やじうまミニレビュー

タニタ「デジタル簡易熱中症指数計 TT-544-GD」

~室内での熱中症の危険を知らせる指数計
by 片岡 義明


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タニタ「デジタル簡易熱中症指数計 TT-544-GD」

 節電のためエアコンの設定温度を高めにしている人も多いと思うが、ここで気を付けなければならないのが熱中症だ。気温と湿度が上昇することによって身体の体温がコントロールできなくなる熱中症は、炎天下ばかりでなく部屋の中にいても起こる可能性があり、お年寄りが屋内で倒れてしまうことも少なくない。

 熱中症で怖いのが、自覚症状がないままかかってしまう人が多いこと。自分では大丈夫だと思っていても、気温と湿度が上がっていることに気付かないまま、いつのまにか熱中症に陥っていることもあるので要注意だ。

 そこで役立つのが、気温と湿度を測定して危険を知らせてくれる熱中症指数計である。今回紹介するタニタの「デジタル簡易熱中症指数計 TT-544-GD(以下、TT-544-GD)」もそのひとつで、屋内で使う据え置き型の熱中症指数計だ。


メーカータニタ
製品名デジタル簡易熱中症指数計 TT-544-GD
希望小売価格3,675円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格3,052円

 TT-544-GDのサイズは127×48×116mm(幅×奥行き×高さ)で、本体質量は約230gと、小型の置き時計くらいの大きさだ。液晶パネルに大きめの文字で時刻が表示されるので、一見、単なるデジタル置き時計かと思う人は多いだろう。電源は単三形アルカリ乾電池2本で、底面にセットする。電池寿命は約1年だ。

本体は白色で縁の部分がゴールド底面に単三形アルカリ乾電池を2本セットする

 TT-544-GDは電波時計機能も備えられており、電池を入れてリセットスイッチを押すと、標準電波を受信して、正しい時刻が表示される。受信に失敗した場合は、電波状態の良い場所に移動して背面の「受信」スイッチを押せば、手動で受信できる。

 電波時計の自動受信は毎日午前2時に受信を開始し、その後、3時間ごとに1日8回、自動で受信を行う。なお、1回受信に成功すると翌日午前2時まで自動受信は行なわない。また、標準電波を受信できないときのために、背面の「セット」スイッチと「アップ」スイッチを使って手動で時刻を合わせることも可能だ。

背面には4つのスイッチを搭載左のボタンから順に、受信/セット/アップ/リセットとなっている

 設置にあたっては、直射日光やエアコンの風が当たらない場所で、床から約1.5mの高さが適当とのこと。箱から出して電源を入れ、約30分後には気温と相対湿度の正しい測定値が表示される。

 液晶の上には注意/警戒/厳重警戒/危険という4段階の熱中症の危険度が書かれており、4段階の顔マークと12段階のレベルバーによって、危険度を表示するしくみになっている。この危険度表示は、日本生気象学会による「日常生活における熱中症予防指針」に基づくもので、気温と相対湿度から算出した「WBGT(湿球黒球温度)」という値を指標としているという。

 日本生気象学会の「日常生活における熱中症予防指針」によると、各段階での注意事項は以下の通り。

注意(WBGT値が25℃未満)
一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある

警戒(WBGT値が25~28℃)
運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる

厳重警戒(WBGT値が28~31℃)
外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する

危険(WBGT値が31℃以上)
高齢者においては安静状態でも発症する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する

「注意」の表示「警戒」の表示
「厳重警戒」の表示「危険」の表示。LEDランプが赤くなっている

液晶表示・LEDランプの色の変化・アラームの3つで危険をお知らせ

説明書に掲載されているWBGTの算出表

 実際に部屋に置いて使ってみよう。気温30℃で、相対湿度が60%の部屋の場合、WBGT値は27℃になった。これは、4段階の熱中症の危険度のうち「警戒」に当たる数値だ。同じ気温30℃でも、相対湿度が70%にあがると、WBGT値は29℃となって、「警戒」よりも危険度の高い「厳重警戒」になった。さらに相対湿度が85%まで上昇すると、WBGT値は31℃となり、「危険」を示した。

 本体上部にはLEDランプも搭載されており、WBGT値の液晶表示だけでなく、ランプの色ごとに危険度がわかるようになっている。ランプの色は「注意」では緑、「警戒」では黄色、「厳重警戒」ではオレンジ、「危険」では赤が点滅する。

本体上部にはアラームの音量切り替えスイッチとアラーム停止スイッチがある

 レベルバーの値が最大になると、危険を知らせるアラーム音が約2分間鳴り続ける。本体上部にある「アラーム停止」スイッチを押せばアラームは停止するが、そのままレベルバーが最大値のままの危険な状態だと、1時間後に再びアラームが鳴る。

 アラーム音を止めなかった場合は、3時間ごとにアラーム音が繰り返される。本体上部にはアラーム音の音量切り替えスイッチもあり、大/小の2段階で切り替えられる。

 なお、TT-544-GDは時計機能を搭載しているが、ふつうの置き時計のような指定した時刻のアラーム機能はないので、目覚まし時計としては使えない。

 熱中症指数計は、スイッチを入れておくだけで、部屋の気温と湿度を測定し、危険を察知すれば液晶表示・LEDランプの色の変化・アラームと3つの方法で知らせてくれる。電波時計なので時刻合わせも簡単だし、使い方もシンプルなので、わかりやすい。

 ひとつ気になったのがLEDランプの点滅だ。TT-544-GDが「注意」の表示をやめるのは21℃未満だが、21℃以上ならばいずれかのランプが常に点滅することになる。視界の中で絶えずランプが点滅しているのはけっこう目障りだし、寝室に置いている人なら夜は気になって仕方ないだろう。テープなどを貼って覆うという方法もあるがスマートではないので、できればランプの点滅/常時点灯/完全消灯を選択できるようにしてほしかった。


LEDランプが常時点滅する

 この点以外はとくに不満はない。機能がシンプルで表示もわかりやすく、高齢者や赤ん坊を持つ親などにプレゼントすれば、かなり喜ばれるのではないだろうか。LEDランプの件にしても、目障りなくらい目立つ方が、耳の遠いお年寄りには優しいのかもしれない。

 いずれにしても、TT-544-GDのような熱中症指数計を室内に設置することは、熱中症に対する予防意識を向上させる効果があることは間違いない。節電は大切だが熱中症になってしまっては元も子もないので、このような機器を使うことで、ぜひ無理のない夏を過ごしていただきたい。





2011年 7月 15日   00:00