藤山哲人のモバイルバッテリー診断
長信ジャパン「enep ACL66U606」
~ACアダプター内蔵で旅行に便利なバッテリー
by 藤山 哲人(2013/12/25 07:00)
今回紹介するのは、充電用ACアダプタが一体化したモバイルバッテリー、長信ジャパンの「enep ACL66U606」だ。見た目は普通のモバイルバッテリーだが、ワールドワイド対応の充電器(ACアダプタ)が一体化されている。
荷物の多い長期出張や海外旅行では、いざ充電しようとするとACアダプタがカバンの奥底に潜り込んでしまい、なかなか見つからない。しかし充電器一体型なら、そんな面倒が一切ない。
本体はサイズはスマートフォンより一回り小さく、厚みは倍ほどある。角に丸みが付いており、手に持つとちょうどいい大きさだ。充電器一体型という割には、それほど重さを感じない。
カラーバリエーションは、ブラック、ホワイト、ピンクの3種類がある。
メーカー名 | 長信ジャパン |
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品名・型番 | enep ACL66U606 |
バッテリー容量 | 6,600mAh |
繰り返し利用回数 | 500回 |
サイズ (幅×奥行き×高さ) | 61×102×22mm |
重量 | 190g |
カラー | ブラック/ホワイト/ピンク |
Amazon価格 | 6,480円 |
対応スマートフォン | Android:○ iPhone:○ iPad:○ |
・実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わる点にご注意ください。 ・実験結果は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません。 ・実験結果に基づいた実容量やロス率は、その値を保障するものではありません。 ・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません。 |
最新のスマートフォンにちょうどいい容量と使い勝手
まずは内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォン(ARROWS X F-10D)を実際に充電してみたところ、2回半充電できた。このモバイルバッテリーにはモバイル機器への充電用ケーブルが付属していないので、今回はスマートフォンの付属品を別途用意して使った。
・スマートフォン充電テストの結果
充電回数「2回」と「90%」(4,086mAh相当)
※測定条件は、WiFi:ON、Bluetooth:ON、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリ「Battery Mix」にて容量変化を記録
バッテリー残量計は25%刻みの4灯式。ただランプの輪郭がボケてしまい、境目が読み取りづらいのが難点だ。ランプ部分を透明にしたり、筐体の肉厚を薄くするなどして欲しいところだ。なお一番下も光るようになっているが、これは充電時に赤く光るランプとなっている。
USBコネクタは2つあり、合計で2.2Aまでの出力が可能。したがって第3世代iPadの充電も可能で、スマートフォンの2台同時充電もできる。バッテリー容量が2回半分あるので、友人のスマートフォンにも充電をおすそ分けしてあげても、まだ少し予備が残るだろう。
なおスマーフォンの充電が終わったり、スマートフォンが接続されていないときに電源を自動的に切るオートパワーオフ機能は付いていない。
項目 | 詳細 |
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USBコネクタ数 | 2(MiniUSB) |
USB最大電流 | 2.2A(2ポート合計) |
充電ケーブル (コネクタ) | 非添付 |
残量インジケータ | 1色4灯式 |
自動電源OFF | なし |
同時充電 | スマートフォン2台:○ スマートフォン+iPad2:× |
モバイルバッテリーとしての性能は一流メーカークラス
たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。
なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。
電圧はピタリと5Vで安定した出力で文句なし。また電流も970mAと高くレベルでピタリと安定している。これほどまで電流が安定しているモバイルバッテリーは、ごく稀だ。バッテリーの性能としては、一流メーカー以上と言っても過言ではない。デザインはアレだが(笑)、モバイルバッテリーとしての性能は驚くほどいい。
また実験から算出した実容量は、表示容量6,600mAhに対して4,422mAhで、割合にすると67%となった。実容量率67%という値は高く、これもまた一流メーカークラスといえる。
なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。
項目 | 詳細 |
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バッテリー表示容量 | 6,600mAh |
連続利用時の実用量 | 4,422mAh(67%) |
連続実用量1,000mAh あたりの価格 | 1,131円 |
充電回数(理論値) | Android(1,300mAh):3.4回 Android(1,500mAh):2.9回 Android(1,800mAh):2.5回 Android(2,000mAh):2.2回 Android(2,200mAh):2.0回 Android(2,500mAh):1.8回 Android(3,000mAh):1.5回 iPhone 4S(1,432mAh):3.1回 iPhone 5(1,434mAh):3.1回 iPad 2(6,580mAh):0.7回 iPad 3(11,560mAh):0.4回 ソニー PSP(1,200mAh):3.7回 任天堂 3DS(1,300mAh):3.4回 |
コンセント争奪戦でもスリムで充電しやすい
充電はモバイルバッテリーをコンセントに差し込むだけでいい。これは便利だ。コンセントのプラグは4段階に角度が切り替えられ、USB-ACアダプターよりコンセントへの収まりがいい。
入力電圧はAC100~240Vまで対応しているので、形状変換アダプタさえ用意すれば世界各国で使えるワールドワイド仕様だ。この充電の便利さとコンパクトさは、海外旅行用として強くオススメしたい。
充電中はボタン横にある赤いランプが点灯し、充電完了するとランプが消えるようになっている。マニュアルやWebでは標準的な充電時間の記載がなかったので、実際に時間を測ってみたところ、およそ6時間と45分(3回の平均値)となった。容量6,600mAhなので、標準的な充電時間といえるだろう。
なお繰り返し利用回数は500回で、こちらも標準的なモバイルバッテリーと同じとなっている。
項目 | 詳細 |
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本体充電用コネクタ | AC100Vコンセント差し込み |
添付充電器(仕様) | ワールドワイド仕様(100~240V) |
充電時間(カタログ値) | 表記なし |
充電時間(実測) | 6時間45分 |
繰り返し利用回数 | 500回 |
性能は一流メーカークラス! サイズ・容量・使い勝手がちょうどいい
充電器(ACアダプター)を内蔵しているのにコンパクトで、出力する電圧と電流は、一流メーカー、いや一流メーカー以上に安定している。また6,600mAhの67%を実際に充電に使えるという実容量率の高さ、USBコネクタを2つ持ちスマートフォンの2台同時充電や第3世代iPadを充電できる大出力にも対応できる点も高評価だ。
最近のスマートフォンは内蔵バッテリー容量が増加しているので、2回充電用として標準的な5,400mAhでは2回充電に少し届かない場合がある。そんな2013年発売以降のスマートフォンには、6,600mAhというのはちょうどいい容量といえる。
最近スマートフォンを使い始めた人にも、長年使っている人にもちょうどよく、手軽に便利に使えて高評価が得られるモバイルバッテリーだ。ブランドにこだわりがなく、モバイルバッテリー選びに迷っているなら、筆者は万人向けの本製品を強くオススメする。
メーカー・品名 | 長信ジャパン「enep ACL66U606」 |
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ロスの少なさ | ★★★★☆(4) |
持ち歩きやすさ | ★★★★☆(4) |
単位容量の安さ | ★★★★☆(4) |
充電の早さ | ★★★☆☆(3) |
使い勝手のよさ | ★★★☆☆(3) |