家電トレンドチェッカー

0.5合を17分で炊飯!! 時短が魅力の「超小型炊飯器」4モデルの実力を検証!

 毎年、多くのメーカーから美味しいご飯が炊ける炊飯器が数多く登場しているが、誰もが最高の美味しさを追求した高級炊飯器を求めているわけではない。手軽さやコンパクトサイズ、さらには短時間で炊けることを重視する人も少なくないだろう。そこで今回は3合以下の小容量を手軽に、短時間で炊ける4つの、炊飯器(電気鍋)をチョイス。実際に試してみた。

 今回取り上げるのは、神明の「poddi(ポッディー) AK-PD01」、小泉成器の「ライスクッカーミニ KSC-1512」、クマザキエイムの「Bearmax マルチ・ライスクッカー MC-106」、そしてシロカの「SP-D131」の4台だ。

左から、神明「poddi AK-PD01」、小泉成器「ライスクッカーミニ KSC-1512」、クマザキエイム「Bearmax マルチ・ライスクッカー MC-106」、シロカ「SP- D131」

 神明、小泉成器、クマザキエイムの3製品は1万円を割る価格が魅力。炊飯容量は1.5〜2合と少ないが、その分コンパクトなのが特徴だ。

 シロカは唯一、圧力炊飯ができるモデルで、炊飯容量も最大3合と大きい。また、製品カテゴリーとしては炊飯器ではなく電気圧力鍋に属しており、多彩な調理が可能。1分単位の圧力調理に加え、低温でゆっくりと加熱するスロー調理にも対応する。

 どのモデルも短時間で炊飯できることが特徴。しかし、カタログなどに記載されている調理時間は、炊飯時間や加圧時間のみで、実際には蒸らしの時間など、前後も時間がかかることを注意したい。では一台ずつ見ていこう。

専用の「スチーム米」を使うと10分で炊ける神明の「poddi AK-PD01」

 最初に取り上げるのは神明の10分ごはんシリーズの炊飯器「poddi AK-PD01」だ。これは専用のお米「ソフトスチーム白米」を利用することで、最短10分でご飯が炊けるのが特徴の炊飯器。この専用のお米は、白米のほか「ソフトスチーム玄米」と「ソフトスチームもち玄米」が用意されている。またフリーズドライの具を一緒に炊く「炊き込みご飯セット」も利用できる。

神明「poddi AK-PD01」。写真のホワイトの他、レッド、ブラウン、イエロー、オレンジ、グリーン、ピンクの7色が揃う
メーカー名神明
製品名poddi AK-PD01
直販価格4,980円(税込)

 本体サイズは155×180×197mm(幅×奥行×高さ)で、質量は1.4kgと非常にコンパクト。使わない時は食器棚にしまうこともできる。炊飯容量は0.5~1.5合。炊飯コースは、白米、高速、玄米、おかゆを用意。さらに背面スイッチで、ソフトスチーム米と通常米の切り替えができる。

本体正面にはコース選択ボタンと炊飯ボタン、表示画面が並ぶ。画面右下が光っている場合、ソフトスチーム米モードとなっている
本体背面にソフトスチーム米と一般米の切り替えスイッチを配置
最大1.5合炊ける小さな内釜

 まず、ソフトスチーム米を0.5合炊いてみた。シリーズ名でもある「10分ごはん」は、このソフトスチーム米0.5合を「高速」コースで炊くことで実現できる。実際に試したところ、約12分で炊飯が完了した。その後5分ほど蒸らしが入り、約17分後にアラームが鳴った。これならば、おかずの温めや、食卓の準備をしている間に炊けるだろう。

1.5合のソフトスチーム米を炊いたところ。容量はギリギリだった
水をわずかに少なめにすると粒感がよくなった。味が濃いめのおかずと合わせたい
0.5合ずつに小分けされたソフトスチーム米。さっと使えるのが便利だ

 ソフトスチーム米0.5合を炊いた食感は、柔らかく水っぽいというものだった。水分量をやや少なめにすると水っぽさは低減し、粒感も出るようになった。ただし、お米の甘みやもちもち感は少なめだ。

 なお、「poddi AK-PD01」は一般的なお米も炊飯できる。ただし、1時間以上の浸水が必要だ。実際に1合のお米を「白米」コースで炊いてみると、蒸らし時間込みで約29分かかった。炊飯時間は倍近くになるが、炊き上がりの水っぽさは取れ、ご飯の状態は明らかによくなった印象だ。

 このほかの機能として、ソフトスチーム玄米も炊いてみた。蒸らしも含めた炊飯時間は約53分。通常の玄米なら一晩必要となる浸水も不要で、1時間以内と素早く炊けるのは便利だと感じた。玄米らしい食感もあり、柔らかく食べやすかった。なお、よりモチモチして食べやすいという「ソフトスチームもち玄米」もある。

 ただし、課題もあった。ソフトスチーム米は75g(0.5合)入り30袋入りで2,680円と非常に高価だ。2kgの一般的なお米なら1,000円前後で買えるため、コストとしては倍以上となる。本体価格が安くても、ランニングコストが高く付くことは理解した上で導入したい。

 なお、30袋入りが2セットで3,780円のパッケージや、隔月ごとに50袋届く定期購入コースが2,980円と、ランニングコストを1kgあたり800円以下へ下げられることも可能だ。

 ソフトスチーム米は0.5合ずつの個包装になっており、手軽に炊けるのはメリットで、ご飯の消費量が少ない単身世帯などに向いているだろう。

おかず調理にも対応する小泉成器の「ライスクッカーミニ KSC-1512」

 続いて小泉成器の「ライスクッカーミニ KSC-1512」を紹介しよう。本体サイズは155×185×190mm(同)で、質量は約1.4kg。神明の「poddi AK-PD01」に近い大きさだが、炊飯できるお米は一般的な白米のみだ。

小泉成器「ライスクッカーミニ KSC-1512/W」。カラーバリエーションとしてブラウンも用意する
メーカー名小泉成器
製品名ライスクッカーミニ KSC-1512
価格・編集部調べ4,782円(税込)

 炊飯容量は0.5~1.5合。炊飯時間は0.5合で15分、1合で約20分、1.5合で約25分とマニュアルにあった。実際に1合炊いてみたところ、蒸らしも含めて約22分で炊けた。この時間は神明のソフトスチーム米・高速コースを除いて最も早かった。ただし、炊飯前に30分間の浸水が必要だ。そこで今回は、浸水無しと有りで炊き分けてみた。

白米を最大1.5合炊ける小型の内釜。非常にシンプルな作りだ
本体正面にディスプレイと4つのボタンを配置。メニュー選択などもない

 浸水無しで1合炊いた出来上がりは、やや硬めの歯ごたえで、少し芯が残ったような食感だった。鍋底のご飯は焦げもあった。浸水有りでは、硬さは低減し、芯も感じられなくなった。それでも底面の焦げは残った。とはいうものの、このあたりはお米によって変化する部分なので、水加減で調整できそうだ。

 なお、炊飯終了後は自動的に保温モードになり、1時間で電源が切れる仕組み。切れるたびに「保温」ボタンを押せば、保温の延長もできる。

1合のご飯を炊いたところ。内釜におねばの膜ができていた
消費電力が210Wと低いこともあり、やや火力不足の食感だった。水分量と浸水でフォローしたい

 また炊飯予約機能を搭載している。1時間単位で、1時間~最大12時間までを設定可能。

 ライスクッカーミニの基本機能は炊飯機能のみだが、その炊飯機能を利用しておかず調理も可能としている。付属のレシピブックには炊き込みご飯や煮物、カレー、ケーキなど全13メニューが紹介されている。メイン料理には心もとないかもしれないが、おかず調理にも利用できそうだ。

9つのおまかせメニューが初期設定されたクマザキエイムの「マルチ・ライスクッカー MC-106」

 3つ目は、クマザキエイムの「Bearmax マルチ・ライスクッカー MC-106」。名前にマルチとついている通り、炊飯器として使えるだけでなく、様々な料理に対応するのが特徴のモデルだ。

クマザキエイムの「Bearmax マルチ・ライスクッカー MC-106」。カラーリングはホワイト×ピンクのみ
メーカー名クマザキエイム
製品名Bearmax マルチ・ライスクッカー MC-106
価格・編集部調べ5,300円(税込)

 本体サイズは240×220×245mm(同)で、質量は約2.1kg。コンパクトながら、これまでの2台よりは一回り大きなサイズとなっている。本体サイズに応じて炊飯容量も大きく、0.5~2.5合の炊飯に対応する。メニューには白米、玄米やおかゆ、蒸し煮、スープ、ヨーグルトなど、9つの料理がプリセットされている。

 白米の炊飯は、メニューから「白米」を選び、「スタート」ボタンをタッチするか、左下の「炊飯」ボタンを2秒間長押しする。1合の炊飯時間は、蒸らし時間も含めて約32分だった。炊飯終了後、自動で保温がスタートする。

本体のフタをオープンしたところ。クリーム色の内釜は珍しい
最大2.5合炊けるアルミニウム製の内釜。表面にはセラミック・コーティングが施されている
本体上面にタッチボタンが並ぶ操作パネル

 炊き上がったご飯は適度な粒感を残しつつ柔らかい。ややパラっとした食感で、甘みや弾力は物足らないものの、低価格の炊飯器として、納得のいく炊き上がりだった。浸水時間をかけずに約30分で炊き上がった味として、十分に好感を持てた。

2合の白米を炊いたところ。内釜が白いため写真では白米がやや黄色っぽく見えるが、実際には自然な色のご飯だ
ご飯粒が大きく、食味のバランスが良い炊き上がりだった。派手さはないがおかずを選ばない

 使い勝手の面で、プラスとマイナス面があった。プラスの面は本体に取っ手があることだろう。小型の炊飯器は宅内で持ち運ぶことが多いが、取っ手があるので持ち運びがラクにできた。

 マイナスの面は内釜だ。内釜はクリーム色で、セラミックコートも施されたおしゃれな印象だが、残念な事に洗米には非対応だった。洗米のボウルやざるを別に用意する必要があった。加えて内釜内部の水位線が同色で、やや見づらい。小さな点かもしれないが、毎回見る部分なのでとても気になった。

 もう1つやや残念に感じたのは、プリセットメニューのタイマー機能が、白米コースに利用できない点だった。浸水なしでも美味しく炊けるので実用上の問題はないが、タイマー炊飯ができればもっと便利に活用できただろう(編集部注:レビュー時の試用機材は「プリセットメニューのタイマー機能が、白米コースで利用できない」ものでしたが、7月7日以降、順次店頭にて販売されているものは「プリセットメニューのタイマー機能が、白米コースで利用できる」ように機能改訂されております)。

 それでも炊飯時間の短さに食感と、本体価格を考えるととても魅力的。加えておかず調理メニューも揃い、多彩な使い方ができそうだ。

圧力調理とスロー調理ができるシロカの「SP-D131」

シロカの電気圧力鍋「SP-D131」。カラーバリエーションはホワイト、レッド、ブラウンの3色

 最後の1台はシロカの電気圧力鍋「SP-D131」だ。これまでの製品とは異なり、おかず調理がメイン。メニューの1つとして炊飯もできるという調理家電だ。本体サイズは220×238×249mm(同)、質量は約2.7kg。最大炊飯容量は3合で今回の4点の中で最も大きい。

メーカー名シロカ
製品名SP-D131
価格(編集部調べ)17,064円(税込)

 「SP-D131」の最大の魅力は圧力炊飯ができることだ。炊飯時に圧力をかけることで甘みを引き出し、もちもちとした食感を引き出す。レシピブックには各メニューの加圧時間が記載されているが、これは加圧の時間のみで、圧力がかかるまでの時間や減圧の時間は含まれていない。そこで実際に白米を炊いてみた。

最大3合炊けるだけあり、内釜のサイズも大きい。底面が広いため、おかず調理もしやすい
本体背面にあるロックピン
上フタ後方にある圧力表示ピンが下がったら減圧が済んだ証拠。左側の圧力切替弁で強制減圧も可能だ
本体前面の操作画面。メニューボタンを押して白米モードを選ぶ

 メニューから白米を選び、スタートボタンを押す。スタートしてから約10分で加圧がスタートし、メニュー画面の時間もカウントが始まる。8分間の加圧が済むと、今度は自然減圧に移行する。減圧が終わって出来上がるまでの時間は、炊飯開始から約32分を要した。圧力をかける時間自体は短いが、トータルの炊飯時間は他のものとあまり変わらなかった。なお、減圧後は自動的に保温に切り替わる。白米や玄米は最大12時間保温できる。

 圧力鍋の「SP-D131」は、安全のため、フタの開け方がやや複雑だ。加圧中はフタが開かない構造になっている。減圧が終わってから、本体裏のロックピンを引きながらフタのハンドルを回して開ける。開ける操作はやや慣れが必要だろう。

 炊き上がったご飯はつややかで、もっちりとした食感と甘さが味わえた。圧力がこれらをしっかりと引き出したのがわかる。柔らかさと甘みのあるご飯に親しんでいる人にも美味しく食べられる味だった。

炊き上がった白米。つやがあり、しっかりと粒が立っている
圧力炊飯ならではの甘みと弾力のある食感。ご飯だけでも美味しく食べられる

 最大3合のご飯が炊けるので、ご飯を炊いて冷凍しておけば、普段はおかずの調理鍋として利用しやすいだろう。圧力機能を使って短時間で肉類を柔らかく調理するだけでなく、長時間かけてゆっくりと加熱するスロー調理にも対応。メニューには、カレーや肉じゃがなどのおかずが6種類プリセットされているだけなく、手動の加圧調理にも対応している。最短1分から時間設定できるため、食材に短時間の圧力をかけて素早く味を染み込ませる、という使い方もできる。

「SP-D131」を使って作った肉じゃが。短時間で味が染みこむので使いやすい

 「SP-D131」は、今回紹介した他のモデルの中では高価だが、コンパクトでも圧力機能を使ったおかず調理に美味しいご飯も炊ける。1台で2役以上の便利な製品という印象だった。

 以上、小型の炊飯器や炊飯ができる鍋4つを使ってみた中で、「時短」という意味で際立っていたのはソフトスチーム米の高速炊きができる「神明」だった。忙しい時は高速で炊き、時間があるときは通常モードで炊くといった使い分けもできる。専門米を使うため、ランニングコストの問題はあるが、ご飯を炊く頻度が少なく、時間を優先したい方に向いている。

 コンパクトで味も重視したいなら、圧力炊飯ができるシロカ。ただし、この実売価格では、小型でない一般的な圧力IH炊飯器も比較対象となってしまのが悩みどころ。それでも、ご飯だけではなく、調理にも力を入れたい方には適している製品だ。

コヤマタカヒロ

フリーランスライター。1973年生まれ。学生時代より雑誌ライターとして活動を開始。PC、IT関連から家電製品全般までに造詣が深く、製品やビジネスを専門的ではなく一般の方がわかるように解説するスタンスで執筆活動を展開している。近年は、デジタルとアナログ、IT機器と家電が交差、融合するエリアを中心に取材活動を行なっている。雑誌やWebに連載多数。企業のアドバイザー活動なども行なっている。 Twitter:@takh0120