やじうまミニレビュー

パイロット「フリクションポイント」

〜細字になった“消せる”ボールペン
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やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


 

 ボールペンというと、一度書いたら消せない、というのが常識だった。その常識を覆したのが、パイロットの「フリクション」シリーズのボールペンだ。熱が加わると色が消える特殊なインクを採用し、書いた文字をラバーでこすると消える画期的な製品だった。以前、弊誌でも「フリクションボール」をレビューしている。

 フリクションシリーズはヒット製品となり、その後、蛍光ペンやビジネス用のボールペンなどのバリエーションも発売され、今や文具売り場の定番製品になりつつある。

 私も、“フリクションファン”のひとりで、いつもカバンの中に赤を一本忍ばせていた。だが、最近になってぐっと使用頻度は減っている。と、いうのも、フリクションボールは0.5mmと0.7mmの2つの太さがラインナップされているのだが、これが数字以上に線が太くインクがにじみ出る傾向があった。私の場合、薄手の紙の手帳に書き込む用途がほとんど。フリクションボールだと、線が太すぎるのと、若干、にじみが気になるのだ。だが、“消せる”機能は欲しい。そこが悩みどころだった。

 その悩みを解消するのが、0.4mmの軸径となった「フリクションポイント」だ。

 0.4mm、0.3mmという、いわゆる“極細”の軸は、決して新しいジャンルではない。ボールペンというと、0.7mm、0.5mmあたりが一般的。だが、数年前から、女子高生を中心に、手帳に細かい文字を書き込むニーズを汲み取って、0.4mm、0.3mmといったゲルインクのボールペンが次々と発売された。極細ボールペンは、一過性のブームで終わることなく、今も多くの製品が店頭に並んでいる。あるメーカーに聞いたところ、極細ペンは狭いスペースに細かい字を書き込む漢字文化と相性がよく、ヒットしたらしい。

 

手帳など細かいところにも書き込める左がフリクションポイント、右上が三菱鉛筆のジェットストリーム0.5、右下がジェットストリーム0.7消した跡はほとんど残っていない
0.4mmなのでペン先は細いキャップの裏にはラバーがない本体の軸にラバーがついている
 さて、フリクションポイントだが、まず最初の印象は、「普通のボールペンだな!」ということ。というと、ほめているのかけなしているのかわからないが、私はとてもいい意味で「普通」だと言っている。フリクションボールの時に感じた「違和感」がほとんどないからだ。たとえば、フリクションボールは0.5mmであっても、一般的な製品の0.7mmくらいの太さの線になっていた。フリクションポイントは見た感じ、一般的な製品と同等の太さ、もしくは0.5mm相当で、ほぼスペック通りの「極細」な線が書ける。もうひとつは、線が細い分、フリクションボールで感じられたにじみ感がグッと減ったこと。もう、“消せる”がゆえのハンデは、ほとんどなくなったといっていい。薄手の紙を使った手帳でも、まったく気にせず書ける。


フリクションポイントで書いて、消すようす

 “消す”ほうの機能は、相変わらず便利。軸の先端にあるラバーでこするだけ。鉛筆と消しゴムの感覚で使える。鉛筆と違うのは、熱でインクの色が消える仕組みなので、消しゴムのクズが出ないことくらいだろう。

 唯一不満なのが、使用時にキャップをなくさないよう、後ろ側に取り付けてしまうと、ラバーが使えなくなってしまうこと。出先で手帳を書く場合などは、キャップとペンと手帳をそれぞれ別個に持っておかなければならない。ぜひ、キャップの裏側にもラバーが欲しい。

 “消せる”仕組み上、公式の書類などには利用できないが、0.5mmボールペンを使用している人には自信を持ってお勧めできる。フリクションボールとは姉妹製品という関係だが、完成度の面ではフリクションポイントが一回り上。1本220円と、普通のボールペンの倍の値段だが、“消せる”便利さをぜひ味わってみてほしい。






2010年 1月 12日   00:00