カデーニャ
第6回:好きな言葉で家電を操作できる「FHC」で家中の家電をコントロール! 【家じゅうまるごとIoT化計画!】
2018年6月25日 08:00
戸建てへの引越しを機に「自宅のあらゆる場所をIoT化する!」という連載企画。今回は最近話題のスマートスピーカーのように音声で家の中の家電を操作できる環境に挑戦してみました。
2017年から様々なメーカーのスマートスピーカーが登場し、音声コントロール、音声での家電操作が身近なものになってきましたよね。
でも実は、日本でも音声での家電操作ができる「フューチャーホームコントローラー(Future Home Controller、FHC)」という機器が2012年から販売されているのをご存じですか? 声で家電をコントロールでき、非常に多機能だという評判を聞いて興味津々。レビュー用に機材を貸し出していただき、早速使ってみることにしました。
フューチャーホームコントローラ(FHC)とは?
FHCは、株式会社rti技研が開発・販売する音声ホームアシスタントです。家電の赤外線リモコンを登録できる学習リモコン機能と音声操作機能を搭載しており、手でリモコンのボタンを押すのではなく、声で指示するだけで家中の家電をコントロールできるというデバイスです。
操作は音声だけでなくスマートフォンやパソコンにも対応していて、外出先からリモートで家の電化製品を操作することもできます。また、本体に搭載された温度センサーと光センサーで自宅の状態を把握することも可能になっています。
価格は36,800円(税別)ですが、2018年2月8日現在はキャンペーン価格として26,800円(税別)で購入できます。
自宅の赤外線リモコンを片っ端から登録
まずは身の回りにある家電の赤外線リモコン情報を記憶させます。
ブラウザのリモコン設定画面で、それぞれのアクションでの赤外線情報を紐付けます。私の場合は赤外線の設定がうまくいかず何度か失敗してしまいましたが、繰り返しやってみると無事登録できました。
自分の好きな言葉で家電をコントロール
ここまでは普通の赤外線リモコンとしての設定ですが、ここからFHCならではの音声認識機能を設定してみます。
Google HomeやAmazon Echoでは、「OK Google」「Alexa」といった呼びかけの言葉が決まっていますが、FHCでははじめに自分の発話で「呼びかけの言葉」と「制御の言葉」を設定することで、自分の好きな言葉で家電をコントロールすることができるのです。
かと言って、実在する人物や猫の名前を設定すると、呼ばれた人間や猫側が誤認識する可能性が高いので、実在しない人の名前などが良いと思われます。制御の言葉は、呪文でも何でも、覚えやすいものであれば良さそうです。
GoogleやAmazonが決めた言葉でなく、自分で言葉を決められるのはたまらないですね! と言っても自由にと言われると良い言葉が思いつかず……。とりあえず呼びかけの言葉を「コンピュータ」にして、テレビをつけたり消したりといったコマンドを覚えさせることにしました。
FHCでは、つけるときの呼びかけ方、消すときの呼びかけ方を複数パターン登録できるようになっています。
テレビに関しては、各放送局の選局に対してもコマンドを登録できるようです。iRemoconといった他社のスマートリモコンにも同様の機能はありますが、チャンネル変更も音声制御できるのはテレビっ子には良いかも。リモコンが近くになくてもこたつから出ずにチャンネルを変えられますね。
私は、「テレビつけて」「テレビ見たい」「帰って来たよ」「ただいま」でテレビをつける。「テレビ消して」「テレビもう消して」「テレビ早く消して」でテレビを消すように設定してみました。
余談ですが、FHCを導入してから数日後に気づいたのですが、我が家で愛用しているSHARPのロボット掃除機「COCOROBO(ココロボ)」には、「ただいま」と呼びかけると「おかえり」と言ってくれる機能があったのです。
ここ数年ずっと気がつかなかったのですが、テレビをつけようとして「コンピュータ、ただいま」と言ったら、たまに「おかえり」と返してくれることでやっと気がつきました。と同時に、家に帰って来て大きな声で「ただいま」と言う習慣もいつの日か無くなっていたことに気付かされました。
COCOROBOはスマートスピーカーやFHCと違って呼びかけの合図がないため、日常でも発話者の意図しない発言を拾ってくれます。おかげで毎回びっくりしてしまうのですが、これが意外にも癒されます。
聞き取りの精度は良好
音声制御の肝である認識精度はどうなの? と気になる方も多いと思いますが、反応はとても良好です。開発元のrti技研さんによると、これは発売から今まで徹底的に音声認識をチューニングした結果得られた品質とのことでした。
ただし、あまり小さい声だったり、遠くから話しかける場合はマイクで音をうまく拾うことができず、何度も繰り返すことになりました。これはGoogle HomeやAmazon Echoでも同じことですが、広いおうちに住んでいる場合は、コストはかさみますが複数個用意した方がストレスはなくなるでしょう。
他にも予期していない動作としては、あるとき突然テレビの電源が落ちてしまい、「テレビが壊れた!?」と大騒ぎになってしまいました。これは想像ですが、「コンピュータ」という一般用語すぎる呼びかけを設定してしまったために、日常の会話などに反応してしまったのかもしれません。これは「通常は使わないけれど話しかけやすい名称」に設定することで回避できそう。
好きな言葉で制御できる楽しさ
FHCを使って2カ月いじり倒してみましたが、やはりGoogle HomeやAmazon Echoと違って自分の好きな言葉に反応してくれるのは、本当に自分の言うことを聞いてくれているのだと感じられ、嬉し楽しいですね。どうしても「Alexa」など決められた言葉を発するときは、機械に人間が合わせてあげている感が否めません。
繰り返しになりますが、2012年にこの製品が販売されていたのには驚きです。もっと早く出会いたかった……。FHCの今後の発展に期待が高まります!
複数の連携でもっと便利に
音声での家電操作をもっと便利に活用する機能もFHCには用意されています。その1つが家電連携マクロで、FHCに設定した家電の操作をまとめて行うことができる機能です。Webサイトでは「シアターモード」と言うとカーテンを閉めてプロジェクターが写り、照明が消える、という使い方が紹介されていますが、ほかにも「ただいま」というと照明やテレビ、エアコンがオンになる、という使い方ができたりと、アイディア次第で家電をもっと手軽に操作できます。
また、公開されているWebAPIやJavascriptを使ったプログラミングでFHCをコントロールできたり、アップルのHomekitエミュレーション機能を使ってiOSのHomeアプリやSiriからFHCを操作するといった開発者向けの機能も用意されています。今回は残念なことにここまで使いこなすことはできなかったのですが、プログラミングスキルと想像力を駆使すれば、今回の何十倍も楽しめるのではないかと思います。
IoT化への原動力の1つは「怠惰」
第5回では、ギリギリまで布団に埋まっていたい、というぐうたら生活を可能にするため、追い炊きボタンを布団の中で押せる仕組みを実現しましたが、今回も「リモコンをわざわざ取りに行かずに、和室のこたつに入ったままでもテレビをつけたり消したりしたい」というわがままを叶えるため、家じゅうどこでも音声でテレビやエアコンを制御できる仕組みを導入してみました。
IoTハウスで便利になることは、防犯対策、猫の健康•安否確認、遠隔操作(特に外出先からの操作)など色々ありますが、特に寒い冬は、家でぬくぬくぐうたらできるということも大きなメリットです。以前より少しでも効率化(怠惰とも言う)が実現できると、達成感とともに何よりも幸せを感じるのでした。
この記事は、2018年2月9日に「カデーニャ」で公開され、家電Watchへ移管されたものです。 |