【特別企画】

やじうま文房具Watch
いちばん使える100円ボールペンはコレだ! 後編

by 編集部
編集部、全員集合! 100円以下の黒ボールペンを片っ端から試しました

 「100円程度の黒いボールペンでも、機能に優れたボールペンはあるはずだ!」という好奇心から始まった今回の企画。

 前編では、検証のプロセスと、ボールペンのトレンドや特徴に触れながら、スタッフ2名のお勧めのペンを紹介した。後編では、1名のライター氏と2名のスタッフによるベストの1本をお届けしよう。どうか最後までお付き合いいただきたい。

 ~なお、ボールペンの最新トレンドや、今回の検証方法について詳しく知りたい方はコチラ→前編

 


軽い筆圧で、太くハッキリした文字が書けるボールペン~ZEBRA「JIMNIE STICK 1.6」 by 藤原大蔵


順位製品名感触
1ZEBRA
「JIMNIE STICK 1.6」

文字がラクに書ける。ペン先の太さは1.6mmと極太タイプで、ハッキリとした濃い文字が書ける。
油性なのに、水性インクのようにスラスラとペンが走るような、気持ち良い書き心地

2uni「SigNo 0.7」水性顔料ゲルインクが滑らかで濃くハッキリ書ける。ペン全体が太めで持ちやすく力が入りやすい
3ZEBRA
「HYPER JELL 0.7」
水性顔料のインクは滑らかな書き心地で、濃くハッキリ書ける。
仕上がりは2位と差がないが、キャップ式という事で次点になった
4ZEBRA
「JIMNIE STICK 1.0」
インクの出は最高。非常に書きやすいが、水性のため細かい部分が読みにくい
5PILOT「REX GRIP 1.2」油性ボールペンらしい、書き慣れた定番の使い心地で、しっかり太めの文字が書ける

ZEBRA「JIMNIE STICK 1.6」

 70本越える中で、ペン先の太さが1.6mmのZEBRA「JIMNIE STICK」が、1番気に入った。

 その理由は、書き出しから、滑るようにスラスラと書けることだ。硬いはずのペン先が、紙の繊維に引っかかるような感触が無く、流れるような書き心地が味わえる。しかも油性インクなのに、水性インクのようにスムーズにペン先から出てくる印象で、書いた文字は太く、濃く、ハッキリしているのもいい。

 筆者の場合、仕事の打ち合わせで、A4サイズのレポートパッドに書き込む時にボールペンを使う。書き込んだ紙を後でコピーする事もあるので、レポートパッドの片面のみに書き、バンバンとページをめくりながら書き進むスタイルだ。口頭のやり取りを書き留める事が多いので、どうしても走り書き気味になる。加えて、自分はペンや鉛筆を筆のように持ってしまうクセがあり、もともと筆圧が弱い。したがって、軽い筆圧でも確実に書けるペンだとありがたいのだ。筆圧をかけないとインクがスムーズに出てこないものや、ペン先が細く固めのものは疲れを感じやすく敬遠しがちなのである。

 その点、JIMNIE STICKは、自分の書き方にしっくり馴染む。サラサラと軽く書いても、濃く、ハッキリと書ける。薄い紙ならば裏写りするほどインクが多めに出るが、もともと紙の片面のみに書く場合が多いので、自分にとってそれは問題にはならない。むしろ、そのぐらいしっかり書けるほうが、後で読み返しやすいのだ。

 タップリと濃いインクが出るボールペンであるが、インクがタマになってしまう、いわゆる“ボテ漏れ”はほとんど起きなかった。乾きも早く、クリアな文字が書け、耐水性の高い油性インクを使っているので、封筒の宛名書きにも良いと思った。

 太めの濃いハッキリとした文字を好み、さらさらッと走るような書き味をお望みなら、ZEBRAのJIMNIE STICK 1.6はイチオシのボールペンである。


ZEBRA
http://www.zebra.co.jp/index.html
製品情報
http://www.zebra.co.jp/pro/jimniestick/index.html

 


筆圧の弱い人でも安定してすらすら書ける~ZEBRA「SARASA 0.7」  by 阿部 夏子


順位製品名感触
1ZEBRA「SARASA CLIP 0.7」ペン先が滑らかで、インクの量が安定している
2PILOT「G-3 GEL1.0」書き心地は良いが、キャップ式なのがマイナスとなった
3ZEBRA「MULTI BALL 中字」読みやすくくっきりとした文字。ややにじみいやすい
4TOMBO「MONO BALLⅡ」ペン先が固めで、グリップもないため、疲れやすい
5PILOT「G-knock 1.0」インクの量が多く、にじみやすい

ZEBRA「SARASA CLIP 0.7」

 実は今回、ベストの1本を選ぶにあたり、5人いる家族それぞれにベストの1本を選んでもらった。興味深かったのは、それぞれ選ぶ視点が全く違っていたということ。

 私のように、立ったままメモを取るような仕事をしている義弟はキャップ式は使う前からリストから外していた。英語の教師をしている妹は握りやすさを重視。ただし、結果は5人中3人が、私と同じZEBRA「SARASA CLIP 0.7」を選ぶ結果となった。

 私が重視したのは、力をそれほど入れなくてもスムーズに書けるという点、滲みにくく後から読みやすいという点だ。記者という仕事柄、デスクワークの人が考える使いやすさとは違う視点での選出となったかもしれない。

 私が考えるSARASAの一番の強みは、ペン先にある。これまで、ペン先の仕様などそれほど、意識したことはなかったが、書き比べてみると、ペン先がほかの製品に比べて圧倒的にスムーズだった。製品によっては、書いているときにペン先に引っ掛かりを感じたり、ボールが転がっている感触があるものがあったが、SARASAはそういうことが一切なく、スムーズで安定した使い心地だ。

 筆圧が弱いこともあって、細字よりは太字タイプが好きなのだが、太字タイプはインクの量がたくさん出るため、文字の太さが不安定になりやすい。たとえば、PILOT「G-knock 1.0」などはあるポイントにペン先を置いたままにしていると、インクが染み出てきて、文字がどんどん太くなってしまった。

 その点、ペン先が安定しているSARASAはインクの量が安定していて、常に一定の太さで書き続けられるので、文字がにじみにくく、後から読んだときに読みやすかった。

 使いやすさの面からいうと、やはりキャップ式よりノック式の方が便利。仕事柄、ボールペンを使う場所は様々で、デスクで使うよりは出先で立ったままメモを取るという場面の方が多い。キャップ式は、キャップを取らなければいけないので、使い始めるまでに両手を使わなければならないが、ノック式は使いたいときにさっと使える点が良い。

 立ったままメモを取ることが多い人や、筆圧が弱い人にお勧めの1本だ。


ZEBRA
http://www.zebra.co.jp/index.html
製品情報
http://www.zebra.co.jp/pro/sarasa-clip/index.html

 


グリップがっしり、太いペンでガシガシ書きたい方へ ~ZEBRA「ベリー楽ボ SUPER-GP 1.4」 by 伊達 浩二


順位製品名感触
1uni「ベリー楽ボ 油性 1.4」長く書いても疲れない。速く書いてもインクがついてくる
2PILOT「SUPER-GP 油性 1.6」ボールペンとは思えない太く柔らかい書き味
3ZEBRA「ジムノックJK 油性 1.0」ノック式では一番握りやすいグリップ
4PILOT「SUPER-GP 油性 1.2」握りやすいグリップ。安定した書き味
5PILOT「SUPER-GP 油性 1.0」一番用途が広そうだが、ちょっとだけひっかかる感じがする

上位の3本。上からベリー楽ボ、SUPER-GP 1.6、ジムノック JK。グリップの形はさまざまだが、みな握りやすい

 今回、いろいろなボールペンを試すまで、自分自身ではボールペンを選ばない方だと思っていた。新しい機能を持ったボールペンを試す時以外は、特に特定のブランドにこだわることはないからだ。ノック式かキャップ式かすら特に気にせず、ノベルティでもらったボールペンも、あればそのままどんどん使ってしまう。

 しかし、今回いろいろ試して見ると、極端に偏りのある選定となった。何十本もいちどに試すことで、グリップと文字の太さに好みがあることに改めて気づかされたというわけだ。

 今回、「ベリー楽ボ 油性 1.4」を気に入った理由は2つある。1つ目はグリップががっしりと握れること。2つ目はインクが潤沢に出て、ペンの速度を制限しないことだ。

 100円のペンを大量に使ってみたところ、大半が1つ目の条件で候補から外れてしまった。私の手はかなり大きめなので、細い軸だと、親指と人差し指と中指で作る三角がうまくできず、指同士がくっついてしまうのだ。ラバーがあって、なおかつ軸が太めなペンが好みらしい。

 グリップだけを見ると、キャップ式のSUPER-GP、ベリー楽ボ、ジムノックの順で握りやすかった。

 SUPER-GPは、ちょっと細く三角形に近い形になっているのだが、ラバーに刻みこまれた滑り止めの形が良くて、指が決まる。“やるぞ、いっぱい書くぞ”という気持ちになる。ただ、数十分にわたって、大量の文字を書いていると、ちょっとだけ指が疲れてくる。もうほんのコンマ何mmか太いと良かった。スタートダッシュ重視の短距離走者タイプだ。

 ベリー楽ボは、ある程度太さがある。そのうえで、軸がちょっとくびれているところの形が絶妙で指がピタリと決まる。ごく普通な感じで、握ったときに気合いは入らないのだが、長時間書いていても疲れない。外観は普通だが、長くおつきあいできるタイプだ。

 ジムノックは、ちょっと見ると、普通の円筒形だが、グリップの下の本体が三角形になっており、そこにグリップのラバーが被さって、うまく角を丸めている。ラバー自体に刻みはないのだが、本体の形が良くて、指が筆先の方に行き過ぎない位置でうまく止まる。ノック式のボールペンは、重量バランスの関係で疲れやすいという印象があったが、これは例外だ。

 ペン先の太さについては、あまりこだわりはないのだが、ひっかかりのない物を選んでいたら、1mm以上の太い物ばかりになってしまった。

 ベリー楽ボは、ペン先が1.4mmと太く、インクが潤沢に出る。インクの上をペンが滑っていくような書き味が気持ちよい。この下に1mmがあるのだが、この滑るような感じがない。

 SUPER-GPは同じブランドの製品で、1/1.2/1.6mmと太さだけ違う。この中では、1.2mmが一番好みだ。いつも太くくっきりと書ける。1mmだと、インクの出が足りない感じで文字が薄く感じるときがある。1.6mmは太すぎる感じなのだが、ベリー楽ボに輪をかけたようなインクの滑る感じが気持ち良い。おおげさな言い方をすると、クレヨンで文字を書いているような感触なのだ。

 どれがベストかというのは難しいのだが、今回はベリー楽ボにする。グリップの形が良く、しっかりと握れることと、無茶な書き方でも、文字がかすれない。また、油性ボールペンは、書き出しの最初ところでダマが出て太くなってしまうことが多いのだが、これは、いつでも書き出しが安定しているのも好ましい。

 万人にお勧めできる選択ではないと思うが、たとえばシャープペンシルなら、0.7mm芯以上の太めが好みだという方は一度お試しいただきたい。

uni
http://www.mpuni.co.jp/index.html
製品情報
http://www.mpuni.co.jp/product/category/ball_pen/very_raku/index.html

 


 今回、2日間にわたって100円ボールペンを紹介してきたが、いかがだっただろうか。使いやすいボールペンは、個人の好みと用途に合わせて大きく変わってくる。正直、今回の検証を行なうまで、ボールペンの好みにここまで個人差が出るとは思わなかった。

 全体的な傾向としては、筆圧の弱い人にはインクの流量が多いタイプが人気で、筆圧の強い人にはインク流量の少ないタイプが好まるようだ。また、書類を書くのか手紙を描くのか、あるいは走り書きなのかなど、どんな紙に何を書くかによっても変わってくる。

 文房具売り場では、高機能で最新式のボールペンが目に付くが、実は「100円以下」という括りでも、探してみればこんなに色々選べるのだ。自分の重視する機能と、ペンを使うシチュエーションをしっかり見極めてペンを選べば、100円以下でも、ベストな一本に出会えるかもしれない。4月からの新年度を前に、新しいお気に入りの1本を加えてみてはいかがだろうか。




2011年3月15日 00:00