三洋、繰り返しサイクル数が1.5倍になった新型eneloopを発表

新型eneloop

 三洋電機は、ニッケル水素充電池「eneloop(エネループ)」シリーズの単三形と単四形をモデルチェンジすることを発表した。新モデルはそれぞれ11月14日より発売する。

 


サイズパック本数実売価格
単三型2本800円前後
4本1,500円前後
8本2,500円前後
12本3,700円前後
単四型2本700円前後
4本1,300円前後
8本2,300円前後

 今回刷新されるのは、ニッケル水素充電池eneloopの単三形と単四形。内部構造を改良することで、繰り返し充放電できるサイクル数を約1,500回とした(従来モデルは約1,000回)。容量はいずれも従来モデルと変わらず、単三形が1,900mAh(最小)で単四形が750mAh(最小)。

 3年後にも75%の容量を残す低い自然放電性、メモリー効果の影響を受けにくいことによる継ぎ足し充電への耐性など、eneloopならではの各特徴も従来モデルと変わらない。そのほかの特徴としては、外装に耐久性の高いラベル外装を採用し、さらに抗菌加工を施している。また、製品出荷前にeneloopを充電するときの電力に相当する電力分を太陽光発電でまかなっているとしている。

新eneloopの特徴充放電サイクル数改善により経済性・環境性も向上放電抑制は従来からのeneloopならではの特徴でもある
そのほかのeneloopの特徴そのほかのeneloopの特徴
新モデル(左)と旧モデル(右)の単四形eneloop

 デザインも引き続き従来モデルのものを踏襲するが、表面プリントの一部が変更され、旧モデルと新モデルで見分けがつくようになっている。具体的には、スペック表記部分に王冠マークが追加され、正極側の色がホワイトからグレーになっている。

 電池は一般的に、複数の電池を同時に使う機器で、異なる種類の電池、たとえば、同種類の電池でも、何回充放電したかといった「経歴」の異なる電池を混在させることは推奨されていない。eneloopでも同じ経歴の電池をセットで使用・充電することを推奨しているが、eneloopの場合、繰り返し充放電への耐性が高く、劣化が少ないため、eneloop同士を混在させても問題は起きにくいという。

 とくに今回の新モデルは旧モデルと容量が変わらないため、同時に使用しても性能低下などにはつながらないという。容量を変えなかったことの理由の1つは、このような混在利用するケースに対応するためともしている。

内部の素材・製法・構造を改善している

 なお、充放電回数の改善は、ニッケル水素電池内部の負極材料を改良したことによる。eneloopは従来から負極に三洋独自の「超格子合金」を採用し、それによって従来のニッケル水素電池にない優れた特性を獲得していた。今回は負極の超格子合金について、材料と製法を改良して負極自体の耐久性を向上させるとともに、負極のコーティング技術を新開発することで負極の劣化を軽減している。

 さらに外装缶については、同社の高容量モデルに採用している高強度・薄型外装缶を採用することで内部容積を増やし、電池内部の構成材のバランスを最適化することで、繰り返し充放電への耐久性を向上させている。

eneloop同梱の充電器なども同梱モデルを変更

 従来の単三形と単四形のeneloopは併売されず、すべて新モデルに入れ替わる。

 充電器など、単三形と単四形のeneloopを同梱する各製品も、新eneloopの発売に合わせ、同梱eneloopが新モデルに変更されて、11月14日より販売される。

新型eneloopとその関連商品新eneloopを同梱する充電器セットソーラー充電器なども新eneloop同梱になる

 同梱eneloopが変更されるのは、1本で3倍・2本で2倍速の急速充電器の電池同梱モデル「N-TGR01AS」(単三セット)と「N-TGR0104AS」(単四セット)、2本専用のコンパクト充電器の電池同梱モデル「N-TGR02AS」(単三セット)と「N-TGR0204AS」(単四セット)、残量チェック機能付きの急速充電器の電池同梱モデル「N-TGR03AS」、スライドカバー付き充電器の電池同梱セット「N-TGN01AS」(単三セット)と「N-TGN0104AS」(単三と単四セット)と「N-TGN01-6ASET」(単三・単四・スペーサーセット)、イルミネーション付き充電器セット「N-TGC01AS」。

 このほかにも、USB入力充電器セット「N-MDU01AS」やUSB出力充電器セット「KBC-E1AS」、ソーラー充電器セット「N-SC1AS」も同梱eneloopが新モデルに変更される。

 なお、eneloopには単一形と単二形もラインナップされるが、そちらについては今回は新モデルは用意されない。

累計出荷1億個に迫るeneloop

三洋電機の下園氏

 発表会では三洋電機モバイルエナジーカンパニー 市販統括部の下園浩史氏が登壇し、eneloopの新モデルを紹介した。

 下園氏はまず、eneloopが2005年11月に発売されてから、国内シェアはナンバーワンとなり、世界60カ国に出荷されるようになったことを紹介する。累計出荷台数は、2009年7月末時点で累計9,000万個を突破し、「いよいよ1億個に迫っている」と語った。

 また、あえて高容量化せずに充放電サイクル数だけを改善した背景としては、「ユーザーがeneloopを選ぶ動機として、繰り返し使うと経済的という点が評価されているため、そのメリットを向上させた」と説明した。

eneloopの出荷実績国内充電池市場とeneloop。下園氏はeneloopが充電池市場を牽引しているとも紹介するeneloopの認知度・普及度も向上しつつあるという




(白根 雅彦)

2009年10月6日 18:34