藤山哲人のモバイルバッテリー診断
日立マクセル「mobile VOLTAGE MPC-C5000」
~便利な直結式ケーブル。低ロスで急速充電もできる5,000mAhバッテリー
by 藤山 哲人(2013/5/16 00:00)
今回紹介するバッテリーは、日立マクセルの「mobile VOLTAGE(モバイルボルテージ) MPC-C5000」だ。容量は5,000mAhと、スマートフォンならほぼ2回は充電できる。大きさもスマートフォンと同じようなサイズとなっている。
最大の特徴は、スマートフォンの給電用のMicro USBケーブルと、MPC-C5000に内蔵のバッテリーを充電するUSBケーブルを、本体内に内蔵している点。iPhoneなど、Micro USBに対応していない機種を充電するために、出力2AのUSBポートも付いている。
メーカー名 | 日立マクセル |
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品名・型番 | MPC-C5000RE |
バッテリー容量 | 5,000mAh |
繰り返し利用回数 | 説明書に記載なし |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 69×115×20mm |
重量 | 170g |
カラー・モデル | ブラック、レッド、イエロー |
販売価格 | 4,580円(yodobashi.com) |
対応スマートフォン | Android:○(本体直結ケーブル) iPhone:○(本体USBコネクタ) iPad:○ |
・実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わる点にご注意ください。 ・実験結果は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません。 ・実験結果に基づいた実容量やロス率は、その値を保障するものではありません。 ・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません。 |
スマートフォンを2回フルチャージ。ケーブルいらずで携帯性◎
まずは、内蔵バッテリー1,800mAhのスマートフォン(ARROWS X F-10D)を充電してみた。当連載の実験環境、実験器具については、別のページでご確認いただきたい。[→連載「モバイルバッテリー診断」の性能チェック方法]
ここで便利だったのが、充電用のMicro USBケーブルが直結な点。ケーブルを探す手間もなく、どこかに忘れてしまうこともない。
ただ、充電中にスマートフォンとモバイルバッテリーを重ねて置くには少し短い。移動中にポケットに入れて充電したい場合は、機器に同梱のケーブルを使う方が良さそうだ。
・スマートフォン充電テストの結果
充電回数「2回 +10%」(3,690mAh相当)
※測定条件は、WiFi:ON、Bluetooth:ON、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリ「Battery Mix」にて容量変化を記録
この出力用USBコネクタと、本体直結式のMicro USBコネクタは、同時利用も可能。合計で最大2Aまで利用できる。スマートフォンなら、2台同時に約1Aの急速充電ができる。
若干使いづらさを感じるのは、バッテリー残量計が2段階と大雑把な点だ。30%までは緑、それ以下ではオレンジに点灯するようになっている。2回以上充電できるスマートフォンでは、あと1回フル充電できるか否か? の判断がつきづらい。
項目 | 詳細 |
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USBコネクタ数 | 2口(USB+直結式Micro USB) |
USB最大電流 | Micro USBコネクタ:1A USBコネクタ:2A 同時利用の場合は合計で2Aまで |
充電ケーブル(コネクタ) | 本体直結式のMicro USB(スマートフォン充電用) 本体直結式USB(本体充電用) |
残量表示 | 1灯2色式 (1目盛りあたりの容量:100~31%緑 30%以下オレンジ) |
自動電源OFF | 本体電源ON時も有効 40mAでOFFを確認 |
複数台同時充電 | スマートフォン2台:○ スマートフォン+iPad2:○ ただし、合計出力は最大2Aまで |
ロスが少なく、電流・電圧とも極めて安定した優秀なバッテリー
たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。
なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。
測定器(※)でテストした結果、電流、電圧ともに非常に安定しており、性能はかなり優秀といえそうだ。なお表示のバッテリー容量は5,000mAhとなっているが、スマートフォンの充電に利用できるのはおよそ65%の3,300mAh程度(連続利用時)。ずば抜けてロスが少ないというわけではないが、それでもロスの少ない部類に入る。
なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合、カッコ内が内蔵バッテリー容量を示している。
項目 | 詳細 |
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バッテリー表示容量 | 5,000mAh |
連続利用時の実用量 | 3,257mAh(65%) |
連続実用量1,000mAh あたりの価格 | 1,412円 |
充電回数(理論値) | Android(1,300mAh):2.8回 Android(1,500mAh):2.5回 Android(1,800mAh):2.1回 Android(2,000mAh):1.8回 Android(2,200mAh):1.7回 iPhone4S(1,432mAh):2.6回 iPhone5(1,434mAh):2.6回 iPad2(6,580mAh):0.6回 iPad3(11,560mAh):0.3回 ソニー PSP(1,200mAh):3.1回 任天堂 3DS(1,300mAh):2.8回 |
充電機能は標準的だが充電中のキンキン音が気になる
本体内蔵バッテリーの充電時間は、パソコンのUSBコネクタに接続した場合で、フル充電まで20時間とのこと。専用の充電器は内蔵されていないため、できれば2A以上が出力可能なUSB-ACアダプタを別途用意したい。この場合の充電時間は4時間17分。5,000mAhクラスのモバイルバッテリーとしては標準的といえる。
気になったのは、充電時に発生するキンキン音だ。他の製品と比べてもかなり音が大きく、静かな環境では、数m離れていても音が聞こえた。
なお一般的なモバイルバッテリー(に内蔵されているリチウムイオン電池)は繰り返し500回利用できるが、本製品は繰り返し利用回数が明示されていない。
項目 | 詳細 |
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本体充電用コネクタ | 本体直結USB |
添付充電器(仕様) | なし |
充電時間(カタログ値) | 4時間(2A出力USB Acアダプタ利用時) 20時間(PCのUSBコネクタ[0.5A]利用時) |
充電時間(実測) | 4時間17分 |
繰り返し利用回数 | 不明 |
カバンや机の周りにモノが多い人にうってつけのバッテリー
5,000mAhクラスのモバイルバッテリーでも、薄型がほしいという場合にオススメ。特に充電ケーブルが本体直結式になっているので、カバンや机の周りのモノが多く、ケーブルを忘れたり紛失しやすいという人にはうってつけだ。
5,000mAhという表示容量に対して、スマートフォンを実際に充電できる実用量も問題ない。出力も安定しており、総合的に優秀なモバイルバッテリーとしてオススメできる。
メーカー・品名 | 日立マクセル「MPC-C5000」 |
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ロスの少なさ | ★★★★☆(4) |
持ち歩きやすさ | ★★★☆☆(3) |
単位容量の安さ | ★★★☆☆(3) |
充電の早さ | ★★☆☆☆(2) |
使い勝手のよさ | ★★★★☆(4) |