藤山哲人のモバイルバッテリー診断
ETAL「瞬速2200」
~たった15分でフルチャージになる超高速充電バッテリー
by 藤山 哲人(2014/4/18 07:00)
モバイルバッテリーの充電時間は、普通は早くても数時間はかかる。しかし充電時間の短縮に特化し「フルチャージまで15分」という製品が登場した。それが今回紹介するETALの「瞬速2200」だ。
容量2,200mAhというと、最近の大容量バッテリーを内蔵したスマートフォンを1回するには少し足りないが、とっさの電池切れや従来型のフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)には都合がいい。
特徴的なのは、リン酸鉄リチウムイオン電池を使っているという点。一般的な製品では、「リン酸鉄」がつかない(コバルト酸やマンガン)リチウムイオン電池を使っているが、本製品では安全性が高く繰り返し利用回数が倍の1,000回という電池を使っている。ただ弱点もあり、一般的なリチウムイオン電池のように大電流が出力できずパワフルさにかけるという面がある。
瞬速2200の大きさや重さ、デザインは、まさにフィーチャーフォンにそっくりで、遠目には区別がつかないほどだ。
詳細は後述するが、添付の充電器はスタンド状になっていて、ワンタッチで充電器にかけられ15分で急速充電できる。再びワンタッチで手に取り持ち出せる充電の利便性はモバイルバッテリーの中で最高峰に値する。
メーカー名 | ETAL |
---|---|
品名・型番 | 瞬速2200 |
バッテリー容量 | 2,200mAh |
繰り返し利用回数 | 1,000回 |
サイズ (幅×奥行き×高さ) | 48×115×14mm |
重量 | 97g |
カラー | ホワイトのみ |
実売価格 | 4,980円程度 |
2,000mAh以下のAndroidやiPhoneをほぼ1回充電できる
まずは内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォン(ARROWS X F-10D)を実際に充電してみたところ、およそ77%充電できた。3,000mAhクラスの大容量バッテリー内蔵しているスマートフォンでは心もとないが、2,000mAh以下であればほぼ1回充電できるだろう。
出力できる電流はマニュアルでは500mAとなっていた。スマートフォンの急速充電には、1,000mA(=1A)必要になるため、低速充電しかできないはずだが、実際に充電してみるとスマートフォンは急速充電モードに入り、モバイルバッテリー側の過電流(出力オーバー)保護回路も動作しなかったので、1,000mAの出力ができるようだ。
なおケーブルさえ用意すれば、フィーチャーフォンも問題なく充電できる。こちらは充電に1,000mAも必要ないので、マニュアル上のスペックで十分だ。
【スマートフォン充電テスト】
・スマートフォン充電テストの結果
充電回数「80%」(1,386mAh相当)
※測定条件は、WiFi:ON、Bluetooth:ON、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリ「Battery Mix」にて容量変化を記録
添付のケーブルは20cmのUSB-Micro USBコネクタとなっており、スマートフォンと重ねて充電するのにちょうどよい長さ。コンパクトで軽いので、男性ならスーツのポケットにスマートフォンと一緒に入れて充電もできる。シンプルなデザインなので、女性が持っていてもまったく違和感がないだろう。
またLED懐中電灯機能もあり、暗闇の中で充電する場合などで便利に使える。スイッチは押しボタン式になっており、スマートフォンが接続されていないときや、充電が完了した場合は、自動的に電源が切れるようになっているのでムダがない。短く押すと残量確認、長押しで電源ON・OFF、ダブルクリックでLED懐中電灯のON・OFFとなっている。
項目 | 詳細 |
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USBコネクタ数 | 1 |
USB最大電流 | 500mA |
充電ケーブル (コネクタ) | Micro USB - USB |
残量インジケータ | 2色3灯式 |
自動電源OFF | 本体電源ON時も有効 40mAでOFFを確認 |
実容量率は低めだが安定した出力
たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、スマートフォンに充電できる実容量を測定した。マニュアルでは500mAの出力とあったが、数台のスマートフォンでためしたところ、いずれも1Aの急速充電モードで問題なく充電できたので、テストでは500mAではなく1Aを出力させている。
なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。
独自の測定器でテストした結果、電圧・電流ともに安定しているようだった。
電圧は5.2Vと少し高めだが、USB規格の範囲に収まっているので問題ない。電流はマニュアルでは500mA出力とあるものの、950mAを中心に安定した出力となっている。この出力は1A出力を謳っているモバイルバッテリーよりも高い値だ。
これらの実験からスマートフォンの充電に使える実容量を計算したところ、表示容量の2200mAhのうち1,224mAh、およそ56%が使えるようだ。実容量率は標準的なモバイルバッテリーと同等と見ていいだろう。
なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。
項目 | 詳細 |
---|---|
バッテリー表示容量 | 2,200mAh |
連続利用時の実用量 | 1,224mAh(56%) |
連続実用量1,000mAh あたりの価格 | 975円 |
充電回数(理論値) | Android(1,300mAh):1.1回 Android(1,500mAh):0.9回 Android(1,800mAh):0.8回 Android(2,000mAh):0.7回 Android(2,200mAh):0.6回 Android(2,500mAh):0.6回 Android(3,000mAh):0.5回 iPhone 4S(1,432mAh):1.0回 iPhone 5(1,434mAh):1.0回 ソニー PSP(1,200mAh):1.2回 任天堂 3DS(1,300mAh):1.1回 |
充電の便利さはモバイルバッテリー随一
「瞬速2200」最大の特徴は、その充電時間の早さと便利さだ。専用のACアダプタは12V 3.3Aとパワフルなものが添付されており、専用のクレイドル(充電台)に片手でかけるだけで充電できる。またクレイドルは重くどっしりしているので、モバイルバッテリーを立てかけておいてもしっかり安定する。
実際に充電してみたところカタログスペックどおり、ぴったり15分で充電できた。短めの食事や休憩中に充電するだけで、スマートフォンを8割がた充電できるというのは他に例を見ないので、忙しいヒトには便利に使えること間違いない。
項目 | 詳細 |
---|---|
本体充電用コネクタ | Micro USB |
添付充電器(仕様) | 小型 USB-ACアダプタ(5V/1A) |
充電時間(カタログ値) | 15分(クレイドル使用時) |
充電時間(実測) | 15分 |
繰り返し利用回数 | 1,000回 |
社内を忙しく走り回るようなスタイルにピッタリ
フルチャージまで15分というのが本製品の特徴。外回りの営業職までは行かないまでも、ほとんど自分のデスクにいることはなく、社内で調整に走り回っているようなスタイルで役立つ。
内蔵バッテリーが2,000mAh未満のAndroid系、iPhone系、従来型のフィーチャーフォン(ガラケー)に最適なモバイルバッテリーになるだろう。
メーカー・品名 | ETAL「瞬速2200」 |
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ロスの少なさ | ★★★☆☆(3) |
持ち歩きやすさ | ★★★★☆(4) |
単位容量の安さ | ★☆☆☆☆(1) |
充電の早さ | ★★★★★(5) |
使い勝手のよさ | ★★☆☆☆(2) |