日立、火加減の調節が簡単にできるIHクッキングヒーター

~過熱水蒸気のオーブンは火力をアップ
IHクッキングヒーター「HT-Gシリーズ」

 日立アプライアンスは、火加減の調節が簡単にできるIHクッキングヒーター「HT-G20TWFS」など全21機種を、9月20日より発売する。希望小売価格は319,200円~439,950円。

 最大3kWの大火力で調理できる、ビルトインタイプの3口IHクッキングヒーター。トッププレートには、微妙な火加減を調節できる「適温調理」を採用し、オーブンには火力を向上させた「過熱水蒸気ビックオーブン」を採用した点が特徴。

トッププレート部とオーブンから成る。ヒーターは中央が普通のIHで、左右がアルミや銅鍋に対応するオールメタル仕様開閉式の操作ボタン。中央にピンク色の「オーブンメニュー」キーが新たに備わった
日立は独自の大火力を武器に、低温調理の充実、使い勝手の向上、レシピのバラエティの拡大に取り組んできた新製品では、トッププレートで簡単に火加減の調節が可能な「適温調理」機能、オーブンでは炭火焼風の焼き方ができる「過熱水蒸気ビックオーブン」を採用

火加減を簡単に調節できる「適温調理」機能を採用

 「適温調理」とは、食材を入れた時に下がった鍋底の温度を、設定した温度まで引き上げたり、加熱しすぎを防ぐなど、火力を自動で制御する機能。

 新モデルでは、センサーの精度を向上させた「新・光センサー」を採用し、微妙な火加減に対応できる。卵料理や炒め物、揚げ物などの火加減が難しい調理が簡単に作れるようになり、加熱しすぎを防ぐため省エネにもなるという。

 また、新たにタイマー機能を搭載し、経過時間の確認や加熱時間の設定ができるようになった。これにより、低温で長時間加熱する「チーズケーキ」などが作れるようになったほか、「かぼちゃのプリン」、「あさりのサフランライス」「豆腐ステーキ」「大学いも」といった新メニュー20種を追加し、「適温調理」で作れるメニューは合計80種類に増えた。

センサーで鍋底温度をきめこまかく検知。温度が下がってもすばやく復帰するという調理時間の目安となるタイマー機能も搭載した子供向けや高齢者向け、健康志向のメニューなど20種を追加し、約80種のメニューがラインナップした

 会場では、火加減が難しい「煮込みハンバーグ」を実演調理した。操作パネルで「適温調理」を選び、設定温度は220℃で調理を開始。途中で温度を120℃に下げて、さらに10分加熱した。出来上がったハンバーグは、肉も野菜も煮崩れしておらず、焦げ付きもなかった。

220℃で加熱をスタート途中で設定温度を120℃に下げる
タイマーを残り10分に設定記者が試食したところ、肉も野菜も焦げ付いたり煮崩れたりしていなかった

火力が増し、炭火焼き風に焼ける「過熱水蒸気ビッグオーブン」

 「過熱水蒸気ビッグオーブン」は、過熱水蒸気を発生させて食材の余分な脂や塩分を落としてヘルシーに焼き上げる点が特徴。ヒーターの直火で焼く「グリル加熱」と、庫内温度制御で調理する「オーブン加熱」によって調理する。

 新モデルでは、従来のシーズヒーターに加えて、庫内の前面上側にランプヒーターを採用。これにより、火力を高めたほか、従来よりも加熱にかかる時間を短縮し、庫内の温度ムラも解消した。また、ランプヒーターが庫内を照らすため、食材の焼き加減が確認できる。

 また、レシピのバリエーションも拡大。強火で焼く「貝焼き」や「ホイル焼き」や、オーブン加熱する「ミニドーナツ」や「マフィン」などのスイーツなど20種類を追加し、合計100種類が揃った。

炭火とシーズヒーターの放射エネルギー分布は近似している炭火焼風の仕上がりを追求。火力を強め、手入れしやすさも向上させた実際に従来モデルと新モデルの庫内、それぞれ9カ所に、温度センサーを設置して、庫内の温度ムラを計ったところ、やはり新モデルのほうがムラが少ないことがわかった
ランプヒーターで庫内の火力をアップし、温度ムラを低減。さらに庫内を見やすくした加熱水蒸気の発生量も増えたため、脱脂率が上がったという

 従来モデルに続き、七輪の炭火のようにこんがりと魚を焼く「水なし七輪交互焼き」も採用している。シーズヒーターの遠赤外線と近赤外線の割合は約8:2と、炭火と近似しているため、炭火のような焼き上がりになるという。

 一方で、七輪のように裏返しながら焼く手間がかからない点や、脱煙機能を採用し、調理中の臭いがほとんどなく、煙も出ない点などのメリットがあるという。

 会場では、実演調理としてサンマが焼かれた。サンマは一度に5尾、庫内に入る。調理時間は18~19分。操作は、自動メニューから「魚丸焼き」を選んで、スタートを押すだけ。記者が試食したところ、サンマの皮はパリパリ、身はふっくらとしていて、余分な油は落ちている。

サンマは同時に5尾焼ける自動調理メニュー「魚丸焼き」を選び、スタートボタンを押すと調理が始まる魚を焼く時は、魚の生臭みや余分な脂を飛ばしながら、しっかり中まで火を通す独自の調理法「水なし七輪交互焼き」を採用している
調理中の様子。煙は出ていない約19分後、香ばしいにおいとともに、こんがり焼きあがったサンマを試食すると、皮はパリッ、身はふっくらとした食感だ

庫内の側面と底面の汚れを拭き取れる「3面・そこふけ~る」

 手入れの面では、清掃時に下ヒーターをリフトアップさせて、底面と左右の両側面まで手が届く機構「3面・そこふけ~る」を採用した。また、オーブンドアや焼き網、受け皿は取り外して洗える。

新モデルの「3面・そこふけ~る」従来モデルの「そこふけ~る」は、手前側の下ヒーターが斜めに上がるため、奥まで手を入れて掃除しにくかった
通常はオーブンの庫内の上下にヒーターがある手入れの際には、ツマミを180度ひねると、下ヒーターが上ヒーターのすぐ下まで水平に上がり、手を入れて掃除できるスペースが生まれる奥まで手が入るので、底面に加えて側面の拭き掃除がしやすい

 安全面では、オーブンのドアを開けた際に注意のアナウンスを流す「音声ガイド」、庫内が高温の時にパネル上で点灯する「高温注意ランプ」、清掃時にオーブンのドアを外した際には、ヒーターに通電しないなどの機能を採用している。

 さらに省エネ性をはかるため、従来よりも、トッププレートの厚さを4mmから3.5mmに薄くし、IH加熱の効率を最大で約2%向上した。具体的には、同量の0.8Lのお湯をわかしたところ、従来モデルでは2分49秒、新モデルでは2分32秒かかり、17秒の時間短縮となった。

2012年モデルは“執念で高効率化”

日立アプライアンス 家電事業部 オール電化本部 深水祥光 本部長

 日立アプライアンス 家電事業部 オール電化本部 深水祥光 本部長によれば、IHクッキングヒーターの需要は東日本大震災以降低迷しているが、今後、IHクッキングヒーターの安全性や使い勝手の良さなどの付加価値を訴求することで、緩やかに回復していくと同社は見込んでいる。深水氏はIHクッキングヒーターについて、「高効率の加熱調理器具。新製品ではさらに、執念で効率を良くしている。手動調理よりも省エネ性が高く、夏場の調理も暑くならず、手入れしやすいので、快適な暮らしをサポートできる」とメリットをアピールした。

東日本大震災以降、IHクッキングヒーターの需要は低迷しているが、日立では今後緩やかに回復していくとみている日立では、太陽光発電システムとエコキュートやIHクッキングヒーターの連携を提案。IHクッキングヒーターは火を使わず安全で、効率が良い、手入れしやすい、夏場の調理でも暑くならないなどのメリットがあるというラインナップは、アルミや銅鍋に2口対応する最上位機種「HT-G20Tシリーズ」のほか、アルミや銅鍋に1口対応する「G10Tシリーズ」、鉄・ステンレス対応の「G9/G8T/G8シリーズ」など計21機種を揃えた





(小林 樹)

2012年8月9日 00:00