ダイキンの空気清浄機で発煙・発火事故、約87万台を無償点検


 ダイキン工業は、同社が発売する空気清浄機について、8件の発煙・発火事故が発生したと発表。約87万台の対象製品について、無償で点検・修理する。

 対象となるのは、空気清浄機「光クリエール」、加湿機能を搭載した「うるおい光クリエール」、加湿・除湿機能搭載の「クリアフォース」のうち、2006年8月から2009年7月までの間に製造したもの。海外で販売された4万台も含まれる。

 これまでに、脱臭フィルターが発火する事件が8件発生。うち1件では、製品下部の床約1平方mに焦げが発生。また特別養護老人ホームで発生した事故では、煙を吸った1名が検査入院したという(異常はなく翌日には退院)。

無償点検の対象となった空気清浄機「光クリエール ACM75J-W」加湿空気清浄機の「うるおい 光クリエール MCK75J-W」も対象となる加湿・除湿機能付きの「クリアフォース」。写真のMCZ65K-Wは、一部の製品が対象

 発火原因は、製品の内部に搭載されている、空気中の粉塵をキャッチする「電気集塵部」から、集塵フィルターを介して、脱臭フィルターに偶発的な放電が発生、脱臭フィルターが発火するというもの。

 発火の詳細は、まず大気中のアンモニア系の臭気成分が電気集塵部で分解され、「合成物」となる。この合成物は集塵・脱臭フィルターに捕集されるが、周囲の湿度が約70%以上になると液状化し、集塵フィルターが導電性を帯びる。この集塵フィルターの一部が電気集塵部の放電線に接触した場合、集塵フィルターと脱臭フィルターのスキマで放電が起こる。これだけではエネルギーが弱いため発煙・発火には至らないが、集塵フィルタ周辺の湿度が低下した場合、連続放電が発生、脱臭フィルターの温度が上昇する。さらに、脱臭フィルターに付着した合成物は、多量に酸素を発生するため、助燃作用により発煙・発火に至るという。同社によれば、発煙・発火はこれらの要因が重なった場合にのみ発生するとしている。

ダイキンの空気清浄機の内部構造

 今回の修理では、電気集塵部に集塵フィルターが接触しない安全な構造へと変更する。修理方法は【1】引き取り、【2】出張修理、【3】ユーザー自身による部品交換の3パターンから選べる。ただし【3】については、除湿・加湿機能付きの「クリアフォース」では対応しない。

 なお、2009年8月から2010年1月22日までに製造した、約3万台のクリアフォースについても、除湿ユニットに異物が付着すると発熱する恐れがあるとして、同時に無償点検・修理を行なう。このことによる事故は発生していない。

 修理の対象となる機種・型番は以下の表の通り。2009年8月以降に製造した空気清浄機と加湿空気清浄機、および2010年1月23日以降に製造した除湿・加湿機能付き空気清浄機に関しては、不具合は確認されていないという。

点検が必要となる製品の品番。写真は空気清浄機「光クリエール」加湿空気清浄機「うるおい光クリエール」の対象品番
加湿・除湿機能付きの「クリアフォース」の対象品番。製造番号により交換の必要がない場合もある

 同社では10日付けの朝刊に社告を掲載。同社の問い合わせ窓口へ電話連絡するよう呼びかけている。また、ホームページでも修理を申し込める。



(正藤 慶一)

2010年4月9日 16:58