シャープ、食品加工工場の菌を抑制する大空間用プラズマクラスターイオン発生機

~温度を上げても衛生環境を維持、節電効果も
天井埋込型プラズマクラスターイオン発生機 IG-2B35A

 シャープは、食品加工工場などで浮遊菌を抑制する大スペース用の天井埋込型プラズマクラスターイオン発生機「IG-2B35A」を、7月上旬に発売する。受注生産で、希望小売価格は工事費別で417,900円。

 シャープ独自のイオン技術「プラズマクラスターイオン」を大空間で発生するための機器。プラズマクラスターイオンは、プラスとマイナスのイオンを放出し、空気中に浮遊する菌やウイルスを抑制する効果があるとされている。

 IG-2B35Aは天井埋込型で、天井面から床面に向かって吹き出す気流により、適用空間全体にプラズマクラスターイオンが降り注ぎ、高濃度イオン空間が実現できるという。適用面積は約35平方m(約21畳)。イオン濃度は、標準運転時で1立方cm当たり25,000個。イオン吹き出し角度を約35/40/45/50度に切り替えるルーバーも採用しており、リモコンで調節できる。

 シャープでは主な設置環境として、生鮮食品の加工工場を挙げている。シャープと垂水市漁業協同組合(鹿児島県垂水市)が水産加工工場で行なった実験によると、高濃度プラズマクラスターイオン発生機を導入することで、工場内の管理温度を通常の15℃から17℃に上げても、15℃と同等レベルの、HACCP(食品の衛生を管理する国際的な手法)に沿った高い衛生環境が維持できたという。

 また、管理温度を2℃上げることで約20%の節電効果や、冷え過ぎを抑えることで、作業者の身体負荷を軽減する効果もあるという。

 なお、実験で使用されたのは、小スペース用の天井埋込型プラズマクラスターイオン発生機「IG-1B10A」。シャープでは大空間用のIG-2B35Aでも、同様の効果が期待できるとしている。

垂水市漁業協同組合のカンパチ加工工場における、浮遊菌の測定結果。プラズマクラスターイオンありの場合、17℃でも15℃と同等レベルの結果となった
垂水市漁業協同組合の工場における、プラズマクラスターイオン発生機の導入例。なお、同工場に導入されたのは「IG-1B10A」

 本体サイズは570×570×250mm(幅×奥行き×高さ)で、グリッド天井に適合する600mm四方となっている。重量は約26kg。電源はAC200V。運転モードは弱/標準/フルパワー/急速で、それぞれのイオン濃度は、1立方cm当たり約10,000個/約25,000個/約35,000個/約50,000個。消費電力は16W/21W/30W/48Wで、年間電気代の目安は約3,080円/約4,050円/約5,780円/約9,250円。オプションで脱臭フィルターも取り付けられる。

 なお本製品は、宮城県牡鹿郡の水産加工業者「株式会社ヤマホンベイフーズ」の工場に先行導入しており、垂水市漁業共同組合と同様の浮遊菌抑制と節電が期待できるとしている。

ヤマホンベイフーズにおける、IG-2B35Aの導入例





(正藤 慶一)

2012年6月28日 13:18