カデーニャ

FMラジオもIoTに。ラジオの情報が自動的にスマホへ届く「Hint」

 ※今回の記事は、カデーニャを運営していた株式会社Cerevoの製品レビューです

 「Hint BLE Radio」は、不特定多数の人たちから資金を募る「クラウドファンディング」で開発が進められた製品です。ラジオ好きの自分も1台注文しまして、この7月に無事完成品が届きました。9月には一般販売もスタートしています。

Hint BLE Radio

 Hintにはいろいろな機能が盛り込まれていますが、基本的な立ち位置は「FM専用のラジオ」。ここ最近、民放のAMラジオ局がFM周波数帯域での同時放送(ワイドFM)に乗り出していますが、まさにその聴取用にピッタリ! ……というわけです。

 外観デザインは相当攻めてます。円筒状の本体を縦置きする構造で、スピーカー類は筒の上下方向を向いているという異質っぷり。なるほど確かにモチーフがワインボトルであることが分かります。文庫本2〜3冊程度の長方形デザインが多いポータブルラジオに比べると、置き場所の前提がかなり変わってきそうです。ちなみに電源供給はMicro USBケーブル、内蔵バッテリーでの駆動時間は3時間程度なので、電源につながず1日中ラジオを聞くような方はご注意を。

本体上部の周波数表示部。電源スイッチも兼ねています

 音についてはさすがの一言。本体がかなり大ぶり、かつスピーカーが3Wayなため、そんじょそこらのラジオとは違います(もちろん価格も異なりますが……)。高音質なFM放送との相性は本当にいいと思います。

 音量と選曲は本体上部のダイヤルを回して選びます。プリセット選局はできませんが、本体下部のボタンを押しながらダイヤルを回すことで自動的に選局する「選局オートラン」という機能は使えます。特定の局だけを聴く時はいいですが、私のようなラジオ好きにとって、70MHz帯と90MHz帯の局を交互に聴きたいという使い方には若干手間がかかります。

音量調整と周波数チューニングはダイヤル式。緑に光っている部分にスピーカーがあります

 電波感度についてはアンテナが内蔵式のため単体ではさほど高くありません。都心から数十km離れた我が家では、Hint内蔵アンテナではほとんど電波が入りませんでしたが、同梱の外付けアンテナをつければ聴取することができました。よほどの強電界エリアでない限り、Hintは外付けアンテナ利用を前提としたほうがいいでしょう。

外部アンテナ接続端子。こことは別に充電端子もあります
本体底面にバッテリーを内蔵。外すとニッポン放送のロゴが!

 さて、HintがIoT機器たる所以は、Bluetooth機能にあります。一般的なBluetoothスピーカーとして使えますが、特殊なビーコン機能も実装。通常のFM放送で“ある特定の音”が流れると、Hintがそれを自動解析して、周辺のスマホに文章やURLが通知されますす。つまり、Hintで普通にラジオを聞いていると、放送局や番組からのメッセージが知らないうちにスマホへ届くんです。

Android端末で番組からのメッセージを受信したところ。番組内で話題になっていたイベントのURLが届きました

 この機能は、今のところはニッポン放送(Hint開発元の1社でもある)のごく一部の番組でのみ、使われています。筆者の場合、「ミュ〜コミプラス」で実施していることを聞きつけ、その番組をradiko.jpのタイムフリー聴取機能+HintのBluetoothスピーカーで再生したところ、無事通知を受けられました。

 番組で流れた情報が何もせずに届くというのは非常に便利。音だけでは聞き取るのが難しいアーティストやお店の名前も、この機能なら簡単に入手できますし、うっかり聞きそびれて「あれ、今の話気になる!」と後で気づいた時も、この機能で通知されていれば情報を追いかけることができます。現状はまだ一部の番組でしかつかわれていませんが、この機能がもっと他の番組や局でも使われるとラジオがもっと面白くなりそうです。

この記事は、2017年10月5日に「カデーニャ」で公開され、家電Watchへ移管されたものです。

森田秀一

1976年埼玉県生まれ。学生時代から趣味でパソコンに親しむ。大学卒業後の1999年に文具メーカーへ就職。営業職を経験した後、インプレスのWebニュースサイトで記者職に従事した。2003年ごろからフリーランスライターとしての活動を本格化。主に「INTERNET Watch」「AV Watch」「ケータイ Watch」で、ネット、動画配信、携帯電話などの取材レポートを執筆する。近著は「動画配信ビジネス調査報告書 2017」「ウェアラブルビジネス調査報告書 2016」(インプレス総合研究所)。