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パナソニック、離れた場所から心拍数を正確に測れて、ストレス状態もわかる新技術
(2016/1/28 15:05)
パナソニックは、離れたところから非接触で心拍数および心拍間隔を計測できる生体情報センシング技術を京都大学のCenter of Innovation(COI)と開発。同技術の説明会を都内で行なった。
パナソニックのスペクトラム拡散ミリ波レーダー技術と、京都大学COIの特徴点ベースの心拍推定アルゴリズムにより、非接触で心拍間隔をリアルタイムに計測できる技術。
同社先端研究本部の酒井啓之氏によれば、「人の呼吸や心拍など、生体情報を常にモニターしたいという要望は以前からありました」という。現状の計測器には、次のような問題があるため、こうした要望に応えられずにいると続ける。
「現在のウェアラブルタイプの計測器は、基本的に体に接触させる必要があります。また、充電やメンテナンスもしなくてはならず、“常時”は付けていられないという問題がありました。
一方で、従来からあったカメラや、今回紹介するレーダーなどを使った、非接触型の計測器に関しては、接触型の計測器と比較すると精度に問題があります」
現在、京都大学の佐藤先生と開発している計測器は、従来の非接触型計測器と同様に日常生活の中で気軽に計測できると同時に、心電計などの接触型計測器と同等の精度で、心拍と心拍間隔を測れるものです」
さらに、心拍数と同時に心拍間隔がリアルタイムで測れることのメリットとして、「自律神経の状態推定が可能」だということを佐藤氏は挙げる。
「人間は精神的に緊張していると、心拍の変動というのがあまりないと言われています。心拍の変動が少なく、一定に推移しているときには、ストレスが非常に掛かっている状態だということです。
逆に落ち着いている状態、くつろいでいる時には、心拍間隔というのが変わっていく。
つまり、心拍間隔を測ることによって、単に心臓などの状況だけでなく、精神的な状態まで推定できると言われています」
照明やエアコンなどの家電に組み込み、家族の健康管理に役立てる
「現在は技術の原理を実証した段階だが、これから実生活の中で使っていき、そこで得られた信号を活用し、さらに高度なシステムを作っていきたい」と語った。
また、現在の試作機は大きなものになっているが、これを10cm角までのサイズに小型化することが可能とする。ダウンサイジングが実現すれば、照明器具やエアコンなどの家電製品に組み込んだり、天井などに埋め込んだりできる。
最後に、パナソニックと共同開発をしている京都大学の佐藤亨教授は、「私たちが目指しているのは、家族がテーブルを囲んでいる一般家庭のリビングで、一人ずつをセンシングしていくことだ」と語った。