藤山哲人のモバイルバッテリー診断
日本トラストテクノロジー「ミニカーバッテリー GT5200」
~恐ろしく完成度の高いミニカー型モバイルバッテリー
by 藤山 哲人(2014/1/31 07:00)
今回紹介するのは男子大喜びの車型モバイルバッテリー、日本トラストテクノロジーの「ミニカーバッテリー GT5200 クーペ」だ。メーカーや車種は明記されていないが、フロントグリルは思いっきりBMW。ベースはX6のようだが、実車とは少し違っているようだ。
モバイルバッテリーの性能もさることながら、その特徴はミニカーとしての完成度が恐ろしく高いという点だ。
メーカー名 | 日本トラストテクノロジー |
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品名・型番 | ミニカーバッテリー GT5200 クーペ |
バッテリー容量 | 5,200mAh |
繰り返し利用回数 | 500回 |
サイズ (幅×奥行き×高さ) | 45×110×37mm |
重量 | 130g |
カラー | シルバー/ホワイト/レッド ブルー/イエロー/オニキス |
実売価格 | 4,000円程度 |
バッテリー容量は5,200mAh。最大出力1Aなので、スマートフォンの超急速充電やiPadの充電には対応していないが、多くのスマートフォンで採用されている急速充電はサポートしている。
・実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わる点にご注意ください。 ・実験結果は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません。 ・実験結果に基づいた実容量やロス率は、その値を保障するものではありません。 ・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません。 |
電源スイッチをダブルクリックすると、実車さながらにヘッドライトとテールライトが光るのもカッコイイ。ヘッドライトは直視できないほど眩しく、本格的な懐中電灯としても使えるほどだ。なおフル充電の状態では、1週間の連続点灯が可能。車に積んでおけばスマートフォンの充電だけでなく、トランクやエンジンルームを暗闇で覗くときの明かりとしても便利に使える。
スマートフォンを2回充電できる
まずは内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォン(ARROWS X F-10D)で試したところ1.8回の充電ができた。これはスマートフォンの電源が切れるまで電池を消費した状態から充電しているので、残量10%程度で充電すれば2回充電できるとしていいだろう。
・スマートフォン充電テストの結果
充電回数「1回」と「80%」(3,258mAh相当)
※測定条件は、WiFi:ON、Bluetooth:OFF、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリBattery Mixにて容量変化を記録
添付のケーブルは、先端コネクタを取り替えることでMicro USB、mini USB、AppleのDock、Lightningになり、反対側は標準サイズのUSBコネクタになっている。ケーブルの長さは、およそ30cmあるのでちょうどいい長さだ。
電源はトランク部分についている丸いスイッチを押すとONになり、スマートフォンの充電が始まるとサンルーフ部分にバッテリー残量が数秒間表示される。
またスマートフォンの充電中はテールライトが点滅を繰り返し、スマートフォンがつながっていない場合やスマートフォンの充電を終えた場合は、テールライトが点灯したままの状態になる。この点灯したままの状態がしばらく続くと、電源が自動的に切れるようになっているので、無駄なく使える点も良い。
付属品として、地震の際の家具脱落防止で使われるシリコンゴムが添付されており、車型のバッテリーとスマートフォンを粘着式で固定できる。シリコンゴム製なので、何回でも接着・剥離が可能で、粘着力が落ちてきたら水洗いすれば復活する。
さてこのシリコンゴムを使えば、スマートフォンと重ねてポケットに入れた状態で充電ができるが、かなりかさばるため実用的ではない。必然的にカバンの中で充電することになるが、今度はせっかくの車が見えなくなってしまう。ベストな使い方は飲食店内で食事をしつつ、このモバイルバッテリーを何気なく机に置いてアピールしつつ充電するという使い方だろう。
項目 | 詳細 |
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USBコネクタ数 | 1(MiniUSB) |
USB最大電流 | 1A(1,000mA) |
充電ケーブル (コネクタ) | Dock,Lightning,MicroUSB,MiniUSB |
残量インジケータ | デジタル数値式(1%刻み) |
自動電源OFF | 本体電源ON時も有効。40mAでOFFを確認 |
同時充電 | × |
電圧は極めて安定するも、電流の安定性と実容量率は平均点
たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。
なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。
電圧は5Vよりやや高い5.05Vだが、これは誤差の範囲。始終安定した電圧を保っているのが特徴だ。一方電流は、充電開始直後は950~750mAと安定しないが、急速充電が解除されるほどではない。しばらく使っていると、950~850mAと比較的安定した電流を出力していた。
この実験結果を元に、表示容量5,200mAhのうちスマートフォンの充電に使える実容量を計算してみたところ、58%(3,025mAh)となった。最近のモバイルバッテリーとしては、ロスが多い部類になるが原因は明らかだ。なぜなら実用的な容量より、見た目重視のカッコよさに重きを置き、充電中は常にテールライトが点滅しているから。ただ製品のコンセプトを考えれば減点対象にはならないだろう。
なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合カッコ内が内蔵バッテリー容量を示している。
項目 | 詳細 |
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バッテリー表示容量 | 5,200mAh |
連続利用時の実用量 | 3,025mAh(58%) |
連続実用量1,000mAh あたりの価格 | 1,322円 |
充電回数(理論値) | Android(1,300mAh):2.5回 Android(1,500mAh):2.2回 Android(1,800mAh):1.8回 Android(2,000mAh):1.6回 Android(2,200mAh):1.5回 Android(2,500mAh):1.3回 Android(3,000mAh):1.1回 iPhone4S(1,432mAh):2.3回 iPhone5(1,434mAh):2.3回 iPad2(6,580mAh):0.5回 ソニー PSP(1,200mAh):2.7回 任天堂 3DS(1,300mAh):2.5回 |
充電時間は標準的
マニュアルや広告では、充電時間におよそ10時間かかるとあった。今回はUSB ACアダプタ非添付モデルを購入したので、手持ちの2A出力できるUSB ACアダプタで実際に充電したところ、およそ7時間半で充電できた。さすがに10時間かかると使い辛さを覚えるが、7時間半であれば就寝時に充電すれば何とか翌朝に持ち出せる時間内だ。バッテリー容量5,200mAhということも鑑みれば、標準的な充電時間といえる。
充電中はテールライトが点滅し、充電完了すると消灯するので分かりやすい。なお充電中のバッテリー残量は、電源ボタンをクリックすると表示されるようになっており、充電中は常に表示されるわけではない。
なお繰り返しの利用回数は、300~500回とマニュアルにはある。充電時間と同様に300回はおそらく最低限を想定した値と思われる。
項目 | 詳細 |
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本体充電用コネクタ | Micro USB |
添付充電器(仕様) | なし |
充電時間(カタログ値) | およそ10時間 |
充電時間(実測) | 7時間27分 |
繰り返し利用回数 | 300~500回 |