やじうまミニレビュー

パイロット「DOWN FORCE」

~上向きでも書ける加圧式ボールペン
by 伊達 浩二


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


パイロット「DOWN FORCE BDW-40F」

 手で文字を書く時、一番使う筆記用具はボールペンだ。取材中のメモや、思いつきの記録は、パソコンで打ち込むよりも手で書くほうが速い。

 ただし、ボールペンには適さない使用シーンもある。たとえば、上を向いて寝っころがった状態でメモを取ろうとすると、インクが途切れてしまう。壁に張ったカレンダーに予定を書き込もうとした時も、同じことが起きる。

 こういう時は、インクが途切れない“加圧式”のボールペンを使う。私が覚えているもので古いものだと、2001年に登場した三菱鉛筆の加圧式ボールペン「パワータンク」や、2008年に登場したトンボ鉛筆の「AirPress(エアプレス)」などがある。前者のパワータンクは、リフィル(芯)のなかに、あらかじめ高圧(3気圧ぐらい)の空気を封入してあるものだった。後者のAirPressの新しいところは、ノックするたびに加圧する点だ。当時、ノック式の加圧油性ボールペンは“業界初”だった。

 そこに登場したのが、今回紹介するパイロットコーポレーションの「DOWN FORCE(ダウンフォース)」というわけだ。

 


メーカーパイロットコーポレーション
製品名DOWN FORCE BDW-40F
希望小売価格420円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格420円

 

後発ならではの利点

 DOWN FORCEは、大型のクリップを搭載したタフなデザイン。リフィル(替え芯)には、加圧専用のものでなく、同社の通常の0.7㎜の油性タイプを採用した点が特徴だ。なお、リフィルの品番は「BKRF-6F」で、価格は税込みで63円と、入手しやすい。リフィルの長さは、前述したトンボのAirPress専用のものと比べると、2倍近くある。

パッケージはブリスター式台紙の背面が取扱説明書加圧式のメリットの説明。どの方向でも書けるし、濡れた紙にも書きやすい
取り扱いの注意。ノックしたまま放置してはいけない本体の長さは15cm弱本体は2つに分かれる
上から、ノベルティでいただいた普通のノック式ボールペン、DOWN FORCE、AirPress。DOWN FORCEのデザインや質感は、一般的なノック式ボールペンに近いリフィルの長さの比較。左のAirPress専用リフィルに比べて、2倍近くの長さがある。AirPressは使い込んだ状態なので、インクの量は少なくなっている

 DOWN FORCEの本体は、普通のノック式ボールペンに比べると胴が太い。ボディは樹脂製で、グリップ部分も同じ素材で一体成型されている。グリップ部分は握りやすく、滑り止めとしてちゃんと役に立つ。

クリップは、かなり大きめグリップはしっかり握れて実用性は高い

 もちろん、加圧式なので、上向きに書いたり、濡れた紙に書いたりしても、そのまますらすら書ける。書き味は良好で、滑らかに書けるが、ゲルインクボールペンのような、スルスルとした書き心地とは違う。

上を向いて書いても、すらすら書ける高い場所にかけたカレンダーに書き込む際にも便利
クリップ部分は大きく開く。コイルバネを使っているので耐久性も高そうだ。紙を差し込むと自動的にノックが戻り、加圧が解除される

 クリップをある程度以上開くと、ノックが戻って加圧状態が解除されるのは便利だ。同社では、インク漏れの怖れが少ないとしている。ただ、ノックが戻るときに、パシャッという、わりと大きな音がする。

 がっかりしたのは、通常の0.7㎜の油性タイプのリフィルが使えるとしておきながら、黒以外の色のリフィルは使えないということだ。本体はカラフルなのに、使えるインクは黒のみなのだ。

 また、外観が普通すぎて、加圧式ボールペンという高機能さが、外からはわかりにくいのも残念だ。全体の質感や、持った時の印象、ノック解除時の音など、モノとしての魅力では、AirPressには及ばない。一見ごく普通の希望小売価格100~200円ぐらいのボールペンに見えるのだ。420円するのであれば、もうちょっと特別な印象や質感がほしい。

 次のDOWN FORCEに期待したいのは、ペン本体のモノとしての魅力を高めてくれることだ。逆に実用に徹するのであれば、もう少し価格を下げてほしい。

 また、インクの粘度など難しい点はあるだろうが、黒以外のリフィルも使えるようにしてほしい。そうすると一般用のリフィルが使えるメリットが大きくなる。可能であれば加圧式3色ボールペンの登場なども期待したい。





2012年 1月 27日   00:00