設される「ピークシフト電灯」。時間による差が大きい一般家庭でも「季時別電灯」契約が選択できるようになる

 なお、今回の値上げ申請では、原価削減の一貫として人件費にも手が入り、給与水準の引き下げが盛り込まれている。現在、平均826万円の年収を、他の公益企業並の平均650万円に引き下げる。

 また、九州電力では、関西電力同様に原子力発電所への依存度が高い。今回の申請でも原発の再稼働を見込んだ原価計算となっている。計画によれば、2013年7月に川内原発1号機と2号機、同年12月に玄海原発4号機、2014年1月に玄海原発3号機の再稼働を見込んでいる。

原価削減の一貫として給与の引き下げが行なわれる各原発の再稼働予定





(伊達 浩二)

2012年11月28日 00:00