やじうまミニレビュー
エナジャイザー「携帯型読書灯 ブックライト」
~手頃な価格のLED読書灯
by 伊達 浩二(2013/4/2 00:00)
携帯型読書灯はLEDの特徴が生かせる用途
明るい白色LEDが出てきた数年前のある時期、LED読書灯がたくさん製品化されたことがある。消費電力が少なくてコンパクトというLEDの特徴は読書灯にぴったりで、主要なものだけでも十機種を越える製品が登場した。
その後も、LED読書灯は電源や大きさの選択肢を広げながら、相変わらず盛況だ。飛行機や長距離バスなどに乗っているときに、ちょっと本を読みたいという需要がこんなにあると思うと、ちょっと頼もしく、嬉しい。
今回紹介する、エナジャイザーの「携帯型読書灯 ブックライト」(以下、ブックライト)は、シンプルな機能と手頃な価格で、読書灯の入門用に適した製品だ。通販でも店頭でも、1,000円以下で販売されていることが多い。
メーカー名 | エナジャイザー(シック・ジャパン) |
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製品名 | 携帯型読書灯 ブックライト BKFN2BUJ |
販売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 1,028円 |
シンプルな本体とパッケージ
ブックライトのパッケージは、ブリスター型で、エナジャイザー製品に共通した派手な色合いだ。こういうところに米国企業らしさを感じる。
使い方は台紙に印刷されており、独立した取扱説明書は付属しない。パッケージの内容は、本体とテスト用のコイン型電池だけだ。
ブックライトの本体は、30cm弱ぐらいの長さで、片方にLEDと電池が入ったヘッド部分、反対側に大きめのクリップがついている。この2つの部分を、中にワイヤーが入った柔軟な樹脂でつないでいる。本体色は青と黒のツートンカラーで、派手なデザインだ。
LEDは日亜化学工業製の白色LEDが1個だ。電源は、CR2032コイン型電池を2個使っている。本体のサイズは、27×37×265mm(幅×奥行き×高さ)、重量は電池込みの実測で38gだ。
操作するのは、ヘッド部分にある電源スイッチだけ。電源スイッチはスライド型のON/OFFのみで、LEDの明るさは調整できない。
なお、試用した個体では、スライドスイッチをOFFからONの方向へ動かしていくと、カチッと切り替わる前でもLEDが点灯する。この状態では、ONの状態が固定できず、LEDが点滅するなど不安定な状態だ。必ず、カチッと音がする位置までスイッチを動かすようにしよう。いったんカチッと切り替えてしまえば、スイッチが動くようなことはなく、安定して点灯する。
逆に、カバンの中に入れたLEDライトのスイッチに、何かが触れて点灯する可能性もある。そのため、しまうときは、クリップで電源スイッチの上を挟んでしまうようにした。こうすると、コンパクトなのも良い。
文庫本には大きめ、単行本には最適
さっそく使ってみよう。まず、持ち歩いて読むことが多そうな文庫本を試してみた。
写真を見てもらうとわかるように、ブックライトの本体は、文庫本とくらべて大きめだ。クリップで背表紙を挟んだだけでは固定できないので、巻末の数十ページぐらいを挟んだ方が良い。
照明範囲は広く、見開きを十分に照らすことができる。また、光が白く、文庫本の小さめの文字でも、くっきりと読める。光のムラも感じられない。
何冊か読んでみたが、思ったほど目は疲れない。ただ、文庫本だと、ブックライトに比べて小さいので、ページをめくる動作のときに、ブックライトが揺れて持て余してしまう。新書だと、少しマシだが、基本的なバランスは変わらない。
もう1つ、文庫本の場合、本を読み進めていくと、クリップをこれから読む側から、これまで読んできた側へ移さないと、ブックライトが支えられなくなる。つまり、縦書の本なら、左側のページに挟んでいたクリップを右側のページへ移動させるわけだが、なかなか1回でうまく固定できない。
次に、単行本を試してみた。
これが実に快適で、文庫本で感じていた不満が解消される。まず、ブックライトのクリップを固い表紙に固定できるので、ページめくりの際もほとんど揺れない。本を読み始める時に、裏表紙にブックライトを固定すると、本を読み進めていっても位置を調整する必要がない。
ビジネス書に多い四六版の単行本でも、見開きページを明るく照らせる。特に良いのが、広い場所を照らすけど、その外側はスパっと暗いことだ。照射する範囲がはっきりしていて、周囲に影響を及ぼさない。LEDらしく、光のキレが良いのだ。周囲が暗い状況で、人に迷惑を書けずに本を読みたいという人には、好ましい特性だろう。
いろいろな判型の本で試してみたが、やはりエナジャイザーがターゲットとしているのは、米国で多い大判の単行本やペーパーバックなのだろう。200ページ前後の分量で軽く、判型も小さい文庫や新書よりも、大きく重い本を想定した製品なのだ。
むしろ、文庫や新書の場合は、ブックライトの大きなクリップを生かして、身の回りのどこかにブックライト本体を固定してしまうほうが使いやすかった。例えば、バスを例にすると、前席の背中にあるグリップなどが最適だ。
電池寿命は約10時間
なお、コイン型電池の寿命はカタログ値では約10時間とされているが、何度か試したところ5~12時間と大差があった。どうも、ある100円ショップのコイン型電池が悪かったようだ。きちんとしたメーカー製のコイン型電池を使う場合は、カタログ値を信用しても良いだろう。
米国メーカーの製品らしく、電池ボックスがネジ止めされているので、電池交換の際は小さなプラスドライバーが必要となる。
また、フタを開けても、コイン型電池が2段重ねで取り出しにくい。下手に尖ったものなどでつつくよりも、本体の端を持って、頭の部分を軽く机などにコンコンと当てると簡単に取れるのでお試しいただきたい。
ブックライト以外の用途もOK
ブックライトは、読書用に最適化されている製品だが、普通のLEDライトとしても使用できる。試してみると、意外と照射角が広く使いやすい。光量も室内で使うには十分に明るい。カタログ値は14lmで、前方を強く照らすというわけにはいかないが、下に向けて、足元を照らしながら歩くぐらいには使える。
大きなクリップを生かして、小型のLEDクリップライトと考えれば、用途は広い。ベッドサイドに棚板や、細めのバーがあれば、そこに止めることができる。また、本体を曲げて、ぶら下げるという手もある。試しに、バスルームの物干し竿に掛けてみたが、実用になる明るさだ。使用しない時も、小さく曲げておけるので、旅行用カバンに入れておくと便利だろう。
また、バックライトのない読書専用端末の照明用としても向いている。あいにく手元に端末がなかったので、iPad miniにとりつけた状態の写真を掲載しているので、大きさのバランスの参考にしてほしい。
LED読書灯のお試し用にオススメ
エナジャイザーのLED製品は、これまでにもいくつかレビューしているが、共通の性格がある。一言で言えば、実用性が高く、デザインが派手で、細かいところがガサツだと感じる。今回のブックライトで言えば、電源スイッチを切り替えてないのに点灯するというだけで、イヤになる人もいるだろう。その前に、本体の派手なツートンカラーで嫌う人もいるだろう。
でも、そのあたりを許容すれば、実用性は高いし、値段も安い。つまりコストパフォーマンスが高い。安いけど使い物にならないという製品は、1つもなかったし、これからも無いだろうと思える程度には信用できる。
ブックライトについて言えば、文庫本しか読まないという人には、ちょっと大振りすぎるので、モレスキンなどの、もっとコンパクトな製品をお勧めしたい。逆に、単行本が中心の人で、まだLED読書灯を試したことがないという人には、ぜひお試しいただきたい。意外な便利さに驚くと思う。
万が一、読書灯としては気に入らなくても、クリップ型のミニLEDライトとして便利に使えることは保証する。