やじうまミニレビュー

オルファ「ポキステーション」

~カッターの刃を安全に折れる専用アクセサリー

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最近、刃を折ってますか?

オルファ「ポキステーション」

 紙やヒモやテープを切る、いわゆる“カッター”は欠かせない文房具だ。到着した宅急便や封筒を切るときに、一番てっとり早く仕事を片付けてくれるのはカッターだ。

 また、カッターの良いところは、切れ味が悪くなったときに、刃を折ることで、簡単に切れ味を取り戻せることだ。カッターの歯は、一定の間隔で折れ目がついていて、カッターの尻尾やペンチを使って、ペチッと折れる。折ると、刃の鋭さが戻り、新品のような切れ味になるわけだ。

オルファの代表的なカッター「FA-1」
カッターの刃は、折れるように一定の幅で折り目が入っている
新品の状態の刃の例。この場合は12回刃が折れる
通常はカッターの尻尾に付いているクリップ部分で刃を折る
クリップ部分のアップ。刃を折るための溝が見える
折った刃は、小さく尖っているので危ない。取り扱いに注意が必要だ

 しかし、最近気がついたのだが、カッターを使っていながら、刃を折っていない人が増えている。ひどいときには、刃が錆びるほど使い込んでいるのに、刃の長さが使い始めのままという人もいる。刃を折ることは知っていても折ったことがないという人もいた。折った刃がむき出しの状態になるのが嫌だし、どこに飛んでいくのか分からないのも嫌だという。

 たしかに、自分自身でもカッターの尻尾を使って折った刃が、どこかに飛んでいってしまい、往生したことが何度かある。また、折った刃は、小さくて刃がついているので、取り扱いは難しい。また、昔と違って、ティッシュにくるんで燃えるゴミで捨ててしまうようなことはできない。その自治体のルールに沿って、リサイクルしやすい形で処理する必要があるだろう。

 そういうことを、ぼんやりと悩んでいたら、カッターの生みの親であるオルファから、刃を安全に折るためのアクセサリー「ポキステーション」が、昨年の夏に発売された。

メーカーオルファ
製品名ポキステーション
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格1,100円

居場所を確保するための台座付き

 ポキステーションは、大きく2つの部分からできている。ポキステーション本体と、それを立てるための台座だ。

パッケージはブリスター型
台紙に簡単な説明があるほか、ペラ1枚の取扱説明書も付属する
本体を斜めに入れた、変わったパッケージ
ポキステーション本体(右)と台座部分に分かれる
ポキステーション正面
ポキステーション背面

 ポキステーション本体は樹脂製の四角い箱。台座も、樹脂製でポキステーションのほかに、カッターを2~3本立てられるようになっている。ポキステーションは、使用頻度がそれほど高くないアクセサリーなので、そのままの状態では、引き出しの奥に消えかねない。台座を付けて、カッター立てを兼ねることで、定位置が確保できるわけだ。

机の上においても邪魔になりにくい大きさ
奥行きがあるので、大型カッターを立てても安定している
背面から見る
台座を上から見る
ペン立て部の仕切りは移動できる
2本のカッターを立てた状態
ポキステーションを外した状態でもカッターの重みに負けず安定している

 カッター立ての部分は、中仕切りの位置が変えられるようになっており、大型のカッターでも立てられるようになっている。さすがに、専門メーカーだけあって抜かりがない。

安全に刃が折れる

 では、ポキステーションを使ってカッターの刃を折ってみよう。

 まず、ポキステーションの上の部分を横にスライドさせる。すると、カッターを差し込む穴が開き、押すためのレバーも飛び出す。

まずポキステーションを取り出す
斜めから見た状態
フタの部分を右に引くと、左のレバーが起きる
この角度で見るとレバーが前に動いているのが良くわかる

 カッターを差し込む穴は、カッターの大きさに合わせて、S/M/Lの3通りに調整できる。調整方法は、穴にかぶさる板をめくるだけでいい。板に開いている穴の大きさがそれぞれ異なるのだ。こう説明するとわかりにくいかもしれないが、写真を見てもらえば、簡単な仕組みであることがわかる。

カッターの刃は主に3種類ある。上がLサイズ(幅18mm)、下がSサイズ(幅9mm)対応のカッター
カッターを差し込んだ状態
フタの構造
通常はSサイズの刃に対応する
1枚フタをめくるとMサイズになる
もう1枚めくるとLサイズになる

 カッターは、折る位置まで刃を伸ばしてから、この穴に差し込む。この状態で、レバーを押すと、パキッという音とともに、刃が折れ、折れた刃はポキステーション内に落ちる。刃を折る動作は、本体内の囲まれた場所なので、折った刃がどこかに飛んでいく恐れはない。また、折る動作は、レバーを押すだけなので、ペンチを使うときのような力の調整がいらないのも良い。子供でも簡単にできるだろう。

ポキステーションでカッターの刃を折る一連の操作
折った刃はポキステーション内に溜まる
溜まった刃は、背面から取り出せる

 数十回、刃を折ってみたが、失敗はほとんどない。うまく行かなかったのは、粘着テープをたくさん切って刃に糊がついてしまっていたときぐらいだ。この時は、折れるには折れたのだが、折れた刃に付いた糊のせいで、刃がポキステーションの穴の部分にくっついてしまったのだ。仕方なく、細い針で突っついてケース内に落とすことで解決できた。

 また、ポキステーションの取扱説明書には「オルファカッター以外のカッターナイフの使用については保証していません」と明記されている。さらにオルファの製品であっても、廃番になった製品は対象外となっている。そこで、100円ショップで販売されているものも含めて、他社製品を中心に試してみたが、私の手元にある4製品では問題は起こらなかった。

 たぶん、他社製品の場合は、刃を支えている金属の部分の長さや、その周囲の樹脂製の本体などのサイズが、オルファの製品とは異なるため、場合によっては、必要な深さまでカッターをポキステーションに入れることができないのだろう。もし、そうであれば、使えるかどうかは、個別の製品ごとに異なることになる。

 とはいえ、オルファ自身もWebサイトに書いているように「現在ではOLFAの替刃のサイズ、折れ線の角度が、世界の標準になっています」という状況なので、オルファ以外では全然ダメという状況でもない。自己責任で試してみてほしい。

切れ味の良い刃物は気持ちが良い

 刃が折りたてのカッターを使ってみると、切れ味の良さにおどろいた。切れ味の良い刃物は使うのは、本当に気持ちが良い。折る刃式のカッターが登場した時代と現在では、安全や環境に対する感覚は、異なったものになっている。たぶんオルファは、ポキステーションを出すことで、このフレッシュなカッターの感覚を、みんなに思い出して欲しかったのだと思う。パッケージに「折りたくなる刃折器」と書かれているのも、それを表しているだろう。

 価格もそこそこするし、すべての人に必要という分野の製品ではないが、毎日の仕事でカッターを使う方や、子供にカッターを使う楽しさを教える一方で安全に配慮したいという人には、ぜひお勧めしたい。

 これを導入することで、カッターの刃を折るという作業の安全性を高まり、刃を折る頻度が上がる。「切れ味」という生理的快感が味わえるなら、高くはないと思う。

伊達 浩二