長期レビュー

日立「焼き蒸し調理 ヘルシーシェフ MRO-JV300」 その4

~蒸し物&フライを徹底検証! 【スチーム&過熱水蒸気編】
by 藤山 哲人

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



日立「焼き蒸し調理 ヘルシーシェフ MRO-JV300」では、なんと天ぷらもレンジで作れる! 左がレンジ調理したもので、右が油で揚げたもの。って、ウチで作った天ぷらよりもおいしそうにできてるってどういうことなのさっ!

 日立アプライアンスのオーブンレンジ「焼き蒸し調理 ヘルシーシェフ MRO-JV300」の長期レビューをお届けしている。

 第1回目では、日立のレンジでしか生餃子が焼けない秘密と、設置スペースのコンパクトさを紹介。第2回では、日立独自のトリプル重量センサーの凄さとクセ、他社の赤外線センサーとの違いについて、電子レンジ機能を中心に紹介した。

 そして第3回では、オーブンやグリル機能を使い、ガス台の魚焼きグリルやフライパンで調理した場合とレンジで調理した場合の味比べと便利さを比較。ガスオーブンなみの予熱の速さを実際に温度を測定した結果をお届けした。

 最終回は、スチーム機能で蒸し料理を作ってみて、過熱水蒸気と同様の味比べと調理の手間などを調べてみる。また過熱水蒸気オーブンを使って、トンカツやエビフライ、天ぷら(えっ! レンジで!? )などを作り、油でフライした場合との味比べや調理の手間などを紹介していきたい。

1回目は→コチラ
2回目は→コチラ
3回目は→コチラ

電子レンジの茶碗蒸しが「まずい」というのは過去の話になった

 実は、今回レビューした日立のヘルシーシェフに至るまで、筆者はこれまで3台の電子レンジを買い換えた。最初に買ったのは1994年だったが、当時からレシピブックには、筆者の大好物の「茶碗蒸し」があった。

 が、これまで購入した3台のレンジで、レシピブックに載っているようなキレイな茶碗蒸しができた試しはない。あるレンジは何度やっても硬くなり、あるレンジはダシの水分が表面に上がってきてしまい、またあるレンジは火が入り過ぎて「これ卵焼きだろ! 」という調子。

 そこで日立のヘルシーシェフを買って、真っ先に試したのが茶碗蒸しである! なにせヘルシーシェフにはスチーム機能がついているので、蒸す過程が重要な茶碗蒸しの調理にも、かなり期待できそうだったからだ。

 ということで、ヘルシーシェフと蒸し器のそれぞれで茶碗蒸しを作り、出来上がりを比較した。

【レンジ調理】

まずはダシに卵を入れて卵液を作り、6つの器にこれを入れ、具を入れて準備OK!6つのうちの3つをレンジの中に入れる。加熱にはレンジとオーブンを使うようなので、テーブル中央に寄せて置くのがポイントだ。最大で6個まで作れるレシピには4個で標準加熱時間26分とあったが、トリプル重量センサーが重さを測って、3つの場合は17分となった。加熱にはレンジとオーブンとスチームを使うようだ
途中からスチームが放出され、蒸してる!って感じにできあがりの音が鳴ったので出してみると、ありゃ?まだ固まってないぞ!ということで、追加で6分加熱。あとで分かったことだが、この器が非常に軽くトリプルセンサーが内容量を誤認識したようだ

【蒸し器調理】

蒸し器の場合は、まず水を沸騰させるところから。これが、世のお母さんがなかなか茶碗蒸しを作ってくれない面倒なところだ沸騰して蒸気が出たところで茶碗蒸しを蒸し器にかける。こちらには白い器が2つ追加されているが、これは僕が3つも4つも食べるため(笑)。加熱時間には影響がないので、こちらは5個で調理フタに付いた蒸気の水滴が茶碗蒸しの中に入らないように、布巾を被せ少し蒸気が抜けるように菜ばしを挟む。こういうチョイチョイ、細かなところが面倒なのが茶碗蒸し

【完成】

 さて問題です。上の写真のAとBの茶碗蒸し、どちらがヘルシーシェフで調理したものでしょう? 答えはB。蒸す前の卵液の泡を爪楊枝で1つ1つつぶすなんて面倒なことはしないので、Bの茶碗蒸しには泡が少しできているが、それ以外はパーフェクトな仕上がり。初めてレンジで蒸し器と同じ茶碗蒸しができた! 調理にかかった時間は、ともに23分(蒸し器はお湯を沸かす時間も含める)と同じだが、調理の手間はレンジの方が圧倒的に手軽だ。

 なお本来、蒸し器で調理する場合は、2度蒸しと言って卵液を7割ほどいれてからいったん蒸し、ある程度固まったところで具を入れる。こうすると具が表面に浮いた、すし屋で食べる茶碗蒸しになるのだが、今回は公平に比較するため、2度蒸ししなかった。

 それより注目して欲しいのは、レンジで作った茶碗蒸しの表面にエビが浮かんできているという点だ。蒸し器で調理したものは、2度蒸ししていないので当然具が底に沈んだまま。つまり、レンジで茶碗蒸しを作ると、蒸し器以上に見た目もよくなるという結果になる。

 すこし食べてみるとダシがにじみ出し、ジューシーなのは蒸し器もレンジも同じ。家族全員で試食して感想を聞いたところ、次のようなコメントだった。

・蒸し器のエビは少し硬いが、レンジはプリプリ
・鶏肉は蒸し器の方がフワッと柔らかだが、レンジは少し硬い

左の子供は、当日熱があり「なにも食べたくない~」と言ってたのに、茶碗蒸しを食った瞬間この笑顔だ。このあと筆者がキープしていた2つの茶碗蒸しをコイツに食われてしまった(涙)

 この実験以降、筆者は自分のおつまみ用の茶碗蒸しを自分で作っている。卵とダシの分量だけ覚えてしまえば、作り方は超カンタンだし、なにより自分の大好きな銀杏をたくさん入れた茶碗蒸しが作れるので、週に1回は作っている。

面倒な蒸し料理が食卓にたくさん上がるように

 スチームを使う蒸し料理は、20分を切る短時間で作れるものが多い。そのため、夫婦共働きのウチでは、ヘルシーシェフを購入してから蒸し料理が食卓に上がる割合がかなり増えた。

 たとえば「タラの中華風きのこ蒸し」。両面グリル皿にしめじを敷き、その上にタラの切り身としょうがを乗せてレンジに放り込めば、5人分の夕食が14分で出来上がる。レンジで加熱中に中華風ソースを作れば、さらに調理時間を短縮できる。

少し前に流行なったタジン鍋より調理時間も短く、オーブンペーパーを敷くので汚れ物も出ない。またしょうがをローズマリーにすれば洋風にもなるし、軽くワインを振ってもおいしかったこの4つのメニューは、我が家で大活躍のメニュー。豚肉と野菜の蒸し物は16分、豚肉とザーサイの重ね蒸しと鶏のレモン蒸しは8分! 下ごしらえを合わせて20分でできる蒸し料理の夕食は、夫婦共働きのウチには便利。腹をすかせた子供たちのためにも、もうレンジを手放せなくなる

 また筆者が夜のつまみに頻繁に作ってるメニューがある。それが豚肉ともやしの蒸し物だ。最初に自動メニューの「豚肉とザーサイの重ね蒸し」をやってみたところ、下ごしらえも含めて10分でできちゃう即効おつまみで、しかもウマい! しかしある日ザーサイがないことに気づき、急遽もやしで代用したら、これもウマいのなんのって(笑)。蒸しあがったらドレッシングをかけてもいいし、ポン酢でもOK、にんにく醤油やごま油+醤油でもおいしくて、週1度は夜中に自分で作って食べている。茶碗蒸しもあわせると、筆者のおつまみはヘルシーシェフに頼りっきりってのがお分かりだろう。

グリル皿にもやしを乗せて、その上に豚肉を広げておくだけ。この日はアレンジして、にらもトッピングしてみた。ポイントは最後に片栗粉を薄くまぶすこと夜中に食べるつまみなので、皿に盛らずにグリル皿のまま食す(笑)。すると翌朝「グリル皿使ったんなら洗っておきなさい!」と怒られるので、今は賢くオーブンシートを敷いてクレームを回避している

バンバンジーソースに合う「ササミの酒蒸し」はどのメニューで作ればいい?

 いろいろレンジを使っていると、どのメニューで作ればいいか迷うことがある。ウチで最初に迷ったのは、鶏の酒蒸しだ。

 自動メニューの「鶏の酒蒸し」は、むね肉を1切れを使って蒸し、それを刺身のようにして食べるものだが、今回はむね肉がないので、「ササミの酒蒸し」を作ることになった。細かく割いたササミは、むね肉1切れよりも熱が通りやすく、自動メニューの「鶏の酒蒸し」では、加熱しすぎてしまうかもしれない。そこで、いつもウチで作ってる600Wの電子レンジで2分半ほど加熱したものと、自動メニューの「鶏の酒蒸し」で作ったものを比較した。

電子レンジ600Wで2分半加熱したササミはいつもの仕上がりで、ふっくらとジューシー自動メニューで作った酒蒸しは、仕上がりを「弱」に設定しても少しコゲてしまった

 バンバンジーソースをかけて食べようかと思ったが、ソースで素材の味が分からなくなってしまうかと思い、ここではからし醤油で食べてみた。

こちらは自動メニューの鶏の酒蒸し。見た目はレンジ加熱したのと変わらないこちらはレンジ加熱の酒蒸し。ササミはどちらも2本つかっているが、こちらの方が多く見える。それだけ水分を含んで膨らんでいるということだ

 さて食べてみると、電子レンジで加熱したササミの酒蒸しの方が、ふっくらジューシーで旨い! 自動メニューで作ったほうは、仕上がりを「弱」に設定しても少しコゲてしまった。水分が飛んで鶏のうまみが凝縮されているが、硬めの仕上がりだ。

 このようにメニューが豊富だと、どれを使えばいいか分からなくなるというデメリットもあるので、一度作ってみて調子を確かめるのがいいだろう。

分厚い鶏むね肉に火を通すの(とくにフライパンでの焼き蒸し)は、かなり難しいが、自動メニューなら難なく絶妙な火が入る

 なおメーカーの名誉のために、自動メニューの酒蒸しをむね肉でやったところ、こんなに旨そうなものができた。

 ふっくらと仕上がった胸肉は、中に鶏のうまみが凝縮されて、火の通りも絶妙でプリプリ。わさびやからし醤油で刺身のようにして食べても旨かったが、大葉 をのせてそこに練り梅を乗せると、小料理屋で出てくるおつまみみたいにオシャレな逸品に。レビューを書き終えたら、「シンガポールチキンライス」に添える 鶏肉にしてみる予定だ。あーーーーっ! 考えてるだけでヨダレでてくるー! 

 

過熱水蒸気調理でから揚げに挑戦!当日はおいしくても翌日はダメ!

 過熱水蒸気機能付きなら、ぜったい試してみなきゃならないものがある。それがトンカツやから揚げ、エビフライといった揚げ物系だ。カタログなどを見ると「油で揚げないからヘルシー」という謳い文句が踊っていて、ホントかよ? って以前から疑っていたからだ。昔の電子レンジの茶碗蒸しみたいに、ムリしてんじゃないの? ということで、揚げ物3品を試してみた。

から揚げには通常の「から揚げ」と、余分な脂を落とす「から揚げ(脱脂)」がある。ここでは胸肉だが皮をつけたままにしたので「から揚げ(脱脂)」を選んだ

 まずは、手軽にできるから揚げから。基本的な作り方は、油で揚げるのと変わらないが、最後に粉を付けるときに薄めにするのがポイントだ。

 レンジでの調理はおよそ25分(10個ほど)、かたや油で10個揚げるのにかかった時間は、油が冷めた状態から15分。調理時間は圧倒的に油で揚げたほうが早いが、揚げ物は常に火の前に立ってなきゃならないので、忙しい場合はレンジに放り込んで25分放置しておくほうが便利だろう。

 できあがったから揚げは、次の通りだ。


こちらはフライしたから揚げ。まぁ、いつものヤツだ
こちらは過熱水蒸気オーブンで加熱したもの。ちょっと粉が多かったみたいだ

 油で揚げたから揚げと、過熱水蒸気オーブンで作ったから揚げを比較すると、見た目は色のつき具合が違う程度だが、断面をよーく見ると、油で揚げたほうはふっくらとしていて、過熱水蒸気オーブンは身が締まっている感じだ。

 さっそく家族で試食して、感想を聞いてみた。

・シューシーさは油で揚げたほうが断然上
・過熱水蒸気は少し硬めだけど、焼き鳥じゃなく、から揚げになっている
・ポン酢とかマヨネーズをかけて食べるなら、過熱水蒸気の方がおいしい(あっさりしているので、ソースが合う)
・過熱水蒸気はパサパサ感が好き(ウチの家族は、パサパサした方が好きなので……)
・過熱水蒸気は食べてるとノドに詰まる(筆者)。パサパサ感が強いので、汁物必須。

 票は五分五分といったところだが、モモ肉が好きな人にとっては、過熱水蒸気で作ったほうはパサパサ感がマイナス点になるかも知れない。

 しかしフライトレンジ調理で大きく違ってくるのは翌日だ。油で揚げた方は翌日になっても柔らかいままだが、過熱水蒸気で作った方は焼いていない餅のようにカチカチになってしまった。子供のお弁当に入れたところ「硬くて食べられない! 」とのクレームがあった。

トンカツはあらかじめパン粉を少量の油で炒めるのがポイント

 次なる調理実験はトンカツだ。フツーのトンカツと違う点は、あらかじめパン粉を少量の油で炒めること。

少量の油をフライパンに炒れ、パン粉がすこしキツネ色になるまで炒る。これを衣としてトンカツに付けて、オーブンへ左下のトンカツは、パン粉を炒らずにつけたもの。他の3つは炒ったパン粉をつけている

 さてレンジに入れて、自動メニューの「ヘルシーとんカツ」を選んでみると……。ありゃ? 過熱水蒸気のランプが点灯しない! どうやらすべての揚げ物で過熱水蒸気を使うワケじゃないみたいだ。調理時間は4枚で17分なので、油で揚げるのとさほど時間は変わらない。

 できあがりの違いを見てみると、こんな感じになる。

油でフライしたもの。こんがりおいしそう♪炒っていないパン粉をつけオーブン調理したものは真っ白。見た目はよくないが、味は食べてみないと分からない炒ったパン粉をつけオーブン調理したものも、やっぱり白い。どうやら仕上がりの色は、炒ったパン粉の色と同じになるらしい

 あっちゃ~、パン粉の炒り方を完全に失敗。どうやら仕上がりの色は、炒ったパン粉そのものの色になるようだ。これは他の電子レンジにも共通して言えることをあとで知った……。

 色は失敗したが、味には影響がないハズ! そこで恒例の家族試食会へ!

・油で揚げた方はコクがある
・柔らかさはどちらも同じ
・レンジで作ったカツをしばらく食べていると、フライしたカツをかんだときにジュワ!っと出る油がしつこく感じるようになる

 あっさり派の多いウチでは、レンジで作ったトンカツが圧勝した。言葉で説明するのが非常に難しいが、レンジ調理はトンカツであっても、今まで食べたことのないあっさりとしたトンカツ(ヒレカツよりあっさり)で、フライのトンカツとは別物と思ってもいいかもしれない。例えて言うなら「ヒレ肉を油を使わずソテーして、お煎餅の粉をまとわせた」といったところだ。伝わるかなぁ?

 とくにおいしくヘルシーなのはポン酢で食べること。脂っこさがまったくなく、カロリーも相当に低いはずなので、医者から脂肪分の制限を受けている場合でも、トンカツが食べられるだろう。またカツ丼は濃い味のタレと卵でくどくなってしまうが、レンジカツを使うとあっさりしたものになるハズだ。

 なお翌日に持ち越したとき硬くならないかをチェックしようと思っていたが、目を離している隙に子供たちがウマイ! 旨い! とレンジカツを完食してしまい、残ったのはフライしたトンカツだけという事態に! 翌日、レンジカツが硬くなるかは残念ながら不明である。

エビフライで揚げ物にリベンジ! チョー旨い一品がカンタンにできた

 さてトンカツでの炒り衣の失敗と、過熱水蒸気じゃないフライもあるという事実を受け、今度はエビフライに挑戦だ。と同時に、スーパーで売っている、揚げるだけで食べられる冷凍のイカリングフライも調理できるか調べてみた。

今度のパン粉は揚げ物に近い色まで炒った。写真で見て分かるとおり、「炒ったパン粉の色=仕上がりの色」となる
エビフライは過熱水蒸気を使ったモードだ。写真のブルーのランプが点灯している市販の冷凍イカリングフライは、自動メニューにそのものがなかったので、「鶏のから揚げ(冷凍)」を使って調理。炒りパン粉じゃないので、仕上がりは白くなるはずだ

 ではフライしたものと、レンジで調理したものを見比べてみよう。

 まずイカリングフライは、自動メニューの「鶏のから揚げ(冷凍)」ではうまく調理できないようで、火が入りすぎて、イカもサキイカのように水分が飛んで固くなってしまった。これは油で揚げるべきたったと、家族全員一致で反省。ただし、手動メニューで過熱時間を探っていけば、色は白いものの、トンカツのようにウマく出来上がる落としどころがあるだろう。

こちらはフライしたもの。いやはや、旨そうな……原稿書いててお腹がすいてきた予想通り冷凍イカリングフライは色が付いていないが、エビフライはおいしそうなできあがりに!

 次にエビフライの家族の評価は、以下のようになった。

・レンジ調理のエビはしっとりとして、歯ごたえもあっておいしい
・レンジ調理のエビは、フライに比べると少しエビ臭い
・エビのプリプリ具合は、フライの方が上
・トンカツに比べるとフライのエビの脂っこさはそれほど感じない
・フライにするとエビ独特の臭みが消える

 評価をまとめると、レンジのエビフライは十分合格点だが、油でフライした方がよりプリプリ感が味わえておいしいという結果になった。

 さて一晩越したレンジ調理のエビフライはどうだろう。結果は「エビがゴムのようにカチカチに固いどころか、エビが大好きな筆者でも“超”エビ臭くて食べられない」という結果になってしまった。

フライ VS 過熱水蒸気調理!メリットとデメリットを知っておく必要アリ

 から揚げとトンカツ、エビフライの揚げ物3つを油でフライしたものと、レンジで調理したものを比較してきたが、ここで揚げ物をレンジ調理するメリットとデメリットをまとめておこう。

【揚げ物をレンジ調理するメリット】
・油の前にいなくていいので、レンジに入れて買い物などにも出かけられる。忙しいときに使うと便利
・油で揚げないのでカロリー制限をしてる人でも揚げ物が食べられる
・あっさりしたものが好きな人は、フライするよりレンジ調理の方がおいしく食べられる

【揚げ物をレンジ調理するデメリット】
・夕食のおかずはその日のうちに食べないと翌日は固くなったり、臭くなる可能性が大
・フライする冷凍食品はレンジ調理には不向き

 レンジでの揚げ物調理は、油で揚げたフライとまったく同じものになるわけではない点に注意したい。特に、一晩経つと固くなってしまうので、お弁当には使えない点に注意が必要だ。

 ただ筆者が推測するに、油で揚げたものが翌日も柔らかいのは、素材が油でコーティングされ水分を中に留めているからと思われる。実際に実験したわけではないが、から揚げの肉やエビフライのエビに霧吹きなどで油を吹き、薄い油のコーティングをすることで、翌日もおいしく食べられるものになる可能性がある。これについては、各家庭で調理実験していただきたい。

反則スレスレ、マユツバものの「天ぷら」も作ってみた

 レシピブックを見ていて、思わず「これ反則だろぉ~、そんなレシピで食えるもの作れるのかよ! 」と叫んでしまったのが、エビの天ぷらだ。

 どこが反則かというと「スーパーで1パック50円ぐらいで売っている“天カス”を衣につけてレンジ調理する」というのだ((((笑))))。オイオイ! それは本当に天ぷらと読んでいいのか?というほど強引なレシピだったので、ダメ元で試しに作ってみることにした。

薄めのバッター液にエビをつけ、衣として天カスを付ける。トレイに並べた姿は、そりゃもー反則スレスレっす。いや、アウトかも? 

 天カスは、お惣菜コーナーで売っているヤツを使った方がいい。お好み焼き用などとして売っている、袋詰めの天カスだと味も食感も天ぷらから離れてしまうだろう。

 さて天ぷらも油で揚げたものと比較してみよう。フツーに自宅で作ったものに比べ、ヘルシーシェフで作った天ぷらを見たビックリ仰天! ウチで作る天ぷらより、店で出てくる天ぷらに近いじゃんか!

まぁ、フツーのご家庭でフツーに作ると、だいたいこんな天ぷらになるよなぁ~ なにぃ~っ!天カスを衣にした反則天ぷらの方が、売ってる天ぷらに近いじゃん! 
並べてみると、右側のウチで揚げた天ぷらが貧弱に見える。何も知らない人に、どっちがおいしいそう? って聞いたら、確実に天カス天ぷらに票が集まるはず

  見た目の勝負は、天カス衣の方が断然おいしそうという予想外の結果に。はたして味は、どんなものだろう? 

「えっと、エビはプリプリ衣はサックリ……。天カス天ぷらの方がウマい! ってどういうことじゃぁー! 」

 ウチで作るトンガリがない天ぷらよりも、見た目も味も天カスを使った方がおいしいです。メッチャ悔しいけど……。

 とくに火の入り具合が絶妙で、筆者も1回しか行なったことがないが、目の前で好きな具を揚げてくれる(もちろん具の値段が書かれていない)高級天ぷら屋の仕上がりと同じ。

 もし過熱水蒸気機能つきのレンジを持っていて、これまで天ぷらを試したことがない人は、ぜひ試してみて欲しい。これはかなり衝撃を受けるハズ。というか、レンジに負けたって敗北感を味わうことになる(笑)。

庫内掃除も便利機能がたくさん

 日立のヘルシーシェフを使ってすでに2カ月。庫内はだいぶ油汚れなどが目だってきたので、レビューの最後はお手入れ事情で締めることにしよう。

【付属品の洗いやすさ】
 両面焼きグリルはフタも含めてフッ素コーティングされているので、汚れはカンタンに落ちる。また蒸し料理で密閉できるようにフタにはシリコンゴムのパッキングが付いているが、カンタンにより外しでき洗えるようになっている点も◎。

パッキンも外して洗えるので、手入れがし易い。給水タンクは、タンクのフタが開けられるので、隅々まで洗える
レンジ下部のカバーも洗える! ここって油が付くから、ホコリがこびりついちゃうんですよね♪ 奥さん! 

 オーブン用のテーブルプレートは、とくに表面加工されていはいないが、いつもオーブンシートを敷いて使っていたので、新品同様でまったく汚れていない。もし汚れたとしても台所用洗剤で洗うだけでいい。

 汚れやすい白い陶器でできた電子レンジ用のトレイは、研磨剤入りのクリームクレンザーで洗えるので、コゲ付いてなかなか取れないような汚れも洗えるので便利だ。

 給水タンクもフタを取り外すことでき、洗剤で隅々まで洗えるようになっているほか、汚れがちなレンジ下部のカバーも取り外して手洗えるようになっている。

【庫内メンテナンスのしやすさ】
 庫内に飛び散った油汚れなどは、濡れた布巾や中性洗剤をしみこませたもので拭き掃除できる。もしコゲついてなかなか取れない汚れは、メニューから「庫内清掃」を選ぶ。これで5分間スチームを庫内に充満させ、汚れを落としやすくしてくれるのだ。

メニューの「庫内清掃」を押すとスチームで汚れを浮かせてくれるので、ガンコな汚れも落とし安い2カ月間使って汚れた庫内は、こんな感じだ。とくに上部と奥に汚れが目立つ
「庫内清掃」でスチームを当てると、コゲ付きなどが柔らかくなり汚れが拭き取りやすくなる「脱臭」では、庫内の油を空焼きすることで臭いを分解、庫外に排出するようになっている

 さらに庫内にこびりついた油などが臭って、料理に移り香してしまう場合は、メニューの「脱臭」を選ぶと、庫内を高温に熱して油の臭いを脱臭してくれる機能もある。

 また過熱水蒸気やスチームの放出口には、水道水のカルキやカルシウムなどの成分が付着して白くなるが、これは濡らした布巾でカンタンに落とせる。

 日立独自のお手入れとしては、白いトレイの下にある重量センサーを定期的にリセットする必要がある。これはトレイに付いた汚れを食品の重さと誤認させないためで、トレイを掃除したら必ずメニューから「0点調節」を選ぶ。メーカーでは、1カ月に1度のリセットを推奨している。

ヘルシーシェフは、料理だけでなく食卓にそろう家族の笑顔も調理する

 さて4回に渡ってさまざまな料理を作って、普通に調理した場合との味比べや、調理時間を比べてきた。最後に、特徴をまとめて列挙しておこう。

・庫内の容量が大きい割に、小さな設置サイズが魅力
・レンジで焼き蒸し料理ができる「両面焼きグリル」が標準で付いていて、自動メニューでもサポートされているので料理の幅が広い
・面倒な蒸し料理が手軽にでき、蒸し器もタジン鍋も不要になる
・カロリーや塩分制限されている人でもフライなどが食べられる
・日立独自の重量センサーで解凍~加熱まで絶妙な火加減と加熱時間を自動で調整
・電気ヒーター式ながら予熱の早さはガスオーブンなみで省エネ。オーブンの庫内温度は、温度差がほとんどなく焼きムラがない
・過熱水蒸気のフライは、翌日のお弁当には向かない
・調理時間は普通に作る場合と同じ。だが、レンジ任せにできるので、並行して他の調理などができる

 数え上げるとキリがないが、我が家ではヘルシーシェフを買ったことで、ヘルシーなメニューが食卓に頻繁にあがるようになり、子供たちからも「またアレを作って! 」とリクエストがでるほど大好評だ。日立の「焼き蒸し調理 ヘルシーシェフ MRO-JV300」は、うちのようなファミリーにベストマッチする。

 およそ6万円のオーブンレンジだったが、気分的には2カ月でほぼ減価償却したと思えるほど、夕食の支度や食事どきのシーンが変わったことを最後に記しておこう。





2012年5月16日 00:00