やじうまミニレビュー
三洋の新型eneloop充電器2製品を試す
~見た目はそっくりだが、中身は意外と違う
三洋電機「eneloop」ブランドの新しい充電器。左が「N-TGR03AS」、右が「N-TGR01AS」。よく似たパッケージだが、何がどう違うのか |
家電Watchでも新モデルのeneloopと充電器を購入しようと、電気屋さんへ足を運んだが、ここで困ったことが起きた。パッケージがとても似ている充電器が2つあり、どっちがどう違うのか、外観だけでは良く分からなかったのだ。その製品とは、eneloopブランドの「N-TGR01AS(以下、TGR01)」と、「N-TGR03AS(以下、TGR03)」である。
メーカー | 三洋電機 | |
品番 | N-TGR01AS | N-TGR03AS |
希望小売価格 | オープンプライス | |
購入場所 | ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba | |
購入価格 | 3,980円 | 4,980円 |
今回のeneloop充電器は全部で5製品がラインナップされており、3色のイルミネーション付きの「N-TGC01AS」、持ち運びやすいコンパクトサイズの「N-TGR02AS」、スライドカバー付きの「N-TGN01AS」などは、見た目でも違いが分かりやすい。しかし、TGR01とTGR03は、いずれも単三型、単四型に対応しており、しかも3~4個時の充電時間は同じ約4時間。そのくせ、千円の価格差がある。店頭では違いが分かりにくいこの2製品、一体どこが違うのだろうか。
結論を言ってしまうと、機能面では明確な差があった。以下にその違いを表にした。
品番 | 同じ点 | 違う点 |
N-TGR01AS | ・単三型が4本投入可 ・本体サイズ ・充電池4本の充電時間(単三、220分) ・充電中、本体にランプが点灯(色は異なる) | ・単四型が4本投入可 ・倍速、3倍速充電が可能 ・実売価格は安い |
N-TGR03AS | ・単四型は2本投入 ・3倍速充電はなし(倍速のみ) ・ニカド(カドニカ)電池が充電可 ・残量チェック機能 ・実売価格は高い |
本体もそっくりで、いずれもまったく同じサイズ。左が「N-TGR03AS」で、右が「N-TGR01AS」 |
もう少し目を凝らせば、投入口の形状が違っているのも分かるだろう。単三型が4本投入できる点は同じだが、単四型は、TGR01は4本、TGR03は2本となる。つまり、単四型のeneloopを多く使う人には、TGR01の方がお勧め、というのがまずは言えそうだ。
こちらは「N-TGR01AS」。本体はツルツルと光沢があり、蛍光灯の光を反射している | こちらは「N-TGR03AS」。本体はマット加工のため、光が反射していない |
充電中に、本体のランプが点灯する点も同じ。細かいことを言うと、青ランプがeneloop充電池と合っているため、N-TGR01AS(左)の方が見栄えが良いか |
大きく異なる点は、単四型がセットできる数。N-TGR01ASは、ご覧のとおり4本 | N-TGR03ASは、中央に2本だけ。単四型を多く使う人は、この時点でN-TGR01ASの方が有利と分かる |
N-TGR01ASの取扱説明書に書かれている、充電時間。3倍速充電を使えば、約1時間15分で充電できる |
意外と知られていない機能だが、充電器の中には、充電池を外側のスロットに1~2個だけ投入すると、通常よりも早く充電できる「倍速充電」という機能を備えているものがある。この倍速充電は、TGR03にも搭載されているが、TGR01の場合、倍速充電に加えて、1本だけ充電すると倍速よりも早い3倍速で充電できるのだ。3倍速での充電時間は約1時間15分。通常では約3時間40分、倍速では約1時間50分なのだから、圧倒的に早い(時間はいずれも単三型の場合)。しかも、単三でも単四でも利用可能だ。
1本だけという制約はあるが、より早く充電したい人にはTGR01がお勧め、ということになる。
3倍速充電を使用する際は、両端のいずれかのスロットに電池を投入する。単三でも単四でも使用可能だ | 倍速充電の際は、両端のスロットに電池を投入する。写真のように、単三、単四の組み合わせも大丈夫 | N-TGR03ARでは、倍速充電のみ。端のスロットに1個だけ投入しても自動的に倍速になる。また、単四型は倍速充電はできない |
これだけだと、TGR01の方が良さそうに見えてしまうが、TGR03にも独自の機能がある。それが、「電池残量チェック機能」だ。これは、TGR03の左から2番目のスロットにeneloop充電池を入れることで、電池の残量を本体のカラーLEDで示すというもの。電池残量は傍目からはまったく分からないが、この機能を使えば、大事な時に電池切れ、なんてことも防げるだろう。というわけで、電池残量をあらかじめ知りたい人にはTGR03が良いだろう。
電池残量チェック機能を使っているようす。チェック結果は、残量が多い順に緑/オレンジ/赤の3色で示される。動画前半では満充電のeneloop、後半では容量が少なくなったeneloopを使っている |
もう一度説明書を読み返すと、説明書の表紙で大事なことが書かれていたことに気付いた。TGR03の製品名のところに、「ニッケル水素電池 カドニカ電池専用充電器」とあったのだ。
ニッケル水素電池とはeneloop充電池のことだが、カドニカ電池とは、ニッケル水素電池よりも昔からあった充電池「ニカド(ニッカド)電池」のこと。つまり、TGR03は、古い充電池にも対応しているのだ。
このニカド電池、および旧いニッケル水素電池では、電池残量がある状態で継ぎ足し充電すると、充電容量が減少してしまう「メモリー効果」が発生する問題点がある。TGR03では、このメモリー効果を解消するためのリフレッシュ機能(一度完全放電した後で改めて充電する機能)も備えている。とはいっても、メモリー効果の発生しにくいeneloopではそれほど問題でもないし、そもそもニカド電池自体を最近は見かけない。ニカド電池を現在も使用している人にはTGR03は向くだろうが、それ以外の人にはあまり関係のない機能だ。そういった意味でTGR03は、電池に詳しい“上級者”向けの充電器と言えそうだ。
「N-TGR03AS」の説明書(下)には、「カドニカ(ニカド)電池」にも使える旨が書かれていた | N-TGR03ASには、メモリー効果を防ぐリフレッシュ機能も備える(写真はリフレッシュ充電中であることを示すランプ)。ニカド電池を充電する際に使うが、eneloopはメモリー効果が少ないため、使う機会は少なそうだ |
というわけで、eneloopを前提に使うには、実売価格も安い「N-TGR01AS」でなんら問題がない。電池チェックやニカド電池の充電など、よりこだわった使い方をする場合には「N-TGR03AS」ということになりそうだ。
付属する電池はもちろん新モデルだ |
家電量販店で「あれ、どっちがどっち?」と悩んだ際には、この記事のことを思い出していただければ幸いである。
【お詫びと訂正】初出時、品番について表記の誤りがありました。お詫びして訂正するとともに、読者のご教示に感謝いたします
2009年 11月 30日 00:00
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