ニュース

フィリップスがノートルダム大聖堂に400基のLED照明を導入

 ロイヤル フィリップスは、パリのノートルダム大聖堂に、合計で400基のLED照明器具を導入したと発表した。すべてのLED照明器具の消費電力合計は30kW。これまでの140kWよりも、エネルギー消費量が80%削減された。

 導入したLED照明器具では、聖母子像をはじめとした有名な芸術作品に加え、13世紀に造られ天国の花を象徴するとされるバラ窓(ステンドグラス窓)などがライトアップされている。

聖母子像。プロファイルスポットライトによる優しい光が、彫刻と足元を飾る白い花を照らす
バラ窓は、窓から50メートル以上離れたところにある250Wのスポットライト2基により照らされている

 このプロジェクトの特徴は、司祭であり建築家であるBenoit Ferré氏によって設計された、可動式で簡単に接近できる梁を設置したこと。トリフォリウム(内壁の高い通路)と同じ300mの長さがあるという。

 また、400基の照明器具は、タッチパネルを採用したコンピューターシステムで簡単に操作できる。このシステムには複数の照明プログラムが導入されており、必要に応じてノートルダム大聖堂の管理者が追加できるという。また、ほぼすべての照明器具が調光機能を有するため、儀式、コンサート、祈祷など、イベントの内容、時刻、時期に応じて照明を変えられる。

 このプロジェクトについて、照明デザイナーを担当したArmand Zadikian氏と、フィリップス ライティング フランスのゼネラルマネージャーであるBenjamin Azoulay氏は、次のように述べている。

 「大聖堂には宗教的役割と文化的役割という2つの役割があり、宗教儀式、参拝、コンサートが行なわれます。そのため、新たな照明はそれぞれの活動に応じて異なる雰囲気を作り出せるよう設計されています」(Armand Zadikian氏)。

 「フィリップスはこの素晴らしいプロジェクトに、自社のノウハウと技術で貢献できたことを非常に光栄に思います。当社にとって課題となったのは、毎年、数百万人もの参拝者を魅了するこの記念建造物に敬意を払いつつ、効果的な照明を設置することでした。照明は本当の意味で場所の美しさを引き立てるものでなくてはならず、どんな時でも前面に出てはならないからです」(Benjamin Azoulay氏)。

中野 信二