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シャープ、亜鉛を使った低コストな大容量蓄電池の実現へ

「亜鉛による蓄エネルギー技術」利用イメージ

シャープは、カーボンニュートラルの実現に向けて、大規模な電力貯蔵に好適な「フロー型亜鉛空気電池」を用いた蓄エネルギー技術の開発を開始した。これは環境省「令和4年度地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の「ボトムアップ型分野別技術開発・実証」枠での採択を受けたもの。同社が長年培ってきた亜鉛空気二次電池技術をベースに、新たにフロー型方式を採用することで、低コストかつ大容量の蓄エネルギー技術の確立を目指すとしている。

今回開発する「フロー型亜鉛空気電池」の技術は、蓄エネルギー物質に亜鉛を用いており、かつ蓄電池の充放電を担うセルと蓄エネルギー物質の貯蔵部が各々独立した構成になっている点を特徴とする。豊富で安価な資源である亜鉛を利用すること、加えて貯蔵部の大型化による大容量化が容易なことから、低コストで大容量の蓄電池を実現可能としている。また電解液には水系の液体を使用しているため、高い安全性も確保されているという。

同社は「2050年における自社活動での温室効果ガス排出量実質ゼロ」を環境ビジョンとして掲げ、2035年までに60%削減を目標に取り組んでいる。本技術をオフィス・工場での自家消費用途や、発電所・マイクログリッドでの分散型電力貯蓄用途などへ展開し、再生可能エネルギーの普及促進とともにカーボンニュートラルの実現に向けて貢献していくという。

亜鉛を利用した「フロー型亜鉛空気電池」の概要図