ニュース
パナソニック、ナノイーが洗剤に含まれる界面活性剤を分解する効果を検証
2022年6月9日 15:05
パナソニックは6月8日、帯電微粒子水(ナノイー)に界面活性剤の分解効果があると検証で判明したと発表した。衣類用洗剤に含まれる界面活性剤は、皮膚の弱い人に対し刺激性皮膚炎を起こしうる。ナノイーの特徴により、刺激性皮膚炎の低減に期待できそうだという。
界面活性剤は衣類の油汚れだけでなく肌の油も奪う
洗剤などに使われる界面活性剤は、水に近づこうとする親水基と、油に吸着する親油基で成り立っている。洗濯で衣類の汚れを落とす際には、親油基が汚れにつき、親水基が水に溶け込むことで汚れを落とす。
界面活性剤は洗濯時だけでなく、人間の皮膚に触れたときにも同様の現象が起きる。とくに、乳幼児や皮膚の弱くなる51歳以上の人、肌の弱い人のかぶれの原因となってしまうという。
肌に界面活性剤が付くと、親油基が肌を守る皮脂膜に付着。親水基が汗などに溶けることで、皮脂膜を浮かしてしまう。皮脂膜のなくなった肌は外部からの刺激に弱くなり、同時に表皮細胞に含まれる水分も逃げ、肌のトラブルを引き起こす。
界面活性剤のついた布にナノイーをあてると界面活性剤を90%分解
ナノイーは水に包まれた微粒子イオンで、空気中の水分を集めて高電圧を加えることで生成する。ナノイーに含まれるOHラジカルが効果の決め手となり、過去の検証では、アレル成分やニオイ、菌・ウイルスなどの抑制に効果があったとわかった。
今回は、界面活性剤の親油基をOHラジカルが分解することで、界面活性剤が油を吸着して浮かせる効果を起こさないようにすると仮定して実験を実施。
一般財団法人化学物質評価研究機構が、検証を行なった。実験用の24m3の部屋にナノイー発生装置を備えた送風装置を配置。装置の吹き出し口から40cmの位置に界面活性剤を塗布した繊維片をつるし、ナノイーに3時間さらした。
界面活性剤によく使われるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)と、皮膚への刺激が強いラウリル硫酸ナトリウム(SDS)を検証対象とした。実験の結果、LASの残存率は95.4%低減、SDSの残存率は91.0%低減できたという。
刺激性皮膚炎への効果に期待
上記で説明した実験は、ナノイー発生装置のある衣類乾燥除湿機のような機器で行なわれた。実験環境下の結果ではあるが、今後の製品展開が注目される。
松下記念病院の皮膚科部長の森島陽一先生は、「皮膚のかぶれの一つに、刺激性皮膚炎がある。帯電微粒子水で刺激性皮膚炎を低減する効果が期待できる」と説明している。