シャープ、中国統轄会社の営業開始。プラズマクラスターなど健康環境事業を強化

 シャープは、中国・北京市にて統轄会社「シャープ(中国)投資有限公司」の営業を、10月から開始したと発表。また、今後の戦略について、現在、中国市場で中心となっている液晶テレビ、携帯電話事業に加え、プラズマクラスターイオン関連製品など健康環境事業を推進していく方針を示した。


“中国地域におけるシャープ本社”

 統轄会社は、中国地域全体の事業戦略の立案を担う機能体勢構築のために設立されたもの。現行では、中国の6カ所に生産拠点、5カ所に販売拠点、2カ所に研究開発拠点を置くが、新会社ではこれらをすべて統轄し、事業推進部門をはじめ、法務や知的財産権管理など、機能部門を一括で管理する。また、財務や資金部門も設置することによる資金の効率運用、上海ではなく北京に設立することで、政府への渉外活動の強化も狙っている。シャープでは、“中国地域におけるシャープ本社”と称している。

シャープでは現在13拠点にて中国に展開している10月1日より、統轄会社「シャープ(中国)投資有限公司」を設立。“中国地域におけるシャープ本社”の役割を担うという
統括会社の代表を務める、取締役 兼 専務執行役員 中国本部長の菅野信行氏

 統轄会社の代表を務めるのは、取締役兼専務執行役員 中国本部長の菅野信行氏。傘下の従業員は、全拠点の合計が約23,000人で、うち正社員は約9,600人。設立当初は部門のトップは日本人が努めるが、それ以下のメンバーについては現地の人材を採用する。菅野氏は「ものづくりだけでなく、中国内の“人づくり”も推進していきたい」と話す。


人気の液晶テレビ・携帯電話に続いて、プラズマクラスター搭載の生活家電も強化

 今回の新会社設立は、拡大する中国市場に対応する強固な体制を構築する狙いがあるという。シャープの中国における売上は好調で、菅野氏によれば「年平均で15%の伸長を続けている」という。2008年度はリーマンショックの影響を受けて伸びが止まったものの、2010年度には5,170億円の売上を達成した。シャープの海外販売拠点の内訳では、アメリカ(21.1%)、欧州(25.7%)を抑え、36.2%で第1位となっている。

シャープの中国地域における売上推移。リーマン・ショックがあったものの、全体的に好調な売上を記録しているシャープの海外売上のうち、第1が中国市場となる

 今後の具体的なビジョンについては、まず東北・内陸部に向け、営業拠点を拡充。同社の液晶テレビ「AQUOS」の販売店を、2010年3月の5,200店舗から、2011年度中に10,000店舗に増やすという。なお、2011年9月時点でのAQUOS販売店舗数は8,500店となっている。

 また、同社独自の除菌・脱臭技術「プラズマクラスターイオン」を搭載した空気清浄機など生活家電を扱う「健康環境事業」を、現在中国で主要事業となっているAQUOSなどの液晶テレビ事業、スマートフォンなどの情報通信事業に次ぐ“第3の事業”として強化していく。

 同社は現在、空気清浄機とイオン発生機など13機種を中国で販売しており、このうちプラズマクラスターを搭載した空気清浄機について、中国政府の衛生部による「空気消毒器の認証」を取得している。今後は同イオンの発生装置を搭載した生活家電のラインナップを拡充し、2011年下期は現状の1.6倍となる23シリーズ、84モデルをラインナップしていくという。さらに、プラズマクラスター搭載の生活家電をフラッグシップ商品と位置づけ、ブランドイメージの向上を図っていく。

今後は液晶テレビ「AQUOS」の営業拠点を東北部や内陸部に広げていくというまた、人気を集めている液晶テレビ・携帯電話事業に加え、プラズマクラスター技術を搭載した家電製品の販売も強化していくという既に中国ではプラズマクラスターイオンを発生する家電を販売中。空気清浄機については、「空気消毒器の認証」を取得している
2011年度における、中国地域における輸出額を含めた全売上は、2009年度の7,000億円、2010年度の8,500億円を超える、1兆円となる予定

 菅野氏は、健康環境事業について「同イオンを発生する製品はエアコン、冷蔵庫なども展開しているが、販売地域は華東地域に限られている。中国全体にできるだけ早く展開していきたい」と説明した。

 シャープでは、2011年度の中国地域における輸出額を含めた全売上を、2009年度の7,000億円、2010年度の8,500億円を超える、1兆円と予測。菅野氏は「さらなる事業拡大にチャレンジしていく」と意欲を示した。







(正藤 慶一)

2011年10月14日 16:53