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リクシル、途上国での設置、衛生面に配慮したトイレ「SATO」

 LIXIL(リクシル)は、国連が制定した11月19日の「世界トイレの日(World Toilet Day)」を機に、世界の衛生課題を考えるきっかけとなる「トイレはどこ?」ブースを、神宮外苑いちょう祭りにて展開している。期間は17日〜19日の3日間。

 同社によれば、安全で衛生的なトイレを利用できない人たちが、世界人口の1/3にあたる、約23億人にのぼり、そのうち、屋外で排泄している人々が約9億人いるという。

 同社は、そうした開発途上国での衛生環境を改善することを目標に、簡易式トイレ「SATO」の普及活動を行なっている。同製品は、途上国でも導入できるようシンプルな構造で、低価格、それでいて衛生面での問題を改善できる安全性と快適性を高められるとする。

簡易式トイレ「SATO」

 SATOは、流体力学分析によって、スムーズな水洗を追求した形。地面に穴を掘り、その出口にコンクリートで枠を作った上で、SATOを取り付けて使う。排泄後に水を流すと、重さで弁が開く構造で、流した後は自動で閉まる。そのため、従来の汲み取り式トイレの課題であった、悪臭やハエを媒介とする病気の伝染を防げるとする。

地面にSATOを設置したイメージ
排泄すると重みで弁が開き、流し終わると自動的に閉まる
現地で手に入れやすいコンクリートを重しとして想定。自動で弁が開閉する
水で流した後にも、弁の内側に水が残るように設計。弁が閉まった時に、溜まった水により排水口を密閉させる

 開発責任者の石山大吾氏は、SATOについて次のように語る。

 「バングラディシュやインドでは、比較的コンクリートが手に入れやすいため、コンクリートを使っています。また、アフリカでは、座れるようにしてほしいという要望が多かったので、座れるものを用意しました。そのように、現地の事情に合わせて、開発を進めています」

開発責任者の石山大吾氏
SATOの普及により、2020年までに1億人の衛生環境を改善することを目標として掲げる

 SATOは、LIXILが製造して配布または販売しているわけではないという。現地でパートナーを見つけ、製造、運搬、販売をする形を作るのも石山氏の役目。

 「この活動は、続けていくことが重要です。単に、SATOを作って現地に提供する、というのでは私達にも限界があります。そうではなく、現地で作る、売る、使うというサイクルを創り出すことが重要です。そうすることで、この活動を続けられるのです」

 現在SATOは、バングラディシュやインド、ウガンダ、ケニア、の4カ国で販売。新たにナイジェリアやタンザニア、ベトナム、フィリピンなど計11カ国に生産・販売体制を構築し、約1,500万人の衛生環境の改善を目指すという。