【特別企画】

エアコン夏商戦のポイントを聞く[日立アプライアンス編]

~“ステンレスクリーン”を軸に付加機能を訴求
by 大河原 克行


「ミストでうるおい ステンレス・クリーン 白くまくん」Sシリーズ

 日立アプライアンスが、2009年夏商戦において、同社エアコンの訴求ポイントとするのが、「ステンレス」、「イオンミスト」、「除湿」の3点だという。

 カタログの表紙にも、「ステンレスとイオンミストの白くまくん」とのキャッチコピーが書かれているように、冷房の基本性能に加えて、付加価値機能を前面に打ち出した訴求を図る考えだ。



ユーザーの4割弱が購入動機に―エアコン内部の汚れを防ぐ「ステンレスクリーン」

エアコンの内部構造に除菌効果のあるステンレスを採用している点が、日立のエアコンの特徴

 中でもステンレスは、いまや日立のエアコンの最大の特徴として、市場に定着しつつある。

 2009年モデルでは、全機種にステンレスフィルターを搭載するなど、ステンレス・クリーン化を下位機種にも展開。さらに、上位機では、ステンレス通風路、ステンレスルーバー、ステンレスプラズマ空清を搭載することで、空気の入り口から出口に至るまでステンレスの使用面積を大幅に拡大。ステンレスによってエアコン内部の奥まで、常にきれいにしておける環境を整えた。

 プラスチックに比べて汚れにくく除菌効果があるというステンレスの効果を生かし、エアコン内部の汚れやカビの発生を抑制し、エアコンから出る風を清潔に保ち、手入れの手間を軽減できるのが特徴。これにチタン熱交換器、銀イオンファンを組み合わせて、除菌、防カビ、脱臭などの効果をより発揮できるようにしている。

 

日立アプライアンス 空調事業部 ルームエアコン統括本部 ルームエアコン事業企画部 木村士良部長代理
 「暖房商戦においては、4割弱の人が『ステンレス』を当社製品購入の最大の理由にあげている。ステンレス素材を採用することで、クリーンな環境が実現できる点に、多くのユーザーが高い関心を寄せている」と、日立アプライアンス空調事業部ルームエアコン統括本部ルームエアコン事業企画部・木村士良部長代理は語る。

 掃除の手間が省けるというだけでなく、きれいな空気を送り出すためには、エアコンの内部がきれいにできるステンレスが有効であるという認識が広がっているともいえよう。

暖房商戦では、4割弱の人が購入動機に「ステンレス」を挙げていたという(写真はSシリーズ発表会より)最新モデルでは、従来に比べて吸込部周辺にもステンレスを追加。より清潔さにこだわっているステンレス(左)と非ステンレス(右)の、エアコン内部の汚れの比較

美肌/美髪に加え、脱臭/効果も――イオンミスト機能


暖房商戦では美肌、美髪効果を謳っていた「イオンミスト機能」。冷房商戦ではこれらに加え、脱臭、除菌効果を訴求するという

 2つ目のポイントとして挙げている「イオンミスト」に関しては、暖房商戦では、肌のうるおい効果、紙のしっとり効果を訴求し、乾燥しやすい環境において、その効果が高いことを示したが、冷房商戦でも同様に、美肌、美髪といった効果とともに、脱臭、除菌に効果があることを訴求する考えを示す。

 日立の「イオンミスト」機能は、空気中から集めた水分に高電圧をかけて直径20~50nm(ナノメートル)の微細な水滴を生成。これを、室内に放出することで脱臭・除菌効果が得られるというもの。暖房商戦のエアコン購入者からは、「部屋のニオイが気にならなくなった」、「肌がしっとりした」といった声が寄せられているという。

 「ベルチェ素子の高効率化や冷却面積の拡大、5本のフェルト構造のミストピンの採用、給水経路の改善などによって、2008年モデルに比べて約3倍のイオンミストを発生することができる。これにより、肌へのうるおいと、肌のキメを整え、ハリとツヤを与えことができ、さらに髪もしっとりとし、キューティクルを守ることができる。さらに、浸透脱臭を2倍速とし、約99.99%の浮遊菌を抑制できる。水分を部屋から給水するため、湿度をあげずに、うるおいと脱臭、除菌を実現できるのが特徴」としている。

 前年にはなかった「うるおい」効果を、今年は前面に打ち出したことで、暖房商戦では、3割強の購入者が、イオンミストを購入理由にあげるというように、同社製品の購入拡大につながげることに成功した。

 ステンレスの項目でも触れた、この購入者調査では、購入理由の回答を1つとしていることから、ステレンスとイオンミストの2つで、購入動機の約7割を占めることがわかる。

最新モデルでは、従来比でイオンミストの発生量が約3倍に増加イオンミストの発生機構。写真中央の白い5本のトゲの部分からミストが発生する除菌、脱臭効果に対するユーザーからの声

寒くならずに除湿する「カラっと除湿」。結露防止などで1年じゅう使用可能


寒くならない除湿を実現するという再熱除湿機能。導入より16年が経つ

 そして、日立が夏商戦において、もう1つの訴求ポイントとしてあげているのが、「カラッと除湿(再熱除湿機能)」である。

 「過去16年渡って取り組んできた、寒くならずに除湿とするという再熱除湿は、夏だけでなく、1年間を通じて効果を発揮できる。ムシムシする時でも、約50%の湿度にまで除湿することで、室温を23~26度に保ちながら、ジメジメ感を抑えられる。さらに、ワイシャツ23枚を、1時間42分で乾燥できるため、梅雨時の部屋干しといった利用も可能になる」。暖房時でも、翌朝のガラスの結露を抑える「けつろ抑制除湿」といった使い方ができる。

 夏場に利用する健康冷房「涼快」機能では、ジェットルーバーで天井方向へ冷風を吹き出し、リビングの隅々まで効率よく冷房。室温28度、湿度50%によって皮膚温度を下げすぎにに健康的な環境を実現したり、室温、湿度、外気温などの103,275通りの組み合わせてから、自動的に空調を調整したりといったことが可能になる。暑いうちは優先的に温度を下げて涼しくし、涼しくなってきたら湿度中心のコントロールで、冷えすぎを抑えることも可能になる。

 さらに、室内の温度と湿度をセンサーで管理していることから、カビが発生しやすい状況には、自動的に除湿とイオンミスト運転を行なう「カビ見張り除湿」機能もうれしい機能の1つだといえる。


モーターとセンサー制御でさらなる省エネ効果も


高効率モーターを、更に高効率で制御する「カスケードベクトル制御」を採用。より省エネに貢献する仕組みになっている

 もちろん、今年の夏商戦の重要なテーマとなる、「省エネ」への取り組みにも余念がない。

 高効率化を図った低回転形高効率モーターと、モーターを高速で駆動できる「カスケードベクトル制御」を採用。さらに、パワーが必要なときに、タイムリーにモーターの回転数を高めることができるIQ-PAMエンジンの搭載も、省エネに貢献している。

 そのほか、人の活動量を検知して自動的に省エネ運転を行なう「エコみるみるセンサー」も、省エネという観点からも特徴の1つにあげることができよう。

 「エコみるみるセンサー」では、2個の複眼レンズで室内を9エリアに分類。人の居場所や活動量、湿度をセンシングすることで最適な運転に制御。通常運転時と比べて、最大約15%(冷房時)の省エネ効果があるというように、快適な環境と省エネを両立する機能となっている。

 また、このセンサー機能を利用することにより、人の居る方向に風を向けたり、除いたりすることもできる。

 「日立の空調の考え方は、全体空調が基本。それに加えて、リモコンのボタン1つで、風あて/風よけといった気流を選んで利用することもできる。これも人の位置を検知して、実現するもの」という。

 さらに、「エコ運転」ボタンを用意。快適さを失わずに、冷暖房のパワーを弱め、消費電力を抑えることができという。

2個の複眼レンズで室内を9エリアに分類し、人の居場所、活動量、湿度を検知する「エコみるみるセンサー」を搭載室内を合計9エリアに分割。業界最大を謳う人の活動量に応じて自動で運転を変更

ステレンスの清潔性をベースに、付加機能の高さを訴求

木村氏によれば、量販店の店員向けの研修会を積極的に展開したことで、店員に日立のファンが増え、顧客にしっかりと機能を説明できたため、店頭でのシェア獲得につながったという

 この夏商戦においては、量販店店頭などでは、イオンミストの効果や、内部構造までステンレスであることを訴求できる展示を行なっているほか、「エコみるみるセンサー」機能を訴求できるような展示を、全国主要2000店舗で展開。日立ならではの特徴を訴求している。

 「店頭で説明を聞いていただける時間をとってもらえれば、日立のエアコンの良さが訴求できる。実際、需要が停滞した今年の暖房商戦では、じっくりと説明する商談の件数が増加していたことから、日立のエアコンの良さを説明する時間が作れ、結果としてシェアが上昇した」という。

 店員を対象とした研修会を積極的に展開し、これにより、店員のなかに、日立のファンを増やしたことが、顧客への的確な説明へとつながり、店頭でのシェア向上につながっているようだ。

 「2009年度上期は高機能モデルでのシェア拡大を図りたい。4~6月には20%弱のシェアだったが、商戦期では23%ぐらいにまで引き上げたい」と、高性能モデル市場における存在感を高めていく考えだ。上位モデルはすべてエコポイント対象製品となっているのも強みといえよう。

 

最上位モデルXシリーズ。Sシリーズと比べると幅が広いが、吹出口内部の左右風向板がメタルコーティングされており、汚れが付きにくくなっている
 現在、販売実績の約5割がXシリーズおよびSシリーズの上位モデルで占めているということからも、上位モデル市場において、同社が強みを発揮していることが裏付けられる。

 もちろん、その一方で、Eシリーズ、Mシリーズといった普及価格帯のモデルに力を注ぐ姿勢も見せる。このクラスにも、ステンレス通風路、ステンレスルーバーといったステンレス・クリーン・システムを採用しており、これを他社にはない差別化策として訴求していく考えだ。

 「ステレンスによって、クリーンな状態を維持できる日立の特徴をベースに、そこから付加機能の高さを訴求していく」というのが、日立の提案手法となりそうだ。


日立アプライアンス株式会社
http://www.hitachi-ap.co.jp/
Sシリーズ ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2008/10/1008a.html
製品情報
http://kadenfan.hitachi.co.jp/ra/lineup/sseries/
エアコン 関連記事リンク集
http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/aircon.htm

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日立、肌をうるおし髪のキューティクルを守るエアコン「白くまくん」 (2008年10月09日)



2009年7月30日 00:00