家電製品ミニレビュー

三洋「eneloop mobile booster」

~より使い勝手がよくなった携帯用外部電源の定番製品
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 携帯電話をはじめとしたモバイル機器の普及とともに、ユーザー側も新たな悩みを抱えることになった。充電である。なにしろ、バッテリーが切れればただの重り。外出先での電池切れは絶対に避けたい。携帯電話一台なら、コンビニに売っているような乾電池駆動の外部電源でまかなえるが、iPhoneをはじめとした大型液晶を搭載したスマートフォンや、音楽プレーヤー、ニンテンドーDS、PSPといったゲーム機など、充電したい機器が増えるばかり。そこで必要になるのが、汎用タイプの外部電源だ。

 その分野で定番的な存在になっているのが、三洋の「eneloop mobile booster(エネループ モバイル ブースター)」。11月に発売された2代目となる新製品について、モデルチェンジのポイントと競合する他の製品との違いを中心にお伝えしたい。


メーカー三洋電機
製品名eneloop mobile booster
(エネループ モバイルブースター)
品番KBC-L2ASKBC-L3AS
希望小売価格オープン
購入価格5,480円3,980円
購入店舗ヨドバシカメラ

 eneloopブランドの外部電源は、「eneloop mobile charger(モバイルチャージャー)」が全3種類、さらに12月1日に発売を予定するスティック型の「eneloop stick booster(エネループ スティックブースター)」の4種類がある。この4種類は、なにを電源とするかで大きく2つに分かれる。内蔵リチウムイオン電池か、単三形eneloop 2本か、だ。

 ケータイもゲーム機も充電したい、ということになれば、内蔵リチウムイオン電池を電源にした機種の方がよい。より容量が大きく、長時間の給電ができるからだ。短所は、取り外しが効かないので、いったん電池が切れてしまうと何もできなくなる。今回採り上げるのが、このリチウムイオン電池内蔵型の「KBC-L2AS」と「KBC-L3AS」の2製品だ。

 逆に、単三形eneloop 2本を電源とする製品は、給電時間は短いが、取り外しの効く単三形eneloopが電源なので、いくらでも電源の準備ができる、といった具合になる。ケータイだけ1回、充電できればいいという人はこちらを選ぶことになるだろう。なお、この単三形eneloopを使うモデルについては、別の機会に詳しくご紹介したい。

 さて、リチウムイオン電池内蔵のKBC-L2ASとKBC-L3ASだが、仕様には以下のような差がある。


製品名KBC-L2ASKBC-L3AS
USBポート数21
給電時間240分
2ポート出力時:120分
120分
USBポートからの充電時間14時間7時間
ACアダプタからの充電時間7時間非対応

 簡単に言えば、コンパクトなKBC-L3AS、サイズ・重量は多いけど2個分の性能を持つ
KBC-L2AS、という位置づけになる。

 実用上、もっとも大きな違いがUSBポートの数。大きい方のKBC-L2ASは2個の出力用ポートを持っているため、ケータイとゲーム機を同時に充電できる。給電時間は小さい方のKBC-L3ASが2時間、大きい方のKBC-L2ASが4時間。大きい方のKBC-L2ASで2ポート同時給電した場合は2時間となる。

 

左からKBC-L3AS、KBC-L2ASKBC-L3ASKBC-L2AS
KBC-L3ASの実測重量KBC-L2ASの実測重量

 本体自体を充電する環境も異なる。小さい方のKBC-L3ASはUSBポート経由のみ。大きい方のKBC-L2ASはUSBポートと、同梱のACアダプタによる充電も対応する。KBC-L3ASを買った場合は、パソコンやUSB対応機器、またはAC→USB変換アダプタが必要となるので注意が必要だ。
 
本体側面。KBC-L3AS(左)にはAC電源ポートがないKBC-L3ASはUSB経由で充電するKBC-L2ASはUSBのほか、同梱のACアダプタでも充電できる
 使い方は簡単で、充電用のUSBケーブルを差し込み、たった1つのボタンを押すだけ。ボタンは長押しすると、青いLEDが光り、バッテリー残量を表示するようになっている。電池残量が十分あるときは連続点灯、まだ残量に余裕がある場合は長めの点滅が3回、要充電の状態だと短く3回点滅、といった感じだ。

 

KBC-L2ASなら2台の機器を同時に充電できる
 完全放電のiPhone 3GSの場合、私の経験では80%近くまで充電するのに1時間、そこから満充電状態にまでするのにもう30分、合計1時間半かかる。だいたい、小さいほうのKBC-L3ASだと1回とちょっと、大きい方のKBC-L2ASだと2回半充電できるといった感じだ。スペック値から言うと、もう少し充電できるのでは、と思うかもしれないが、実際には充電しながら通信をしたり、バッテリーの消費もしているので、このくらいが妥当なところだろう。

 ちなみに、初代との変更点は外観、電池容量ともに変わりはない。だが使い勝手を大きく上げる改良が施されている。ケーブルの取り扱いだ。実は初代は、充電用のUSBケーブルを挿したままにしておくと、そのまま給電を続けてしまう仕様になっていた。そのため、出先などで使っているとケーブルを抜くのを忘れてカバンの中に放り込んでしまい、いくらも使っていないのに、次に取り出したら完全放電していた、なんてことがしょっちゅうあった。また、運良くケーブルを抜いたとしても、今度はケーブルを会社や家に置いてきてしまい、結局充電できない、なんてこともあった。

 

ケーブルをつないだままの状態でカバンに放り込めるのがありがたい
 その点、今回の新モデルはボタンを押すだけで給電をON/OFFできるので、ケーブルと本体を常に接続したまま持ち歩ける。この違いは非常に大きい。

 一方、残量表示も改良されたが、やはりわかりにくさが残る。ボタンを“長押し”して、LEDの点滅の長短を見分ける、というのはなかなかおっくうだ。できればLEDの色で段階表示するとか、複数のLEDで表示する機能が欲しい。もっとも、それで本体内のバッテリーを消費するようでは本末転倒だが。

 さて、この外部電源という商品ジャンルは、この製品に限らず、実に多くの製品が存在するが、容量が少なく、おおむね3.7V/2,000mA程度。大きい方のKBC-L2ASは3.7V/5,000mAとなっており、この種の製品としては最大級の容量となる。このあたりは世界有数の二次電池メーカーであることが大きいのだろう。

 どちらを買うかだが、結論としてはケータイだけならKBC-L3AS、他のものも充電するならKBC-L2ASといったところだろうか。いずれにしても、このジャンルの定番製品として広く推薦したい。





2009年11月19日 00:00