【ミラノサローネ2009】
世界的デザイナーへの登竜門「サローネ・サテリテ」を見る
ミラノサローネ、Rho Fiera新見本市会場でも、特別な存在なのがSatellite(サテリテ)と呼ばれる見本市だ。これは世界進出を目指す新人デザイナー達の登竜門となっている見本市で、個人またはグループが、ブースを借りて自分の作品を展示している。
昨年は新見本市会場の駐車場に大きなテントを用意して開催していたが、今年はEuroluce会場の一部を使って開催されていた(それでも規模は昨年と同じか少し大きくなっていた)。
サテリテには、多くの日本人デザイナーも参加しているが、ここではその中から気になったものを写真を中心に紹介していこう。
■底知れぬ存在感の “等身大LED”
一番注目を集めていたのが、マコトトジキデザインの等身大LED作品、「The Man with No Shadow」。ファイバーで吊るされたLEDが青く光って等身大の人の像を映し出す作品だ。
■思いつきを楽しむ「PING PONG DOOR」
行列ができていたのはTOBIAS FRANZEL(トビアス・フレンツェル)の「PING PONG DOOR」。「ドアを卓球台にしたらおもしろいんじゃないの?」「OK。それやろう」という思いつきでつくったところ、ドアのフレームによってコースが狭められるおもしろさも加わって大人気に。
普段は普通のドアだというが、裏側はやはりどうみても卓球台だ。
■組み合わせ次第の椅子&テーブル
ハっとさせられたのがNuno Soares Constraction(ヌノ・ソアレス)の収納便利なDOUBLE CHAIRという作品。ただの木の椅子とテーブルと思いきやテーブルをひっくり返して別の椅子にすることもできれば1つにまとめて収納することもできる。
■ページをめくって光の変化を楽しむ
ミラノを拠点に活動するEna Talkie(エナ・タルキエ Webサイトなし)は、ページをめくることで違った雰囲気を楽しめるライトを展示。ランプシェードだけでなく、光の色まで変わっている点に注目して欲しい。
■愛国心高揚ラック!?
Guido Gallovich(ギド・ガロビッチ)は、国旗をモチーフにしたラックを展示。日本の国旗をあけるとドアの内側にコンセント。家電を置くことができる。アメリカの国旗の中には液晶テレビが置かれている。
■今にも動き出しそうなライト
今にも動き出しそうな虫のような照明をつくっているのはSite Specific Design + 100% Brooklin Design。奥の写真に写っている木ほどの大きさがある巨大な虫も、実際につくったそうだ。
■叫ぶ洗濯バサミ
ひねりのきいた作品がおもしろいのがVivo+GlamGOOD。「Help!」はつまむと顔がつぶれるムンクの有名な絵「さけび」をイメージした洗濯バサミ。「Twister」は、紙くずを入れると吸い取るようにして転がり落ちて行く紙くず専用ゴミ箱だ。
■貧乏ゆすりで痩せる? 椅子
Alice Wang(アリス・ワン)は、貧乏揺すりで痩せられるかもしれない「The Dysfunctional Chair」を出品。椅子の下に貧乏揺すりで燃焼したカロリーを表示してくれる。
■ペットボトルで作られたパーティション
フィンランドはヘルシンキを拠点に活躍するスタジオ・アリヒロ・ミヤケは、リサイクルしたペットボトルでつくられたパーティションの「FORT」、ケーブルを巻き取って収納できる電源タップの「TRUSH IN」、個々のランプを取り外して使うこともできる燭台型ランプ、BUGIAを展示している。
■ピラミッド型の収納器具
PORE by Takafumi Nemotoによる「DEL DEL & AQU AQU」は、ピラミッドのような形状ながら、一段一段がスライド式の引き出しになっているという、なんとも異様な収納器具だ。
■思わず撫でたくなるテーブル
PUDELSKERNは、プードルを思わせるふわふわ系の毛糸でくるんだライトやテーブルで、これまでにない触感をアピール。
■日伊で広がる新しい展示方法
展示した家具もさることながら、その展示方法で大きな注目を集めたのがアツシ・ムロイ。展覧会と言えば、いかに自分の作品の魅力を伝えるかという場のはずだが、彼は床にカタログだけ置いて、自分がつくった床起き型ハンモックWAN MOCKの上で口をつぐんで寝てしまっている。しかも、来場者からの一切の質問を拒絶するように、耳には丁寧にヘッドホンまでしている。
もっとも、彼にとって誤算なのは、同じアイディアを考えたのが1人でなかったこと。イタリアのP4(ピ・クアットロプント)も自らの家具を前に寝技を決め込んでいた。この展示方法は、これからのトレンドかもしれない。
(林 信行)
2009年4月28日 18:58