ハイアール、「AQUA」ブランドで冷蔵庫と洗濯機を販売

~“生き残る企業は時代と共に変化する”張CEO、戦略を語る

「Haier」と「AQUA」のダブルブランド展開

左から、ハイアールグループ副総裁 兼 ハイアールアジアインターナショナル 代表取締役社長 杜 鏡国氏、ハイアールグループCEO 兼 ハイアール アジア インターナショナル 名誉会長 張端敏氏、ハイアールアクアセールス 代表執行取締役社長 中川喜之氏

 ハイアール アクア セールスは、日本における白物家電の新たなブランドとして「AQUA」を発足することを発表した。同ブランドは、ハイアールが三洋電機から昨年買収した洗濯機、家庭用冷蔵庫事業を活かしたもので、家庭用の冷蔵庫、洗濯機のほか、業務用の洗濯機などを扱う。

 初年度は、冷蔵庫・フリーザー13機種(27品番)、洗濯機・衣類乾燥機17機種(18品番)、業務用洗濯機・衣類乾燥機などのその他製品33機種(61品番)の計63機種(106品番)をラインナップするという。なお、製品の機能や仕様などは三洋電機で扱っていたものと、同等だという。

三洋電機の洗濯機ブランドであった「AQUA」をそのままブランドネームとして使用するAQUAブランドとして販売する冷蔵庫、洗濯機、業務用洗濯機など製品の仕様は三洋電機で扱っていたものと基本的には同等。今後新製品の開発、販売も予定されている
小柄な女性や年配の人にも使いやすい工夫がされている冷蔵庫縦型の洗濯乾燥機ドラム式もラインナップされている
中川喜之氏

 ハイアールアクアセールス 代表執行取締役社長 中川喜之氏は、今回のブランド発足について「私たちがこれまで培った技術や知識を活かせる新ブランド」と、紹介。「AQUAというと、三洋電機で2006年に発売した洗濯機のイメージが強いが、今後は洗濯機だけでなく、家電ブランドとして自由な発想を大事にしていきたい」と語った。なお、同氏は三洋電機のランドリー企画や販売に長く携わったあと、洗濯機の開発/販売を行なう三洋アクア株式会社の社長を務めていた。

 日本での今後の展開については、ハイアールが従来より展開している「Haier」ブランドと「AQUA」ブランドで、ダブルブランド展開していく。「AQUA」が高付加価値製品、「Haier」がスタンダードでベーシックな製品を扱うことで、ニーズにあった差別化を行なうという。なお、販売は、それぞれ別の会社が担当する。「AQUA」はハイアール アクア セールスが、「Haier」は従来通り、ハイアール ジャパン セールスが担当する。AQUAの初年度の売り上げは350億円を目指し、シェア目標は10%を掲げる。

日本で10年前より展開している「Haier」ブランドは従来通り続ける。写真は単身者をターゲットとしたコンパクトな製品シンプルでベーシックな製品が中心となる

 また、タレントの小泉今日子さんをイメージキャラクターとして、明日よりテレビコマーシャルの放映を開始。今後も積極的にプロモーションを行なっていくという。

初年度の350億円を目指し、シェア目標は10%を掲げるイメージキャラクターとしてタレントの小泉今日子さんを起用。明日からテレビコマーシャルの放映も開始する

アジア地域の統括本社を大阪に設立

ハイアールグループ副総裁 兼 ハイアールアジアインターナショナル 代表取締役社長 杜 鏡国氏

 また、ハイアールグループでは、アジア地域の統括本社としてハイアール アジア インターナショナルを日本に設立したことも発表した。2012年1月5日に設立したもので、日本並びにアジア地域向けの商品開発及び、販売を行なうという。

 今回、日本にアジアの統括本社を設立した理由としてハイアールグループ副総裁 兼 ハイアールアジアインターナショナル 代表取締役社長 杜 鏡国(と・きょうこく)氏は「日本は家電に領域において世界で最も進んでいる地域。技術などの貴重な財産がたくさんある」と語った。また、ハイアール アクア セールスとのダブルブランド展開など、日本においての今後の戦略については「文化的融合が最も大切。日本が持つ家電作りの伝統と、ハイアールの持つ経営戦略がシナジーすることで、日本起点でアジアに発信することができる」と話した。

 ハイアール アジア インターナショナルでは、日本で2カ所に開発拠点を設置するほか、タイやインドネシアなどに4カ所の製造拠点を設ける。日本/ベトナム/フィリピン/マレーシア/インドネシア/タイの6カ国で販売を行なう。開発拠点については京都と東京の2カ所にR&Dセンターを新たに設置。この開発拠点で、AQUAブランドの高付加価値製品の開発も進めるという。なお、日本以外のアジア各国では「Haier」ブランドのみで展開する。

日本での今後の戦略については「文化的融合が最も大切」と述べたハイアール アジア インターナショナルでは、日本に開発拠点を設置。アジア向けの製品の販売も行なう新たな開発拠点として、京都と東京の2カ所にR&Dセンターを設置する

張CEOが語る“将棋の相手にはうまい人を見つける”ハイアールの経営戦略モデル

ハイアールグループCEO 兼 ハイアール アジア インターナショナル 名誉会長 張端敏氏

 会場では、ハイアールグループCEO 兼 ハイアール アジア インターナショナル 名誉会長 張端敏(ちょう・すいびん)氏が登場、自らハイアールグループの経営戦略について語った。ハイアールグループは1991年に中国・青島で設立、以降、白物家電を中心に世界各国で展開。販売台数シェアでは3年連続で世界1位を獲得する世界的なブランドに成長している。

 張氏は、ネット時代においては従来の企業理論は通用しないことを指摘。「ユーザーが何を欲しているか、差別化して、最短・最速で製品を提供することが重要。企業が中心ではなくて、顧客を中心にしなければならない。特に重要なのはスピード。従来のような、縦割りのシステムでは、とても間に合わない」と話し、従来の正三角形の組織構造ではなく、顧客が一番上にある逆三角形の組織構造を提案。

 「トヨタがなぜ、フォードに勝てたかというと、それはトヨタの組織構造が5段階だったから、一方フォードは14段階もあった。段階が多い分、対応が遅れしまう」

 一方、逆三角形の組織は、正三角形に比べて、倒れやすいという点も指摘。「駒のように回すことが必要」とし、約8万人いる従業員を約2,000の自主経営体に分けていることを明かした。これは、個人が自主的に動くことを促すために行なっている経営方法で、「全ての人が自分自身のCEOとなること」を狙っているという。

 張氏は「成功している企業はない。あるのは、時代とともに変化できる企業のみだ。一般的な企業では来年度の予算を前年比を基準とするが、私たちの会社では市場状況を見て決める。これは目標は上司が決めるのではなく、個人で決めるという会社の理念を活かしたもの」と語り、企業が成長していくためには、常に挑戦していくことが必要だと話した。

従来の三角形の組織構造は時代に合わないと指摘。ハイアールでは逆三角形の組織構造を目指しているという細かい自主経営体に分けることで、個人の意識が向上するという世界でNo.1のシェアを獲得するには、常に挑戦し続けることが重要だと述べた

 今回、ハイアールのアジア本部を日本に設立したことについては「さらに多元的な効果を達成できる」と期待を見せた。会場からは、日本の白物家電市場は、世界でも特殊で参入が難しい点を指摘された。これについて「将棋の相手にはうまい人を見つける、というのがハイアールの理念の1つ。確かに日本の顧客のニーズは世界でも群を抜いて高い。だからこそ、選んだ。難しい市場だからこそ、技術も得られる」と話した。

 また、世界市場を見据えた決断であったことも明かした。「家電市場においては、アメリカ、ヨーロッパ、そして日本の製品が世界をリードしている。ハイアールでは既にアメリカとヨーロッパに本部を設置している。日本にアジア本部を設置したことで、顧客のニーズを取得するバランスがよくなった」と語った。

会場には海外で販売しているハイアール製品も展示されていた日本ではみかけない「Haier」ブランドのパソコンも中国で販売している冷蔵庫2機種




(阿部 夏子)

2012年2月15日 18:10