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パナソニックIHクッキングヒーターは加熱エリア1.7倍、煮込みのかきまぜ不要に

ビルトインIHクッキングヒーター最上位モデル「Sシリーズ」

パナソニックは、ビルトイン(備え付け)タイプのIHクッキングヒーター最上位モデル「Sシリーズ」を9月20日に発売する。価格は、幅75cmのモデルが660,000円、60cmモデルが638,000円(工事費別)。

幅75cmでカラーがジェットブラック/ブラックの「KZ-S1F7K」、シルバー「KZ-S1F7S」、幅60cmのジェットブラック/ブラック「KZ-S1F6K」、シルバー「KZ-S1F6S」の計4モデルを用意する。

幅75cmの「KZ-S1F7K」

家庭の調理に欠かせないコンロの総需要に占める割合は、現在もガスコンロが多数派ではあるものの、2023年度はIHクッキングヒーターの構成比が約32%まで増えている。

住宅に備え付けるビルトイン式は購入する機会が少ないながらも、同社の既存モデル(A・Bシリーズ)の利用者は次の買い替え時にも95%がIHを希望しているという。利点としてはガスに比べて調理中のキッチンが暑くならないことや、思っていたより十分強い火力が得られたこと、火加減のしやすさ、掃除のしやすさなどが挙げられている。

一方で課題としては従来は底径26cm以下の鍋を推奨していたことから、人気のオーバルタイプ(楕円形)の鍋が使いにくかったことや、底径12cm未満は加熱できない点があったことから、新製品は加熱エリアを1.7倍に拡大。独自形状にした10個または6個のコイルを制御して鍋や調理方法に合わせた加熱パターンを選べる「匠加熱IH」に進化した。新モデルでは底径10cm~28×33cmの鍋が使用できる。

これまでのIHクッキングヒーターは、オーバルタイプの鍋や、底径が小さい鍋の加熱に課題があったという

一般的なIHコイルは1つの大きな円形で全体に電流が流れるのに対し、Sシリーズは三角おにぎりのような形の「ピースコイル」を左右に各10個配置。一般的な丸形の鍋やフライパンで加熱する場合は前方または後方の6個を使い、オーバル鍋や大きなフライパンの場合は10個を使用。加熱ムラを防ぎながら大量の調理も効率よく行なえる。1つのインバーターで10個のピースヒーターを制御する方式は業界初だという。

三角おにぎり型のコイルが左右に各10個
様々なサイズ/タイプの鍋に対応し、加熱する場所も選べる
従来のコイル(左)と、新しいピースコイル(右)の焼きムラ比較
新コイルの方が広い面積で加熱できている

さらに、温度制御に「光火力センサー+(プラス)」も新たに搭載。このセンサーでは水などが沸騰する前の70℃から温度検知ができるため、煮物などに適した加熱の制御が可能になった。

新機能「煮込みアシスト」では、従来のIHで一般的な内側から外側への対流だけでなく、ガスコンロのような外側から内側へ対流するようにも加熱を切り替えられるため、人がかき混ぜなくても焦げ付きを防ぎ、煮物などの料理が得意でない人でも作りやすくなっている。同センサーは欧州モデルには既に搭載されていたが、国内モデルにも採用された。

光火力センサー+で沸騰温度域の検知もでき、煮込みアシスト機能が利用できるようになった
対流をコントロール可能
煮込みアシストを使った「ごちそうメニュー」のアクアパッツァ

最大火力は2kWにアップしており、揚げ物の制御プログラムも進化。食材を入れても素早く温度が復帰して、短時間でカラッと仕上がるという。

中央下のグリル部分はIHと遠赤外線を組み合わせて手早く調理可能。解凍の手間なく肉や魚を焼ける「凍ったままIHグリル」を採用し、使用後に汚れを拭き取りやすいフラットな庫内となっている。

グリル部分
グリル内部もフラット
グリルの操作部

同じく9月20日発売の新モデルとしてハイグレードモデル「Aシリーズ」とスタンダードモデル「Bシリーズ」をラインナップ。両シリーズとも匠加熱IHではない円形のIHコイルで、煮込みアシストにも対応しないが、2021年モデルに比べて最大火力をアップして時短で調理できる。Bシリーズはグリル部も異なり、IHを使わず遠赤のみとなっている。Aシリーズは3口と2口で、価格は418,000円~583,000円(工事費別)、Bシリーズは3口のみで416,000円(幅60cm)と438,000円(幅75cm)。

本格中国料理のシェフも納得の火力と仕上がり

これまで都内ホテルの総料理長などを務め、現在「トゥーランドット臥龍居(がりゅうきょ)」や「Ginza脇屋」など5店舗のオーナーシェフである脇屋友詞さんが、新モデルSシリーズを使って、オリジナルメニュー「海老とレタスのあんかけ焼きそば」の調理を実演。

トゥーランドット臥龍居の脇屋友詞オーナーシェフ

テレビ番組などでも中国料理の楽しさを伝えている脇屋さんは、中華で重要とされる火力についても「一番いいのは火力が強いこと。皆さん心配すると思いますが、僕でも気をつけて火力はマックスではなく7(10段階のうち)などにするくらい強いです。1Lの水を入れても、あっという間に沸きます」とコメント。脇屋さんが話す通り、味付けに使う合わせ調味料のスープをフライパンに入れるとすぐ沸騰していた。

丁寧な語り口で説明しながら手際よく麺とあんを調理する脇屋さん

焼きそばの麵は、片面ずつ焼いて表面をこんがりさせる両面黄(リャンメンファン)で、内側は柔らかい状態に。シャキッと感が残る野菜やフワフワなはんぺんとの食感のコントラストが味わえる仕上がりになっていた。

「海老とレタスのあんかけ焼きそば」(左)は、食感のコントラストが絶妙。グリルで作った「ピータンとアヒルの塩卵入り卵焼き」(右)はつるっとした舌触りと濃厚な味わいで、デザートのような特別感のあるメニューに