家電トレンドチェッカー

成熟した扇風機市場 あなたはどれを選ぶ?

 今年も扇風機の季節がやってきた。ここ数年、毎年扇風機のトレンド記事をまとめているが、今年のトレンドはズバリ“成熟”。バルミューダが2010年に扇風機に初めてDCブラシレスモーターを搭載してから、扇風機の高機能化、高価格化の勢いは留まるところを知らない。

 家電量販店の扇風機売り場にいけば、そのスペースは以前の2倍以上、置いてある製品も、機能や値段、デザインなどそれこそピンからキリまで並んでいる。これは、5年前ではちょっと考えられなかったこと、まさに扇風機市場は成熟しきっているといっていいだろう。

 しかし、扇風機とは本来、風を発生し、涼を得るために使うごくシンプルな製品のはず。山ほどある製品の中から、どうやって自分に合うものを選べばいいのか。今回は、それぞれの製品の特徴をまとめながら、扇風機の選び方をレクチャーしよう。

風の質にこだわるのなら、バルミューダ、ダイソンがおすすめ

Dyson Cool ファン

 現在の扇風機の高価格化の流れを作ったメーカーといえば、ダイソンとバルミューダが挙げられる。ダイソンが羽根のない扇風機を出したのが2009年、バルミューダのGreenFanが2010年、その後、東日本大震災が発生し、節電の波に乗り、扇風機が爆発的に売れた。どうせ、使うのなら省エネ性に優れて、質の良い風を発生するものが良いということで、各メーカーが様々な製品を展開している。

 その中でも、“風の質”という点ではこの2機種がやはり、元祖。実際使ってみても、一般的な扇風機の風とは確かに違う。

 ダイソンの「Dyson Cool ファン」は、従来より指摘が多かった運転音の問題を独自の方法で解消。モーターの下部にヘルムホルツ式空洞と呼ばれるスペースを設けることで、ノイズが大幅に中和されるというこのやり方は、高品質のスピーカーや、車の排気口など採用されているノイズキャンセラー技術を使ったもの。

 本体設計を見直し、乱気流の発生を低減したことで、より風がスムーズになり、消費電力も低減している。

バルミューダ「GreenFan Japan」

 バルミューダが5月1日より発売したその名も「GreenFan Japan」。基本的な機構は従来のGreenFanと同じで、独自の二重構造羽根を採用。外側の羽根と、内側の羽根で発生する風をあえてぶつけてから広げることで、心地よい風を送るという。その独自の構造上、本体から2~3m離れた場所で使うのがオススメだ。

 新モデルでは、首振り幅を自分で設定できるというユニークな機能も搭載している。例えば昼寝中、体全体に風が当たるように、首振り設定するが、体の大きさ以上に首振り幅が大きい時がある。GreenFan Japanなら、ここからここまで首振り運転したいというのを、手動で簡単に調節できる。

 ダイソンもバルミューダも共通するのは、羽根で空気を遮っていないので、「ババババッ」と感じる風の塊がないこと。顔に直接当てても息苦しさがないので、夏の日のお昼寝や乳幼児に風を送りたい場合は、オススメだ。

使い勝手にこだわるならやっぱり、国内メーカーかも

パナソニック「リビング扇 F-CK339」

 やっぱり、扇風機は使い勝手! という人にはパナソニックやシャープ、日立、東芝など国内メーカーの製品がおすすめ。例えば、高さを自由に調節できたり、左右だけでなく上下左右に首を振る立体首振り機能、充実したタイマー機能などは、ダイソンやバルミューダにはない独自の機能だ。もちろん、全てDCモーターを搭載しているので、省エネ性能もバッチリだ。

 パナソニックの「リビング扇 F-CK339」は、自然に近い心地よい風を送る「1/fゆらぎ」を搭載。本体には室温に合わせて風量を自動で調整する温度センサーや、衣類のニオイを脱臭するナノイー機能などを備える。

 シャープの「プラズマクラスター扇風機 ハイポジション・リビングファン PJ-D3DG」は、蝶の羽の形状を応用した「ネイチャーウイング」を採用。ムラのないなめらかな風を送ることができるという。ユニークなのは、部屋が高温/高湿の状態になると、水分補給やエアコン使用を促す「みはり機能」だ。室内での熱中症を予防してくれる。

シャープの「プラズマクラスター扇風機 ハイポジション・リビングファン PJ-D3DG」
蝶の羽の形状を応用した「ネイチャーウイング」を採用

 東芝、SIENTシリーズの「F-DLS1000」は、独自の7枚羽根の中心に「斜流ファン」を組み合わせることで、きめ細やかに広がる風を再現するという。温度センサーによる自動運転や、立体首振り機能も備える。

 日立の「ハイポジション扇 HEF-DC2000」は、風量やタイマー、首振りなど、自分好みの設定を1つのボタンに登録できる「マイメモリー」機能を備える。就寝時の設定など、一度登録すれば以降はボタン1つで呼び出すことができる。また、就寝前に適した「おやすみ運転」も備える。約20分ごとに風量が1段階ずつ下がり、最大9時間まで設定可能だ。

東芝、SIENTシリーズの「F-DLS1000」
7枚羽根の中心に「斜流ファン」を組み合わせた。独自の羽根を採用
日立「ハイポジション扇 HEF-DC2000」

+α機能では充電機能に注目

 多機能化が進む扇風機。その中でも家電Watchが注目するのが、充電機能。事前に充電しておくことで、コードレスで使うことができる。DCモーター採用により、消費電力が少ないので、長時間連続使用できる点が魅力だ。

 バルミューダの「GreenFan Japan」では、オプションとして「バッテリー&ドッグ」を用意。1回8時間の充電で、約20時間コードレスで使うことができる。充電器を差し込み型のドック型としたことで、使い勝手にも配慮する。

 シャープの「プラズマクラスター扇風機 コードレス3Dファン PJ-D2DBG」は、約6時間の充電で最大14時間の連続運転に対応。本体重量が3.2kgと軽いので、持ち運びしやすい点が特徴だ。

 もう1つユニークな機能を搭載しているのが、アイリスオーヤマのDCモーター扇風機「人感首ふり扇風 LFDJ-301K」だ。赤外線センサーで、人を検知し、左右の首振り角度を自動で調整するという。センサー感度は1~3で調節可能。

本体を上から差し込むだけで充電できる「GreenFan Japan」のオプション「バッテリー&ドッグ」。希望小売価格は8,900円(税抜)
シャープ「プラズマクラスター扇風機 コードレス3Dファン PJ-D2DBG」
アイリスオーヤマのDCモーター扇風機「人感首ふり扇風 LFDJ-301K」。ガードの下に黒い赤外線センサーが設けられている

サーキュレーターとして使いたいなら、送風方向に注目

 扇風機の高級化に伴って、夏だけ使うのはもったいない! サーキュレーターとして通年使用! という動きがある。サーキュレーターとは、室内の空気を攪拌することで、空調効率を上げるために使うものだ。とはいえ、扇風機とは基本的に床に置いて使うもの、サーキュレーターとして使うには、真上方向の送風が必要になる。というわけで、ここでは真上への送風が可能な機種を紹介しよう。

 シャープ「プラズマクラスター扇風機 コードレス3Dファン PJ-D2DBG」は、上下左右に首を振る「3Dターン」が特徴。真上への送風も可能で、部屋の空気を効率よく攪拌できる。脱臭・除菌に効果があるプラズマクラスターも備えるので、室内干しにも有効に使えそうだ。

 東芝「SIENTμ(サイエント ミュー) F-DPS20」では、左右最大180度、上下最大100度の「立体ワイド首振り機能」を備える。

 日立の「ハイポジション扇 HEF-DC2000」も真上への送風が可能。

シャープ「プラズマクラスター扇風機 コードレス3Dファン PJ-D2DBG」
東芝「SIENTμ(サイエント ミュー) F-DPS20」。左右最大180度、上下最大100度の「立体ワイド首振り機能」を備える
日立「ハイポジション扇 HEF-DC2000」も真上への送風が可能

 今回ここで紹介したのは、各メーカーのハイエンドモデルのため、価格もかなり高額だが、エントリーモデルであれば、10,000円以下のモデルもある。しかし、その際はモーターの種類のチェックを忘れずに! これから買うならば、性能も省エネにも優れているDCモーターのモデルが絶対にオススメだ。

メーカー名製品名モーター羽根本体サイズ
(幅×奥行き×高さ)
重量希望小売価格店頭予想価格
アイリスオーヤマ人感首ふり扇風 LFDJ-301KDC5枚羽根350×345×830~1,030mm4.2kgオープン18,000円前後
シャーププラズマクラスター扇風機 ハイポジション・リビングファン PJ-D3DGDC7枚羽根370×370×820~1,110mm5.7kgオープン26,800円前後
プラズマクラスター扇風機 コードレス3Dファン PJ-D2DBGDC7枚羽根270×270×550~670mm3.2kgオープン31,800円前後
ダイソンAM06 テーブルファンDC
なし356×147×552mm1.83kgオープン40,800円前後
AM07 タワーファンDC
なし230×230×1,007mm2.85kgオープン54,800円前後
ツインバードコアンダエア EF-D969WDC10枚羽根390×390×1,100mm5.1kgオープン23,000円前後
東芝ライフスタイルSIENT(サイエント) DCリビング扇 F-DLS1000DC7枚羽根370×370×799~1,089mm5.7kgオープン30,000円前後
SIENTμ(サイエント ミュー) DCコンパクト扇 F-DPS20DC7枚羽根270×270×532~647mm2.8kgオープン20,000円前後
DCリビング扇風機 F-DLS75DC9枚羽根352×350×815~1,092mm3.8kgオープン20,000円前後
ACリビング扇風機 F-ALS70AC7枚羽根352×350×815~1,092mm4.0kgオープン11,000円前後
DCタワー型扇風機 F-DTS50XDC-300×300×891mm5.4kgオープン20,000円前後
ハイアールアクアセールスDCモーター扇風機 AQS-H30CDC6枚羽根360×350×905~1,130mm4.4kgオープン20,000円前後
DCモーター扇風機 AQS-H30CDC6枚羽根360×350×905~1,130mm4.4kgオープン20,000円前後
パナソニックリビング扇 F-CK339DC7枚羽根370×370×905~1,100mm6.3kgオープン33,000円前後
リビング扇 F-CK327AC7枚羽根370×370×830~1,090mm5kgオープン19,000円前後
バルミューダGreenFan Japan(グリーンファンジャパン)DC2重構造(9枚/5枚)330×320×497/871mm4.1kg35,000円-
阪和DCモーター メタルリビングファン 12インチ DVL-5012LFDC5枚羽根350×350×970mm5.4kg14,400円-
日立リビングサプライハイポジション扇 HEF-DC2000DC8枚羽根371×360×810~1,100mm5kgオープン22,000円前後
リビング扇 HEF-90RAC5枚羽根371×360×735~950mm3.9kgオープン8,500円前後
スリムファン HSF-DC800DC-280×280×940mm3.6kgオープン16,000円前後
プラマイゼロ補助翼扇風機 DCファン XQS-Y620DC5枚羽根354×310×820mm5.2kg18,000円-
無印良品扇風機・リモコン付き(低騒音ファン・サーキュレータータイプ) R30M-HRB-5枚羽根390×390×848~1,048mm4.5kg9,074円-

編集部