家電トレンドチェッカー
成熟した扇風機市場 あなたはどれを選ぶ?
(2014/5/15 07:00)
今年も扇風機の季節がやってきた。ここ数年、毎年扇風機のトレンド記事をまとめているが、今年のトレンドはズバリ“成熟”。バルミューダが2010年に扇風機に初めてDCブラシレスモーターを搭載してから、扇風機の高機能化、高価格化の勢いは留まるところを知らない。
家電量販店の扇風機売り場にいけば、そのスペースは以前の2倍以上、置いてある製品も、機能や値段、デザインなどそれこそピンからキリまで並んでいる。これは、5年前ではちょっと考えられなかったこと、まさに扇風機市場は成熟しきっているといっていいだろう。
しかし、扇風機とは本来、風を発生し、涼を得るために使うごくシンプルな製品のはず。山ほどある製品の中から、どうやって自分に合うものを選べばいいのか。今回は、それぞれの製品の特徴をまとめながら、扇風機の選び方をレクチャーしよう。
風の質にこだわるのなら、バルミューダ、ダイソンがおすすめ
現在の扇風機の高価格化の流れを作ったメーカーといえば、ダイソンとバルミューダが挙げられる。ダイソンが羽根のない扇風機を出したのが2009年、バルミューダのGreenFanが2010年、その後、東日本大震災が発生し、節電の波に乗り、扇風機が爆発的に売れた。どうせ、使うのなら省エネ性に優れて、質の良い風を発生するものが良いということで、各メーカーが様々な製品を展開している。
その中でも、“風の質”という点ではこの2機種がやはり、元祖。実際使ってみても、一般的な扇風機の風とは確かに違う。
ダイソンの「Dyson Cool ファン」は、従来より指摘が多かった運転音の問題を独自の方法で解消。モーターの下部にヘルムホルツ式空洞と呼ばれるスペースを設けることで、ノイズが大幅に中和されるというこのやり方は、高品質のスピーカーや、車の排気口など採用されているノイズキャンセラー技術を使ったもの。
本体設計を見直し、乱気流の発生を低減したことで、より風がスムーズになり、消費電力も低減している。
バルミューダが5月1日より発売したその名も「GreenFan Japan」。基本的な機構は従来のGreenFanと同じで、独自の二重構造羽根を採用。外側の羽根と、内側の羽根で発生する風をあえてぶつけてから広げることで、心地よい風を送るという。その独自の構造上、本体から2~3m離れた場所で使うのがオススメだ。
新モデルでは、首振り幅を自分で設定できるというユニークな機能も搭載している。例えば昼寝中、体全体に風が当たるように、首振り設定するが、体の大きさ以上に首振り幅が大きい時がある。GreenFan Japanなら、ここからここまで首振り運転したいというのを、手動で簡単に調節できる。
ダイソンもバルミューダも共通するのは、羽根で空気を遮っていないので、「ババババッ」と感じる風の塊がないこと。顔に直接当てても息苦しさがないので、夏の日のお昼寝や乳幼児に風を送りたい場合は、オススメだ。
使い勝手にこだわるならやっぱり、国内メーカーかも
やっぱり、扇風機は使い勝手! という人にはパナソニックやシャープ、日立、東芝など国内メーカーの製品がおすすめ。例えば、高さを自由に調節できたり、左右だけでなく上下左右に首を振る立体首振り機能、充実したタイマー機能などは、ダイソンやバルミューダにはない独自の機能だ。もちろん、全てDCモーターを搭載しているので、省エネ性能もバッチリだ。
パナソニックの「リビング扇 F-CK339」は、自然に近い心地よい風を送る「1/fゆらぎ」を搭載。本体には室温に合わせて風量を自動で調整する温度センサーや、衣類のニオイを脱臭するナノイー機能などを備える。
シャープの「プラズマクラスター扇風機 ハイポジション・リビングファン PJ-D3DG」は、蝶の羽の形状を応用した「ネイチャーウイング」を採用。ムラのないなめらかな風を送ることができるという。ユニークなのは、部屋が高温/高湿の状態になると、水分補給やエアコン使用を促す「みはり機能」だ。室内での熱中症を予防してくれる。
東芝、SIENTシリーズの「F-DLS1000」は、独自の7枚羽根の中心に「斜流ファン」を組み合わせることで、きめ細やかに広がる風を再現するという。温度センサーによる自動運転や、立体首振り機能も備える。
日立の「ハイポジション扇 HEF-DC2000」は、風量やタイマー、首振りなど、自分好みの設定を1つのボタンに登録できる「マイメモリー」機能を備える。就寝時の設定など、一度登録すれば以降はボタン1つで呼び出すことができる。また、就寝前に適した「おやすみ運転」も備える。約20分ごとに風量が1段階ずつ下がり、最大9時間まで設定可能だ。
+α機能では充電機能に注目
多機能化が進む扇風機。その中でも家電Watchが注目するのが、充電機能。事前に充電しておくことで、コードレスで使うことができる。DCモーター採用により、消費電力が少ないので、長時間連続使用できる点が魅力だ。
バルミューダの「GreenFan Japan」では、オプションとして「バッテリー&ドッグ」を用意。1回8時間の充電で、約20時間コードレスで使うことができる。充電器を差し込み型のドック型としたことで、使い勝手にも配慮する。
シャープの「プラズマクラスター扇風機 コードレス3Dファン PJ-D2DBG」は、約6時間の充電で最大14時間の連続運転に対応。本体重量が3.2kgと軽いので、持ち運びしやすい点が特徴だ。
もう1つユニークな機能を搭載しているのが、アイリスオーヤマのDCモーター扇風機「人感首ふり扇風 LFDJ-301K」だ。赤外線センサーで、人を検知し、左右の首振り角度を自動で調整するという。センサー感度は1~3で調節可能。
サーキュレーターとして使いたいなら、送風方向に注目
扇風機の高級化に伴って、夏だけ使うのはもったいない! サーキュレーターとして通年使用! という動きがある。サーキュレーターとは、室内の空気を攪拌することで、空調効率を上げるために使うものだ。とはいえ、扇風機とは基本的に床に置いて使うもの、サーキュレーターとして使うには、真上方向の送風が必要になる。というわけで、ここでは真上への送風が可能な機種を紹介しよう。
シャープ「プラズマクラスター扇風機 コードレス3Dファン PJ-D2DBG」は、上下左右に首を振る「3Dターン」が特徴。真上への送風も可能で、部屋の空気を効率よく攪拌できる。脱臭・除菌に効果があるプラズマクラスターも備えるので、室内干しにも有効に使えそうだ。
東芝「SIENTμ(サイエント ミュー) F-DPS20」では、左右最大180度、上下最大100度の「立体ワイド首振り機能」を備える。
日立の「ハイポジション扇 HEF-DC2000」も真上への送風が可能。
今回ここで紹介したのは、各メーカーのハイエンドモデルのため、価格もかなり高額だが、エントリーモデルであれば、10,000円以下のモデルもある。しかし、その際はモーターの種類のチェックを忘れずに! これから買うならば、性能も省エネにも優れているDCモーターのモデルが絶対にオススメだ。
メーカー名 | 製品名 | モーター | 羽根 | 本体サイズ (幅×奥行き×高さ) | 重量 | 希望小売価格 | 店頭予想価格 |
アイリスオーヤマ | 人感首ふり扇風 LFDJ-301K | DC | 5枚羽根 | 350×345×830~1,030mm | 4.2kg | オープン | 18,000円前後 |
シャープ | プラズマクラスター扇風機 ハイポジション・リビングファン PJ-D3DG | DC | 7枚羽根 | 370×370×820~1,110mm | 5.7kg | オープン | 26,800円前後 |
プラズマクラスター扇風機 コードレス3Dファン PJ-D2DBG | DC | 7枚羽根 | 270×270×550~670mm | 3.2kg | オープン | 31,800円前後 | |
ダイソン | AM06 テーブルファン | DC | なし | 356×147×552mm | 1.83kg | オープン | 40,800円前後 |
AM07 タワーファン | DC | なし | 230×230×1,007mm | 2.85kg | オープン | 54,800円前後 | |
ツインバード | コアンダエア EF-D969W | DC | 10枚羽根 | 390×390×1,100mm | 5.1kg | オープン | 23,000円前後 |
東芝ライフスタイル | SIENT(サイエント) DCリビング扇 F-DLS1000 | DC | 7枚羽根 | 370×370×799~1,089mm | 5.7kg | オープン | 30,000円前後 |
SIENTμ(サイエント ミュー) DCコンパクト扇 F-DPS20 | DC | 7枚羽根 | 270×270×532~647mm | 2.8kg | オープン | 20,000円前後 | |
DCリビング扇風機 F-DLS75 | DC | 9枚羽根 | 352×350×815~1,092mm | 3.8kg | オープン | 20,000円前後 | |
ACリビング扇風機 F-ALS70 | AC | 7枚羽根 | 352×350×815~1,092mm | 4.0kg | オープン | 11,000円前後 | |
DCタワー型扇風機 F-DTS50X | DC | - | 300×300×891mm | 5.4kg | オープン | 20,000円前後 | |
ハイアールアクアセールス | DCモーター扇風機 AQS-H30C | DC | 6枚羽根 | 360×350×905~1,130mm | 4.4kg | オープン | 20,000円前後 |
DCモーター扇風機 AQS-H30C | DC | 6枚羽根 | 360×350×905~1,130mm | 4.4kg | オープン | 20,000円前後 | |
パナソニック | リビング扇 F-CK339 | DC | 7枚羽根 | 370×370×905~1,100mm | 6.3kg | オープン | 33,000円前後 |
リビング扇 F-CK327 | AC | 7枚羽根 | 370×370×830~1,090mm | 5kg | オープン | 19,000円前後 | |
バルミューダ | GreenFan Japan(グリーンファンジャパン) | DC | 2重構造(9枚/5枚) | 330×320×497/871mm | 4.1kg | 35,000円 | - |
阪和 | DCモーター メタルリビングファン 12インチ DVL-5012LF | DC | 5枚羽根 | 350×350×970mm | 5.4kg | 14,400円 | - |
日立リビングサプライ | ハイポジション扇 HEF-DC2000 | DC | 8枚羽根 | 371×360×810~1,100mm | 5kg | オープン | 22,000円前後 |
リビング扇 HEF-90R | AC | 5枚羽根 | 371×360×735~950mm | 3.9kg | オープン | 8,500円前後 | |
スリムファン HSF-DC800 | DC | - | 280×280×940mm | 3.6kg | オープン | 16,000円前後 | |
プラマイゼロ | 補助翼扇風機 DCファン XQS-Y620 | DC | 5枚羽根 | 354×310×820mm | 5.2kg | 18,000円 | - |
無印良品 | 扇風機・リモコン付き(低騒音ファン・サーキュレータータイプ) R30M-HRB | - | 5枚羽根 | 390×390×848~1,048mm | 4.5kg | 9,074円 | - |