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シャープ、インドネシア国内向けの白物家電工場を現地に建設

東京ドーム約7個分となる約31万平方mの敷地に、約107億円を投資

インドネシア・カラワン県のシャープカラワン工場

 シャープは、新たな白物家電の生産拠点であるインドネシア・カラワン県のカラワン工場の開所式を、2月12日、同工場で行なった。

 同工場は、2013年9月に洗濯機を月産7万2,000台、2013年10月からは冷蔵庫を月産3万1,000台で、それぞれ生産を開始しており、2015年3月には、フル稼働体制を敷き、冷蔵庫で月産22万台、洗濯機では月産14万台の規模を目指す。

 開所式には、シャープの高橋興三社長、アジア・パシフィック代表の藤本登常務執行役員、シャープ・エレクトロニクス・インドネシアの入江史浩社長など約60人のシャープ関係者が出席。また、インドネシア政府からはムハンマド・ヒダヤット工業大臣、投資調整庁のマヘンドラ・シレガル長官、カラワン県のアデ・スワラ知事などが参加。約340人が出席し、新工場の稼働を祝った。

現地で行なわれた記者会見の様子
開所式で挨拶するシャープの高橋興三社長

 高橋社長は、「2013年5月に発表した中期経営計画では、ASEANを最重点地域として、海外事業の拡大に取り組んでいる。新工場の稼働を足がかりに、さらなる事業拡大を目指す」とし、「シャープがインドネシアに進出してから40年を経過しており、その間、多くの人々に支えられて事業を続けてきた。今後も、お客様に喜ばれる製品を提供し、インドネシアで必要とされる会社であり続けたい」と挨拶した。

 カラワン新工場は、ジャカルタ近郊となる西ジャワ州カラワン県のカラワン工業団地内に開設。東京ドーム約7個分となる約31万平方mの敷地に、約1兆2,000億ルピア(約107億円)を投資して建設した白物家電の新工場。従来からジャカルタにある旧工場は、テレビの生産ラインを残すものの、洗濯機および冷蔵庫の生産ラインは、2014年中に新工場に集約する。

 フル稼働時には、旧工場に比べて、洗濯機は約2.5倍、冷蔵庫は約2倍の生産規模となる。生産した冷蔵庫および洗濯機は、そのほとんどがインドネシア国内向けに出荷することになる。

 「インドネシアにおける家電の普及率はまだ低い。今後、社会インフラの整備とともに、需要の拡大が期待できる。まずはインドネシア国内の旺盛な需要に対応するが、ASEAN地域向けの輸出拡大も視野に入れている。ASEAN地域は、日本に次いで勢いよく成長している市場であり、米州に迫る売上高規模となった。ASEAN最大の市場であるインドネシアの内需を取り込むとともに、ASEAN向けの輸出拠点として、カラワン新工場を活用していく。さらなる生産台数の拡張については、今後の需要動向をみて判断する」(高橋社長)とした。

 さらに、「インドネシアにおいては、40年に渡る事業経験があり、広大なインドネシア市場をカバーする販売網とサービス拠点を整備しており、地道にファンを増やしてきた。また、合展や個展、ATOM隊などの当社独自の日本式販促活動への取り組みや、移動バスなどの他社には真似ができないユニークな取り組みを行なっている」と語った。

販促キャンペーンにドラえもんを起用

 シャープは、インドネシアをはじめとするASEAN地域で、ドラえもんを活用した販促キャペーンを実施している。

 高橋社長は、「国によって差はあるが、ASEAN全域で、ドラえもんの認知度や好意度は高い。夢を与える、日本発などのポジテイブなイメージは、シャープのブランドアップにも寄与するとみている。店頭でもいいアイキャッチになっている」とした。

インドネシアをはじめとするASEAN地域で、ドラえもんを活用した販促キャペーンを実施
店頭でのアイキャッチとしても有効だという

 一方、同社のタイ工場ではエアコンの生産も行なっているが、「新工場でのエアコンの生産は未定であり、当面はタイ工場で生産する」とした。インドネシアではまだエアコンの普及率が低いが、「冷蔵庫や洗濯機に比べて消費電力が大きい。現在の脆弱な電力インフラの整備状況をみながら検討する」と、その理由を述べた。

 また、新工場は、換気ブロックやルーフモニター、誘引ファンなどの採用により省エネ化を実現しているのも特徴で、環境配慮型工場と位置づけている。

生産ラインを見学する(左から)ムハンマド・ヒダヤット工業大臣、シャープの高橋興三社長、シャープ・エレクトロニクス・インドネシアの入江史浩社長
二槽式洗濯機の生産ライン

 高橋社長は、シャープの白物家電事業戦略についても言及。「当社にとって、白物家電事業は重要な位置づけを持つ。先進国向けには、機器間連携などの新たな機能や価値を訴求。新興国向けには、ローカルフィット商品を投入する。インドネシアなどの水道事情がよくない地域では水質浄化装置の付いた二槽式洗濯機が人気である。また停電が頻発するため、直冷式冷蔵庫が好まれるといった傾向がある。最近では、保冷剤を組み込んだ直冷式冷蔵庫を市場投入した。このように、ローカルで商品企画、生産、販売、マーケティングを行なう地産地消の取り組みが重要になる」と語った。

大河原 克行