政令指定都市17市が参加する「指定都市 自然エネルギー協議会」が発足
ソフトバンクグループの孫正義代表 |
全国17の指定都市による「指定都市 自然エネルギー協議会」が第1回総会を開催した。同会は、地域特性を生かした分散型の自然エネルギーの普及・拡大を目的として27日に設立された。指定都市とは、50万人以上の人口を持つ市で、一般に政令指定都市または政令市などと呼ばれる。
今回の協議会には全国に19市ある指定都市のうち、17市が参加した。参加した市は、札幌市、仙台市、さいたま市、横浜市、川崎市、相模原市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市。参加していないのは、新潟市と千葉市。私企業としては、ソフトバンクグループが参加している。
総会では、協議会発足の呼びかけをしたソフトバンクグループの孫正義代表が議事進行を行なった。まず、活動内容などの規約を決議。活動内容は、「自然エネルギーの普及・拡大に向けた情報交換並びに情報共有」と「自然エネルギーの普及・拡大に向けた政策提言」となっている。
続いて、会長に京都市の門川大作市長を、副会長に札幌市の上田文雄市長と福岡市の高島宗一郎市長を選任した。ここで、孫代表は、議事進行を門川市長に譲った上で、改めて事務局長に選任された。
選任された役員 | ほとんどの指定都市、市長が出席した |
会長、副会長の挨拶に続き、孫代表が自らの政策案を提言した。主な内容は、「住宅屋根の発電分を全量買い取り対象に」、「太陽光パネル設置ビル、マンションの容積率を緩和」、「ゴミ処理場へのバイオマス発電の設置およびバイオマス用分別ルールの構築」、「スマートメーターの設置義務化」など、総論というよりは各論に類したものが多かった。しかし、孫代表のみが、一般的な挨拶ではなくプレゼンテーション用のスライドを用意した発表を行なったことで、ソフトバンクが主導権を持っていることが強く印象づけられた。
活動方針に関する意見交換では、すでに発足している県レベルでの自然エネルギー協議会との関係が話題となり、一体化して強く政策を訴えるべきという意見と、地域に密着した自治体という利点を生かして活動すべきという意見が述べられた。今後の活動方針については、今後の分科会などの討論に委ねられることとなった。
スライドを使用して発表を行なった孫代表 | 孫事務局長のプレゼンテーションまとめ |
総会後に行なわれた孫代表への質疑応答では、私企業としてソフトバンクグループ1社のみが参加していることへの疑問に対し、「今回は、東日本大震災を踏まえて、すぐに動かなければならないため、意欲のある参加者が集まったということだ。広く、他の企業の参加を募りたい」と回答。しかし、他の市町からは「政策提言が1つのテーマであり、あまり多くの企業が参加することはないのではないか」という意見も述べられた。
総会を通じて、各市長の発言に見られたのは、指定都市はエネルギーを消費する場所であったのが、今後は分散型自立型の自然エネルギー生産地とならねばならないという危機感だった。日本の人口の約20%は指定都市に在住しており、エネルギーの消費量は多い。しかし、札幌市のように、ごく近い距離に原子力発電所(泊原発)がある都市もある。東日本大震災とそれによる原発事故を踏まえて、都市自らが変わらなければならないという意識は協議会内で共有されていると感じられた。
(伊達 浩二)
2011年7月27日 14:11