やじうまミニレビュー

マニフレックス「イタリアンフトンII」

~イタリア生まれの高級・高反発敷き布団を試す
by すずまり


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


マニフレックス「イタリアンフトンII」

 もうすぐ春……という頃、寝起きに軽い腰痛を感じるようになってきた。しばらくすると、腰痛だけでなく、肩こり、首のコリ、四十肩などを発症するようになってしまった。原因を考えた結果、たどり付いたのが、我が家で使っている敷き布団だった。

 以前当レビューでは、低反発布団「コンフォート」をご紹介した。かなり気に入って使い続けていたが、指で押してもあまり戻らなくなるほど、反発力が弱ってしまっていた。これにより横になったとき腰が沈んだままになり、寝姿勢が崩れ、腰痛他へとつながったのではないか。そういえばメーカーから買い換えのハガキが届いていた。あれは暗に期限が近づいていることを知らせる通知だったのかもしれない。

トゥルースリーパーの「コンフォート」。3年が経過し、だいぶゆがんでしまった折り目のある箇所の反発力はほとんど期待できない状態純正のパッドをかぶせて使っていた

 そのまま使い続けるのは体によくないため、速やかに買い換えることにした。そこで候補として浮上したのが、イタリア製の高反発マットレス「マニフレックス」である。布団にこだわりのある方なら、1度は耳にしたことがあるメーカー名かもしれない。高級タイプになると、相当いいお値段がするが、家具や寝具を扱う店を営む知人が「爆睡マットレス」などと言っており、気になっていたのだ。

  マニフレックスにも日本に対応した三つ折りタイプの製品があるため、実は3年前にトゥルースリーパーを選ぶ際も候補として考えており、表参道のショールームにも足を運んでいた。低反発のトゥルースリーパーと、高反発のマニフレックスという両極の対決となったわけだが、当時は価格や製品の種類がいまひと つ自分にフィットせず、先に通販番組でおなじみのトゥルースリーパーの「コンフォート」の寝心地を試しておきたいと考えた。そして3年。時間はかかった が、次はマニフレックスの番! というわけで、その模様をお届けしたい。


メーカーマニフレックス
製品名イタリアンフトンII
購入場所楽天市場
購入価格24,400円

三つ折りでき、単独でも重ねても使える「イタリアンフトンII」

 今回も三つ折りできる布団タイプと決めていたのだが、マニフレックスの三つ折りや布団タイプはとにかく種類が多い。再び表参道のショールームに足を運び、スタッフの方に説明していただきつつ、一通り試してみた結果選んだのが、日本限定モデルの「イタリアンフトンII」だった。

 マニフレックスの取り扱いは専門店のみというわけではなく、一般の寝具売り場でも扱っているところがある。今回は楽天市場のショップでオーダーした。

 届いたときの「イタリアンフトンII」は、クルクルと丸められ、コンパクトに圧縮されていた。表面のパッケージを取り除くと、空気を含んであっという間に元通りになった。時間がかかる場合もあるらしいが、筆者の場合、戻るまでほとんど待たされることはなかったように思う。

到着時のマニフレックス「イタリアンフトンII」除湿シートとカバーは、ショップからのおまけ。除湿シートはあったほうがいいダイヤモンドキルト加工された側生地

 サイズは980×1,960×70mm(幅×長さ×厚さ)、重さは6kg。「コンフォート」と比較すると、厚みは変わらないが、幅や長さがわずかに大きい。素材には、新世代ポリウレタンフォーム「エリオセル」が使われている。これは、1度沈んでも、体圧を分散させつつ押し上げる反発力があり、さらに通気性のよさが特長なのだという。

 全体は3層構造になっている。芯素材に4cmの「エリオセル」を用い、その表面をダイヤモンドキルト加工された、防ダニ・防アレルギー処理済みの側生地で包んでいる。側生地の表生地素材はポリエステル100%で、体が触れる表面は2cmのソフトエリオセル、床に触れる裏面には同じく1cmのソフトエリオセルが使われており、側生地をふくんだ厚みが7cmというわけだ。

側生地をあけると、芯があらわれる芯は4cmの「エリオセル」裏面と表面

 購入後、横になってみたところ、ベッドの上に横になっているような、ちょっと浮いているような感覚を覚えた。反発力はしっかりしているが、ダイヤモンドキルト加工された側生地の表面は非常は柔らかい。肌への当たりがソフトなため、気持ちいいのである。実はこの反発力と柔らかさのバランスが「イタリアンフトンII」を選んだ理由の1つだ。ゴロゴロと転がっても異物感はないし、1枚だけなのに床の固さも感じない。

「イタリアンフトンII」は、見た目以上に反発力がある

 せっかくなので、低反発の「コンフォート」との違いを見てみよう。まず最初に感じたのは、体の沈み込み方の違いである。「コンフォート」の場合、仰向けで横になると、全身をすっぽり包まれるような感じがした。体格によって違いは生じるため、すべての人がそうなるとはいえないが、低反発というだけあって、適度に沈んで止まる感じだ。人によってはその肌への密着具合が、就寝時の暑さとなってしまうようだ。上に敷くシーツやパッドを載せるなどの工夫することで多少軽減できる。筆者も純正パッドを載せた状態が好みで、結果的にその状態で寿命がくるまで使い切ったが、上にパッドを乗せると、本来の使用感とは変わってしまうのは言うまでもない。

 高反発の「イタリアンフトンII」の場合、肌への密着度は少ない。就寝時にエアコンが欲しくなる7月現在、敷き布団の夏特有の暑さはあるものの、サラリとしていてムレ感は感じにくい。

 「コンフォート」は3つのパッドがカバーでつながっている状態で、折り目がハッキリしていたため、畳むのは楽だった。「イタリアンフトンII」は折り目がないことと、持ち前の反発力のため、すんなりパタンとは畳めない。1/3当たりを足で押さえてから、残りの2/3を折りたたむようにしている。すでに3カ月ほど仕様しているが、折り目がクセになることもなさそうな気配だ。

「イタリアンフトンII」と「コンフォート」を並べてみた左が「イタリアンフトンII」、右が「コンフォート」。両方同時に乗ってみると沈み込み方の違いが分かる。「コンフォート」の素材は購入時より劣化しているが、沈み方に差はないと思われる折りたたんだ状態はあまり違いがない

 通気性に関しては、特に大きな違いは感じていない。発汗量のせいかもしれないが、畳んだとき床がジメジメする感じもない。とはいえ、汗は床に抜けるため、フローリングなどに直接敷きっぱなしにすると、カビの原因になるのはどちらも同じ。汗をかきやすい方の場合は、下に繰り返し使える吸水シートなどを敷き、ときどき風通しのよい場所に立て、陰干しするとよい。

「イタリアンフトンII」の畳まれ具合は、いかにも布団っぽい直置きするときも、他の布団に重ねるときも、除湿シートを敷くといいらしい
干している様子横幅が98cmあることや、持ち前の反発力から、押し入れには入れにくい。普段は折りたたんでカバーをしている

腰痛は改善。ベッドのような寝心地を布団で体験できるが、慣れに時間も?

 買い替えの発端となった腰痛は、すぐ改善した。ただし、寿命を迎えた低反発マットレスから、急に新品の高反発マットレスに変えた影響か、寝起きに肩から首にかけてのハリや痛みを感じる日がしばらく続いた。敷き布団を変えると体の沈み込み方も変わるため、寝姿勢の維持のためには枕も調整しなくてはならない。そこでオーダーメイド枕も導入したが、慣れるまでに2カ月以上もかかってしまった。

 このような変化を、寝具業界では「好転反応」と表現することもあるようだ。これまでの寝心地とは全く違うため、体が知らないうちに緊張し、起きたときにだるさを感じるのだそうだ。また、マニフレックスの場合は、その反発力が寝姿勢を矯正をする効果を持つため、矯正されている間、人によっては痛みを感じる場合もあるのだという。日頃背筋が伸びていない、猫背気味という場合は大いに影響を受けそうだ。

 筆者が感じたハリや痛みが、本当に「好転反応」によるものだったのか、単なる疲れによるコリだったのかの区別は難しい。少なくともこれまで布団を変えたときや、「コンフォート」導入時にもは感じなかったことだけは確かだ。数分横になっただけでは分からないこともあるのだ、と実感した。

 さて、「コンフォート」と「イタリアンフトンII」のどちらがよく眠れるだろうか。筆者に限っていえば、今のところ熟眠感に大きな違いは見られない。肌への密着度や、体の沈み具合には違いがあるため、季節や就寝スタイル、体調に応じて使い分けられたら、というのが正直な感想だ。

 というのも、以前の入眠は比較的仰向けだったのが、最近はなぜか横向きになることが多いため、「イタリアンフトンII」では微妙に落ち着かないのである。肩幅があるため、横向きなら多少沈み込んでくれたほうが、肩や首への負担が少ないと感じるからだ。

 かといって「イタリアンフトンII」が全く合わないわけではない。うつぶせになると、ふんわり浮かんでいるような寝心地で、「コンフォート」の何倍も気持ちがよい。このように、寝姿勢によって感じ方が異なるため、暑い季節の就寝と昼寝、うつぶせ寝をしたいときは「イタリアンフトンII」、寒い季節の就寝や、仰臥または横向きで眠ることが多いときは柔らかい「コンフォート」と、使い分けられたら理想的という気がしているのである。

 ちなみに、布団の上に乗せるパッドタイプのトゥルースリーパー利用者である30代の男性(身長172cm、体重70kg、筋肉質)に一晩寝てもらったところ、「イタリアンフトンII」のほうが、体への負担は少なく、寝心地は上々とのことだった。トゥルースリーパーでは腰が沈み込みすぎてしまい、腰と背骨を中心に、自分が上下左右に折りたたまれるような感じがするのだという。それが「イタリアンフトンII」の場合、背面全体のバランスがいいと感じるらしい。もともと姿勢がいいせいか、いきなりの好感触である。体重、体格、姿勢によっても感じ方が違うようだ。マニフレックスの購入を検討されている方は、最寄りの取扱店、もしくはショールームで、必ず試してみることをお勧めしたい。

 保証期間は3年とのこと。3年後にどうなっているか楽しみである。





2012年 7月 18日   00:00