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トヨタアリーナ東京は10月オープン、照明もすごかった

新アリーナとなるTOYOTA ARENA TOKYO(トヨタアリーナ東京)で新たな気持ちで試合できることを心待ちにしていると語ったテーブス海選手(左)、安藤周人選手(中央)、ザック・バランスキー選手(右)

まもなく10月3日の開業が決まった新施設TOYOTA ARENA TOKYO(トヨタアリーナ東京)。プロバスケットボールB.LEAGUE(Bリーグ)のアルバルク東京などの本拠地として生まれたアリーナは、スポーツや音楽コンサートなど様々なイベントに向けられたもので、その演出には照明も重要な役割を持っている。実際どのような施設なのか、オープン前に体験してきた。

トヨタアリーナ東京は、バスケットボール観戦として大規模な約1万人を収容できるアリーナ。バスケットボール以外のスポーツや、音楽興行などでも活用し、コンサートの収容人数は約8,000人。

なお、アルバルク東京のほかに、同じくBリーグのチームであるサンロッカーズ渋谷もホームアリーナとして活用する。

所在地は、東京都江東区青海1-3-1で、ゆりかもめの青海駅またはりんかい線の東京テレポート駅から徒歩でアクセスできる。かつて“お台場の観覧車”として知られ、トヨタ自動車のMEGA WEBがあった跡地。

メディア向けに公開された28日には、アルバルク東京の3選手が記者会見に登場。8月のFIBAアジアカップでは日本代表ポイントガードとして奮闘したテーブス海選手、高い得点力で期待される安藤周人選手、キャプテンとしてチームをけん引するザック・バランスキー選手が新しいアリーナへの思いを語った。

パナソニック製の最新照明器具144台を導入し、競技者のパフォーマンス向上、観客により臨場感が得られる視認性を提供。運営面でも安心できる高信頼性を実現するという。

照明器具は国際バスケットボール連盟FIBAとの認証契約を締結。最新の照度基準(OFFICIAL BASKETBALL RULES 2020)にも準拠している。FIBA主催の国際大会開催のほか、多彩なスポーツ興行に活用できるという。なお、パナソニックはFIBAと認証契約を締結した唯一の照明メーカーとなっている。

注目の一つは、国内アリーナ最大面積1,000m2超のLEDビジョン。LEDビジョンは3層構造のセンターハングビジョンと2層のリボンビジョンで構成。センターハングビジョンは、試合中のリプレイ映像やスタッツなどを見たり、上の階からでも選手の表情を近くに感じるなど、会場の興奮を高めるのに重要な役割を果たす部分。観客席からの見やすさにこだわり、観客席方向に傾きがある形状やボウル面の視認性を意識した内側ビジョンも設置している。

センターハングビジョン

さらに細かい部分では、アルバルク東京のチームカラーである「赤」の見やすさにもこだわっている。映像で試合を見る際に、カメラを通すと照明によっては赤がややぼんやりとしてしまう(元の色に忠実でない)ケースがあった。今回採用された照明は、赤などの色の再現性が高く、現実(日光下で見た場合)の色に近い赤を表現できる。

選手など競技者にとって重要な、まぶしさを排除するための徹底したシミュレーションと照明角度の最適化を実施している。

アルバルク東京の勝利を演出する迫力の照明
アルバルク東京の勝利演出を、4F観客席と1Fのコート間際から見た映像

演出に重要なのは器具の性能だけではない。アリーナ内の照明器具、映像設備、音響設備を一括制御できる総合演出システムを導入したのもポイント。メインアリーナ内の照明やセンターハングビジョン、リボンビジョン、音響設備を連動させることで、試合進行に合わせた多彩な演出が行なえ、会場全体が一体となるエンターテインメント空間になるという。

エントランスやコンコースに設置した約130台のサイネージも統合制御が可能。試合進行に合わせた情報提供や演出連動を行なう。

キャプテンのザック・バランスキー選手も、大型のリボンビジョンを活用した演出に期待していることを語った

音響は、常設スポーツ用として国内最大規模のラインアレイスピーカーを装備。ドイツd&b audiotechik製スピーカーシステムで、アリーナ内のどこにいても高音質を均一に届けられるという。構成は、大型サブウーファーと11連ラインアレイスピーカー8セット、ディレイスピーカー28台、コート面スピーカー8台。常設のスポーツ用途としては国内最大規模を誇る。

こうした映像や音響設備による演出で会場全体の空間を包み込み、バスケの本場である「米国NBAのアリーナにも匹敵する没入感」とし、国内における新たな観戦体験の実現を目指している。

天井に備えたラインアレイスピーカーなどで音響も大迫力

パナソニックとしても初めて照明、映像、音響設備等を一括で納入した強みを活かし、最高峰のエンターテインメント体験を実現し、バスケットボール以外の興行も視野に入れた可能性を追求していくという。

座席や食事など観戦環境も充実

長時間の観戦に重要なシートの座り心地の良さにもこだわり、約1万席の全てのシートが座面と背面のクッションが付いたPVCレザーシートとなっており、カップホルダーも配置。上層階の一番上の座席でも快適に過ごせるように配慮されている。1万席規模以上のアリーナで全席レザーシートは国内初となる。

全席レザーシート。写真は上層席

座席の配置は、バスケットボール競技の見やすさを重視した楕円(オーバル)型を採用。どの席に座っても見やすいように配慮した。

楕円形の客席でどこからでも見やすくなっている

バスケットボールの試合は2時間ほどに及ぶのが一般的で、試合前の演出などを含めると試合開始2時間前に会場到着がおすすめ(Bリーグ公式サイトの情報)だという。

長い時間を過ごすために重要な観戦環境も充実。1Fアリーナには、B1クラブ初となる、入場前の選手が間近で見られるPLAYERS LOUNGE(1人2万円/1試合ごとの単日販売/アルバルク東京ファンクラブ会員向け)があり、ゆったりできるラグジュアリーなスペースとしては、1口198万円のシーズンチケット(1口2席)で利用できる最上級ラウンジのTOYOTA PREMIUM LOUNGE(メインアリーナ1F)も用意。

1FアリーナのPLAYERS LOUNGE
最上級ラウンジのTOYOTA PREMIUM LOUNGE
調理の様子も楽しみながら食事が提供される
特製のアルバルクビール(右)なども観戦の楽しみの一つ

2Fアリーナには個室空間でコートとの距離も約18mと近いJAPAN AIRLINES TERRACE SUITE(12名部屋/80万円、15名部屋/100万円の単日販売)など、様々な席やスペースが用意されている。

子供と一緒に座って観戦しやすいベンチシート仕様のファミリールームも、メインアリーナの3Fに用意。子供の年齢差に合わせて2タイプのプレイスペースが備えられているほか、感覚過敏な人が落ち着けるように、CALM DOWN/COOL DOWN室を、ファミリールーム横に備えている。

子供と楽しめるファミリールーム
選手やスタッフとのコラボメニューも提供。写真はアルバルク東京の小酒部泰輝選手、伊藤大司GMがプロデュースしたメニュー

Bリーグ発足時から、これまでホームアリーナが何度も変更となっていたアルバルク東京。今回、新たな本拠地が決まったことで、選手もバスケットボールにより集中でき、これまで以上のパフォーマンスが期待できそうだ。

観客としても、バスケが好きな人はより試合に没入できそうな場所となりそうだ。一方でファンではない人にとっても様々な楽しみ方ができることから、より幅広い人にとって東京の新しい名所になることが期待できそうだ。