藤山哲人のモバイルバッテリー診断

GSK、2本セットでタブレット用にオススメのモバイルバッテリー

「モバイルバッテリー診断」は、スマートフォンの外部電源として普及しているモバイルバッテリーをレビューするコーナーです。(編集部)
GSK「モバイルバッテリー20000mAh」

 今回紹介するのは、3,000円で買える激安大容量のモバイルバッテリー、GSKの「モバイルバッテリー20000mAh」。Amazonでも高評価のレビューが多く、ちょっと気になる製品だ。

メーカー名GSK
品名・型番モバイルバッテリー20000mAh
バッテリー容量20,000mAh
繰り返し利用回数-
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
140×71×23mm
重量317g
カラー・モデルブラック、ピンク、ホワイト、ブルー、グリーン
実売価格3,000円程度
上部の充電用コネクタ。スマートフォンでよく使われているMicro USBより一回り大きいMini USBコネクタなので注意
下部。USBコネクタが2つある。片方が2.1Aでもう片方が1A出力となっている。合計で最大2.1Aのようだ
天面には、電源ボタンと青い4つのバッテリー残量計がある
底面。出力は2.1Aと1Aになっている

スマートフォン用として使うには少し重すぎ

 20,000mAhと大容量なのはうれしいが、通勤通学など普段使いのモバイルバッテリーとしては重すぎだ。大きさもスマートフォンを2、3台を重ねたのと同じくらいあり、バンドバッグやポーチの中をかなり占有する。

 スマートフォンで使うには重いので、おもにタブレットの充電用でリュックやトートバッグなどに入れて持ち歩くか、クルマなどで移動する人向けになるだろう。

 充電用のUSBコネクタは、2.1Aと1Aの2つを備える。最大出力はマニュアルなどに記載がなかったので、独自に調べてみたところ合計で2.1Aになっているようだ。つまり、タブレットのみの急速充電は可能だが、スマートフォンとタブレットを2台同時に急速充電することはできない。

スマートフォンと比較するとかなり厚くズッシリ重い
スマートフォン充電用のコネクタは、2.1Aと1A出力の2つ。スマートフォンの2台同時の急速充電なら可能だが、タブレットは単体での充電となる

 なお、スマートフォンの充電が完了したり、コネクタに何も接続されていない状態で電源がONになっても、自動的に電源が切れる。無駄な電力を消費しない設計になっている。

 バッテリー残量は4段階で表示される。スマートフォンをだいたい4~5回充電できるので、1灯1回を目安にできるため使いやすい。

電源スイッチは、誤操作防止用に少し凹んでいる。たとえ誤動作しても、オートパワーオフ機能搭載なので電力をムダにすることはない
バッテリー残量は、4段階で確認できる。スマートフォン1回の充電が残量計1灯になる

 カラーバリエーションは豊富で5色用意されている。

 お買い得感があるのはiPhoneユーザーだろう。iPhone用のLightning充電ケーブルは純正品だと2,000円くらいするが、本製品には添付されてくる。

コネクタ差し替え式のケーブル。長さは約20cm
スマートフォンの充電にも利用できるが携帯性はイマイチだ

ややロスが多く表示容量15,000mAh相当の製品

 このバッテリーは大容量なので、スマートフォンを何回充電できるかを実際に試すのが難しい。そこで独自の測定器を用いて、連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化や、スマートフォンに充電できる実容量を測定した。

【スマートフォン充電(出力)スペック】
項目詳細
USBコネクタ数2
USB最大電流2.1A
充電ケーブル
(コネクタ)
Micro USB/Mini USB、Dock、Lightning(コネクタ差し替え式)
残量インジケータ1色4灯式
自動電源OFF本体電源ON時も有効
40mAでOFFを確認
同時充電スマートフォン2台:○

 なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。

 まず製品の安定性の指標となる電圧と電流のグラフを見てみよう。

連続電圧変移

 20,000mAhと大容量なので、8時間半以上のグラフになっているが、その間の電圧は5.0Vを維持し、とても安定している。

連続電流変移

 電流は、ときどきガクリと落ち込むときもあるが、おおむね900mA以上で安定している。安定性は「並」レベルだろう。

 さて、この結果を元に、実際にスマートフォンを充電できる実容量を計算したみたところ、8,298mAh(41%)となった。一般的なモバイルバッテリーは、6割程度はあるので、本製品はロスが多い部類に入る。

実容量ロス率

 なお、各種スマートフォンやタブレットをおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。

【実用量と各種スマートフォンの充電回数予測】
項目詳細
バッテリー表示容量20,000mAh
連続利用時の実用量8,298mAh(41%)
連続実用量1,000mAhあたりの価格362円
充電回数(理論値)Android(1,800mAh):4.6回
Android(2,000mAh):4.1回
Android(2,200mAh):3.8回
Android(2,500mAh):3.3回
Android(3,000mAh):2.8回
iPhone4s/5/5s/5c(1,500mAh):5.5回
小容量タブレット(6,000mAh):1.4回
大容量タブレット(12,000mAh):0.7回
iPad mini(6,471mAh):1.3回
iPad(11,560mAh):0.7回

フル充電には2AのUSB-ACアダプタを利用しても14時間半かかる

 大容量バッテリーは、充電時間が使い勝手を大きく左右する。20,000mAhクラスになると、専用の急速充電用ACアダプタなどを付属する製品もあるが、本製品にはUSB-ACアダプタが同梱されていなかった。そこで、2A出力できる市販品を利用して、実際に充電してみた。

2A出力のUSB-ACアダプタを利用しても、充電に14時間半かかる
充電用コネクタは、Mini USBコネクタ。一般的なモバイルバッテリーより一回り大きなコネクタとなっているので注意して欲しい

 3回の平均を取ったところ、充電時間は14時間半。これだけ充電に時間がかかると一晩では足らず、帰宅してから充電しても翌日出かけるときにまだ充電しているということになりかねない。

 毎日、タブレットの充電用に使うなら、価格が安いので2セット購入して、交互に使うと効率がいいだろう。

 また、多くのモバイルバッテリーでは、充電用コネクタはスマートフォンと同じMicro USBコネクタを採用しているが、本製品はMini USBコネクタとなっている。付属のケーブルを利用すれば問題ないが、ケーブルを紛失した場合などには注意が必要だ。

【本体充電スペック】
項目詳細
本体充電用コネクタMini USB
付属充電器(仕様)なし
充電時間(カタログ値)15~18時間
充電時間(実測)14時間27分
繰り返し利用回数-

タブレット充電用に色違いの2つセットを購入するのがベスト

タブレットは、ほぼ1回フル充電できる

 このモバイルバッテリーは、タブレットユーザー向き。スマートフォンなら4~5回ほど充電できるが、重さやサイズが携帯向きではない。

 また、20,000mAhと大容量だがロスも多く、スマートフォンを充電できる電力は実質15,000mAhクラスと変わらない。

 なお、充電時間が14時間以上かかるため、業務でタブレットを使うヘビーユーザーは、充電が間に合わないケースがある。こんなときは2セット同時購入して、交互に充電と利用を繰り返すといいだろう。

【総合評価】
メーカー・品名GSK モバイルバッテリー20000mAh
ロスの少なさ ★☆☆☆☆(1)
持ち歩きやすさ★★★★☆(4)
単位容量の安さ★★★★★(5)
充電の早さ  ★☆☆☆☆(1)
使い勝手のよさ★★☆☆☆(2)

藤山 哲人