アドレンズ、“世界初”液体レンズで簡単に度数が調節できるメガネ
アドレンズ・ジャパンは、液体のレンズで度数を調節する“世界初”のメガネ「アドレンズ P.O.V.」を、12月9日に発売する。希望小売価格は7,980円。
同社が4月に発売した、ユーザー側で度数が調節できるメガネ「アドレンズ エマージェンシー」の第2弾に当たる製品。今回は、メガネレンズ内に液体「シリコンオイル」が封入されており、フレーム両脇のダイヤル部を回し、オイルの容量を増減することで、自分自身で度数が調節できる。度数は-4.5D(近視)から+3.5D(遠視・老眼)まで対応。片目ずつの調節もできる。
レンズ内には、厚さがフレキシブルに変わる膜が備えられている。フレーム両脇のダイヤルを回すことでオイルが圧縮され、レンズの形状が変わり、度数が調節できるという。
アドレンズ P.O.V.本体。なおP.O.V.は「Point Of View」(視点)の略 | フレーム脇のダイヤル部を回して度数を調節する |
レンズ内にはオイルが封入されている | オイルの量を調節し、液体容量を変えることで、レンズの度数も調節できる |
アドレンズ・リミテッドのテクニカル・ディレクター ロバート・スティーブンス氏 |
レンズ部分は衝撃に強く耐久性に優れたポリカーボネートで、フレームは軽量な「TR90」素材を採用する。アドレンズ・リミテッドのテクニカル・ディレクターのロバート・スティーブンス氏は、液体レンズの強度や安全性について、「シリコンオイルは目の手術や科学機器にも使われている。太陽光に当たったり、高温下に置かれても劣化しない。分析試験を重ねている。レンズにはメガネに一般的に使われているポリカーボネートを使っており、強度は一番高く、衝撃や安全性試験に関するテストをしている。万が一壊れた場合でも、人体に影響はない」と、安全である点を強調した。
なお、フレーム両脇のダイヤル部は取り外しできるが、再び取り付けて度数を調節することはできない。
メガネ枠サイズは34×29mm(幅×高さ)で、メガネのつるの長さは135mm。瞳孔間距離は66mm。フレームカラーはブルー、レッド、グリーン、ダークグレー、クリアーの5色。使用期限は2年間。乱視には対応しない。なお、本製品を装着して車を運転、あるいは機械の操作をすることは禁じられている。
発表会では、アドレンズP.O.V.のイメージモデル「adlens angels」による使い方のデモンストレーションも行なわれた。 | 度数の調節は、まずアドレンズを掛け、片方の目を隠した状態で、ダイヤルを調節する | もう片方の目も調節する。基本的な操作はこれで終了 |
ダイヤル部を取り外す場合は、メガネを一旦折りたたむ | フレームとダイヤル部の間にレバーが見える |
このレバーを手前側に引くと、ダイヤルが取れる。一度取り外すと再び取り付けられない点に注意 | ダイヤルなしバーションのアドレンズP.O.V.を掛けているところ |
アドレンズ・ジャパン 中島義展 代表取締役社長 |
アドレンズ・ジャパン 中島義展 代表取締役社長は、本製品のターゲット層について、20~30歳の若者層、特に新しいものが好きな“ガジェットラバー”の男性や、ファッションの一部として捉える女性に向けたとしている。
「普通のメガネと比べると、光学的にも品質的にも、まだそのレベルには達していない。まず今年は、液体レンズの“ファーストジェネレーション”として、普段使いや2本目のメガネ、パーティーグッズとして使っていただき、体験していただきたい」(中島社長)
なおアドレンズ・ジャパンでは、4月に発売した緊急時用の「アドレンズ エマージェンシー」が、9月で2万本の売上を達成したという。
20~30代の男女を中心に展開していくという | アドレンズではこの4月に、緊急時用の「アドレンズ エマージェンシー」を発売している(写真右) | アドレンズ エマージェンシーは、9月で2万本の売上を達成したという。また、東日本大震災の被災地にも緊急支援物資として送られたという |
アドレンズ・リミテッド エグゼクティブ・チェアマンのマイケル・C・フェラーラ氏 |
アドレンズは2005年、イギリス・オックスフォードで創設されたアイウェアの会社。メガネの開発・販売を先進国で行なうほか、発展途上国の人々に視力矯正の手段を提供する2つの事業を展開している。
アドレンズ・リミテッドのエグゼクティブ・チェアマンのマイケル・C・フェラーラ氏は、日本でアドレンズ P.O.V.を販売する理由について「日本はメガネ使用率が8割と高い、アメリカに次ぐメガネ市場。また革新性やファッション性を重視し、流行を創り出す力がある」と説明した。
アドレンズは発展途上国にメガネを提供する事業も展開している |
発表会では、アドレンズP.O.V.の体験もできた。記者も試してみたが、度数が手軽に調節できる点に驚いた。一般的なメガネと比べると、遠くのものがやや見えにくい感があったが、近くのものははっきりと見えた。
■フォトギャラリー
(正藤 慶一)
2011年10月7日 17:54