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象印のホームベーカリーは「日本一おいしい食パンが焼ける」
~2年間かけて地蔵家の味を再現
(2013/9/11 00:00)
象印マホービンは、同社が9月21日に発売するホームベーカリー「パンくらぶ BB-SS10」の説明会を開催。会場では、BB-SS10の目標が「日本一おいしい食パンが焼けるホームベーカリー」であり、そのために2年をかけたという苦心談が語られた。
底面の高火力ヒーターで素早く加熱。神戸の人気パン店監修によるコースも
BB-SS10は、パン屋の窯を再現するため、庫内底部にヒーターを搭載した「高火力・底面加熱ヒーター」を搭載した点が特徴。従来からの側面のヒーターに加え、底面からも高火力を伝えることで、庫内温度が一気に上がり、耳まで柔らかいパンが焼けるという。
また、神戸市の人気食パン専門店「地蔵家」(兵庫県神戸市灘区弓木町3-2-12)の監修による「プレミアムリッチコース」も搭載。材料に生クリームや練乳を加えることで、口の中で溶けていくような、きめの細かい食感のパンが焼けるという。
さらに、イースト菌の使用量を通常モードの3gから1gに抑えた「イースト少なめコース」、発酵や焼き時間が自由に調節できる「ホームメードコース」なども搭載。また、パンのほか、餅やジャム、そばやうどんなど麺生地も作れる。全110種類のレシピが掲載された「カラーレシピブック」も同梱される。希望小売価格は52,500円。
シェアはパナソニックに次ぐ第2位。“日本一おいしい食パン”で挽回を狙う
BB-SS10の開発に携わった、象印マホービン 第二事業部の北村充子マネージャーは、今回の新製品を開発した理由について、象印のホームベーカリーのシェアが2位であることを挙げた。
「ホームベーカリーのシェアナンバーワンはパナソニック。当社は2位だが、1位とは大きく離れている。そこで、今ある機種をベースに変えるのではなく、初心に帰って、1から根本的に開発してみよう、というのが発端だった」(北村マネージャー)
そこで、主婦がホームベーカリーに何を一番求めているのか調査したところ、さまざまな機能があるものの、毎日使うとなると、基本の食パンがおいしくできるものがほしい、という意見が多かった。
おいしい食パンとは何か? と疑問を持った開発チームは、全国で評判のパン屋の中から、23種類の食パンをピックアップして食べ比べた。その結果、抜群においしかったのが、地蔵家の食パンだった。
「耳が柔らかくて薄く、パンの身が柔らかく軽い。イースト菌のにおいが少なく、材料そのものの香りがした。この“日本一おいしい食パン”が焼けるホームベーカリーを作ろう、ということで開発がスタートした」(北村マネージャー)
なぜ神戸の人気食パン店は象印の共同開発を承諾したのか?
象印は地蔵家にホームベーカリーの共同開発を持ちかけた。地蔵家では、“家庭で地蔵家のパンが焼けるようになったら、自分たちの首を締めるのでは”と、反対の声もあったという。しかし、地蔵家の店主である中原親則氏は“自分がいなくなった時に、弟子たちの刺激になるのでは”として、共同開発を承諾した。
開発部隊がまず最初にしたことが、地蔵家にあるパンを焼くオーブンの温度を測り、ホームベーカリーとの熱の伝わり方の違いを調べることだった。その結果、地蔵家では専用のオーブンで生地を一気に加熱するため、パンの耳が薄い状態で焼けていくが、ホームベーカリーでは予熱などで熱がじわじわと上昇するため、パンの耳が硬く厚くなってしまうことがわかった。BB-SS10で本体底部にヒーターが追加されたのは、この地蔵家での調査によるものだった。
開発部隊はさらに、“弟子にも教えていない”という地蔵家の食パンの配合も、中原氏より教わった。プレミアムリッチコースはこの配合を再現することで、地蔵家のようなリッチな味わいの食パンが焼けるとしている。同コースの材料は水、強力粉、上白糖、バター、ドライイーストというホームベーカリーでお馴染みの配合に加え、生クリーム(乳脂肪分47%前後に限る)、練乳、三温糖、焼き塩を利用する。調理時間は約3時間で、通常モードとほぼ変わりない。
開発期間は約2年。中原氏は当時の象印のホームベーカリーを見た時、地蔵家のような食パンが作れるわけがないと思っていたとのことだが、完成したBB-SS10で焼いた食パンを食べたところ「びっくりするくらい柔らかく、地蔵家の味に近い。ホームベーカリーでここまでできるとは思わなかった」と驚いたという。