日立、リモコンの位置を中心に空調できるエアコン「白くまくん」

~リモコンにリチウム電池、ソーラーパネルを採用

イオンミスト ステンレス・クリーン 白くまくん Sシリーズ
 日立アプライアンスは、リモコンを身近な場所に置くと、その周囲だけを空調して省エネ運転するエアコン「イオンミスト ステンレス・クリーン 白くまくん Sシリーズ」を、11月上旬に順次発売する。価格はすべてオープンプライス。ラインナップの詳細は以下の表の通り。

クリアホワイトシャインベージュ

型番冷房時
定格能力
冷房時
適用床面積
室内機サイズ
(幅×奥行き×高さ)
室外機サイズ
(同)
店頭予想価格
RAS-S22Z2.2kW6畳程度798×
295×
254mm
750×
570×
288mm
20万円前後
RAS-S25Z2.5kW8畳程度22万円前後
RAS-S28Z2.8kW10畳程度24万円前後
RAS-S36Z3.6kW12畳程度25万円前後
RAS-S40Z24.0kW14畳程度792×
600×
299mm
26万円前後
RAS-S50Z25.0kW16畳程度29万円前後
RAS-S63Z26.3kW20畳程度31万円前後
RAS-S71Z27.1kW23畳程度33万円前後

 日立の高級エアコン「白くまくん」シリーズの最新モデル。従来機種に引き続いて、室内機内の部品を除菌効果のあるステンレス化した「ステンレス・クリーン システム」、肌の潤いを保ち、ウイルスやカビ菌、アレル物質などの活動を抑制する「イオンミスト」機能を採用する。

日立の「白くまくん」シリーズは、室内機の内部構造がすべてステンレス素材。そのため、汚れや菌が発生しにくい微細な水分を含むイオンを放出する「イオンミスト」機能も継承イオンミストの効果。肌の潤いを保ち、菌やウイルス、ニオイの抑制にも効果がある

 新製品では、ユーザーの周囲だけを状況に応じた温度で空調し、省エネを図る「エリア・エコ機能」を新たに搭載した。ユーザーがリモコンを身近な場所に置きリモコンのボタンを押すと、室内機とリモコンの通信により、室内機がリモコンの位置を検知、その周囲を中心に気流を送る仕組みになっている。室内機には、人の動きを見る「エコみるみるセンサー」も備わっており、ユーザーの活動量に応じて、設定温度を自動で調整できる。また、リモコンには温度センサー「あるとこ温度センサー」も備えられており、リモコン周囲の温度を室内機に送ることで、きめ細やかな空調が行なえるという。

 この結果、暖房時には最大で約14%、冷房時で約25%の省エネが実現できるという。同社では、読書や昼寝などの移動頻度が低い場合に便利としている。なお、掃除やエクササイズなど、人の動きが多い場合は、人の居場所や活動量に応じて部屋全体を空調する「エコ運転」が便利だという。

リモコンがある周辺だけを空調する「エリア・エコ運転」を新搭載エリア・エコ運転(右)と通常運転(左)の比較。エリア・エコ運転では、リモコンの周囲だけを空調するため、パワーが抑えられる人の活動量を見る「エコみるみるセンサー」や、リモコン付近の温度を検知する「あるとこ温度センサー」も搭載。きめ細かい空調ができるという

「エリア・エコ運転」の動作イメージ。リモコンのボタンを押すと、室内機がリモコンの位置に合わせて風向を変える

新シリーズのリモコン
 リモコンには「電気代」ボタンも新設された。このボタンを押すことで、電気代とCO2排出量の目安を液晶に表示できる。表示は、現在使用中の電気代、CO2排出量のほか、今月/前月/昨年同月の電気代、今月のCO2排出量も表示できる。同社では「室内機本体に表示するのではなく、リモコンで確認できるので利便性が高い」としている。

 リモコンの電源には通常の乾電池よりも容量の多いリチウム電池、リモコン表面にはソーラーパネルを採用。これにより、電池の交換や廃棄、時刻の再設定などの手間が省けるという。なお、リモコンには単四乾電池2個の入口も用意されているが、乾電池の充電はできない。

【お詫びと訂正】初出時、電池を「リチウムイオン電池」と表記しておりましたが、正しくは「リチウム電池」です。また、ソーラーパネルはリチウム電池を充電する機能は備えておりません。訂正してお詫びいたします。

電気代ボタンで、電気代とCO2排出量がリモコン上に表示できるリモコン上では、画面最上部の緑色の部分に表示される

電源はリチウム電池。明るい場所では、ソーラーパネルが電源となるリモコン内の構造

ビッグルーバーをより長くし、温風の到達距離が伸びて、足元へよく広がるようになった
 気流の面では、吹き出し口にある2枚のルーバー「ビッグルーバー」を、より遠くへ風が届くよう長く伸ばした。従来製品と比べて、温風到達距離は20%向上。温風の足元への広がりは21%向上したという。

 エアコンの基本性能も向上した。圧縮機では省エネとハイパワーを実現するため、低速型の高効率モーターを搭載しつつ、高効率運転時にも安定して回転できる「カスケードベクトル制御(CV-PAM制御)」を採用。熱交換器には、すべてのパーツが一体となった「一体形」を採用し、熱交換効率を改善した。さらに、ファンのブレードを波形とすることで、従来機種と同じ風量と騒音ながらも、ファン動力を低減しているという。

ロングルーバーがどれだけ足元に暖かさを伝えるかをアピールするデモ。ルーバーが上下すると、それに連れて暖かさも上下する

モーターは、省エネとパワーを両立する「低速型の高効率モーター」と「カスケードベクトル制御(CV-PAM制御)」という組み合わせ熱交換器は、従来の「折り曲げ式」から、熱交換効率の良い「一体形」へと変更こちらが一体型の熱交換器。なお、冷房能力4.0kW以上の機種に採用されている

風量と運転音を保ちながら、ファンの動力を低減した波形のブレードを採用従来製品のファンとの比較。ブレード表面に波が付いているのが分かる

 このほか、20畳以上の大部屋タイプのモデルについて、室内機の幅を100m縮小。これにりょい、6~23畳向けの全モデルにおいて、取り付け幅は10年前の標準的な室内機サイズと同じ、798mmに統一された。壁穴やコンセントの位置も気にせず取り付けられるという

 日立アプライアンス 空調事業部 ルームエアコン統括本部 本部長の長澤喜好氏は、白くまくんのユーザーに対する調査で、購入のポイントとなった機能の1位が「ステンレス」で、2位が「イオンミスト機能」だったことを指摘。また、「不況による“巣ごもり消費”が強まり、地球温暖化問題とともに“エコ”関連の商品の販売が好調となっている」ことを受け、2009年のテーマを『エコ&クリーン』に設定した。「お客様から高い評価を受けた日立独自の技術は残し、(エリア・エコ機能などの)エコへの取り組みを強化した」という。

 また、日立アプライアンス 常務取締役 空調事業部 事業部長の西耕一氏は、国内のエアコン需要について「この4年間は年間の需要が740万台前後で安定していた。しかしこの夏は、天候不順や不況に加え、薄型テレビに特化したエコポイントの影響もあり、上期は450万台と見込まれている。年間で見ても、700万台を下回るかもしれない」との見通しを立てた。海外でも需要は前年比同期比を下回ったが、「これから急成長するインド、ブラジルでの需要を考えれば、空調事業は大いに期待できる。また、日本でのインバーターエアコンの普及率はほぼ100%だが、中国では15%程度。新興国へのインバーターエアコンの普及も見込める」と、海外展開を強化していく方針を示した。

日立アプライアンス 常務取締役 空調事業部 事業部長 西耕一氏日立アプライアンス 空調事業部 ルームエアコン統括本部 本部長 長澤喜好氏


(正藤 慶一)

2009年9月17日 17:59