藤山哲人のモバイルバッテリー診断

アクト・ツー「MiPOW Power Tube SHAKE 2600」

~カラバリ10色! カラフルなスティック型バッテリー

「モバイルバッテリー診断」は、スマートフォンの外部電源として普及しているモバイルバッテリーをレビューするコーナーです。(編集部)
アクト・ツー 「MiPOW Power Tube SHAKE 2600」

 今回紹介するのは、古くから数々のスティック型のモバイルバッテリーをリリースしているアクト・ツーのMiPOWシリーズ。中でもシェイクするとバッテリーの残量確認ができる「Power Tube SHAKE 2600」だ。容量は2,600mAhで、スマートフォンをだいたい1回充電できる程度となっている。

メーカー名アクト・ツー
品名・型番MiPOW Power Tube SHAKE 2600
バッテリー容量2,600mAh
繰り返し利用回数500回
サイズ
(直径×長さ)
23.5×92mm
重量148g
カラーネイビーブルー/グレー/ゴールド/シルバー/ライトブルー
/ピンク/ブラック/レッド/グリーン/パープル
実売価格4,000円程度

 Power Tubeの特徴は、ボディーがオールアルミ製で、カラーバリエーションが多く、その発色が高級感にあふれ非常にきれいという点だ。通常アルミに色をつける場合は、透明な赤や青の塗料を塗るものだが、Power Tubeは金属のアルミに色を染み込ませるアルマイト加工になっている。

(上部)中央が出力コネクタ、それを囲む白い部分が残量表示ランプ
(上部から見て右)両端がキャップのようになっているが取り外しはできない
(下部)入出力のスペック表示がある
(上部から見て左)円柱なので左右は同じシルエット

 またバッテリーをシェイク(振る)と残量が確認できるという点も少し変わっていてオシャレだ。残量表示にも凝った演出があり、バッテリーの円筒形上部が4色(4段階)でぼんやり光るようになっている。

カラーはこの10色。アルミの質感を保ったまま染色されたアルマイト加工で美しい
シェイクするとバッテリー残量を確認できるが、カバンから取り出したときにはすでにランプが点灯しているのが残念
ポーチと専用のケーブルが添付されている

 なお出力コネクタは、ヘッドホンのコネクタのような形状をした特殊なものとなっており、添付されているスマートフォンに合わせたコネクタのケーブルを差し込むようになっている。

■■注意■■

・実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わる点にご注意ください。
・実験結果は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません。
・実験結果に基づいた実容量やロス率は、その値を保障するものではありません。
・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません。

スマートフォンがちょうど1回充電できる

充電の実測テストに利用した、2012年夏モデルの富士通製ARROWS X F-10D。内蔵バッテリー容量は1,800mAh

 まずは内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォン(ARROWS X F-10D)を実際に充電したところ、90%充電できた。小型ながらも1Aの出力ができるので、スマートフォンの急速充電にも対応している。

・スマートフォン充電テストの結果
充電回数「2回」と「90%」(4,086mAh相当)
※測定条件は、WiFi:ON、Bluetooth:ON、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリ「Battery Mix」にて容量変化を記録

 スマートフォンを充電する添付ケーブルは4種類あって、バッテリーの出力コネクタとMicro USB、Mini USB、AppleのDockコネクタとなっている。これ以外はUSBのメスコネクタを接続して、そこにLightningケーブルなどを接続する。

 バッテリーの出力コネクタがUSBコネクタになっていないので、不便さを感じる人もいるかもしれない。その場合、USBメスコネクタを持って歩けば、一般的なモバイルバッテリーと同じ使い勝手になる。ケーブルの長さは10cmと短めだが、スマートフォンとモバイルバッテリーを重ねてポケットの中で充電するにはちょうどいい長さだ。

 またケーブルとバッテリーをまとめられる、小さなポーチも付属されていて便利に使える。この手のポーチは安っぽいのが常なのだが、本体がオシャレなこのバッテリーに限っては、ポーチも恥ずかしくない作りになっている。

スマートフォンの充電ケーブルはこの4本。左からMiniUSB、AppleのDock、MicroUSB、USB(メス)
LightningケーブルなどはUSB(メス)コネクタを経由して接続する
ポケットや小さいハンドバッグにも滑り込ませられるコンパクトサイズ

 さてこのバッテリーには、電源スイッチの類はなく、スマートフォンを接続すれば電源がONになり充電が開始され、外せばバッテリーの電源が切れるようになっている。またスマートフォンが100%まで充電できると、自動的に電源が切れる(40mA流れる状態で電源OFFを確認)ようになっている。

 マニュアルにも特に記載されていなかったが、注意すべき点が1つある。それは充電用のケーブルをバッテリーに挿しっぱなしにしないことだ。ヘッドホンなどで経験がある人も多いと思うが、この形状のジャックを挿しっぱなしにしておくと、機器側のコネクタにもジャック側にも力がかかり、コネクタ破損や断線する。特にカバンの中で他のものと当たってしまうような場合は、必ずケーブルを抜いて置くことをオススメする。

【スマートフォン充電(出力)スペック】
項目詳細
USBコネクタ数1
USB最大電流1A
充電ケーブル(コネクタ)専用-MicroUSB/MiniUSB/Dock/USBメス
残量インジケータ4色1灯式(青:70%以上、緑:40%以上、オレンジ:15%以上、赤:10%以下)
自動電源OFF本体電源ON時も有効
40mAでOFFを確認

バッテリーとしての性能は標準的

 たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。

 なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。

電圧は4.6V程度で安定している
電流は800mAを中心とした出力になっている

 独自の測定器でテストした結果、実用上では全く問題ないが、やや電圧が低め、電流も低めで少し不安定という感じだ。

 まず電圧は、5.0Vあるべきところが1割ほど少なく4.6V程度で安定している。電流を見てみると、一般的なモバイルバッテリーは850~900mAを出力するが、やや低めの800mAを中心した出力になっている。

 実際にスマートフォンを充電している分には、急速充電が解除されたりといったことはなく、数値を見ると少なめというだけの問題だ。

 一方2,600mAhという表示容量に対して、実際にスマートフォンに充電できた容量は62%(1,619mAh)となった。62%という実容量率は、モバイルバッテリーとしては標準的な割合だ。

実容量率は62%で標準的だ

 なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。

【実用量と各種スマートフォンの充電回数予測】
項目詳細
バッテリー表示容量2,600mAh
連続利用時の実用量1,619mAh(62%)
"連続実用量1,000mAh
あたりの価格
2,470円
充電回数(理論値)Android(1,300mAh):1.2回
Android(1,500mAh):1.0回
Android(1,800mAh):0.9回
Android(2,000mAh):0.8回
Android(2,200mAh):0.7回
Android(2,500mAh):0.6回
Android(3,000mAh):0.5回
iPhone4S(1,432mAh):1.1回
iPhone5(1,434mAh):1.1回
iPad2(6,580mAh):0.2回
iPad3(11,560mAh):0.1回
ソニー PSP(1,200mAh):1.3回
任天堂 3DS(1,300mAh):1.2回

 2013年以降のスマートフォンは、自分でバッテリー交換ができないかわりに3,000mAhクラスの大容量を内蔵しているものがある。これらスマートフォンに、このモバイルバッテリーは少し容量が不足気味だ。しかし標準的な2,000mAhクラスのスマートフォンや、iPhoneなどにはピッタリのモバイルバッテリーといえる。

午前中つかっても午後にはフルチャージOK

 一般的なモバイルバッテリーは、充電用のコネクタを持っているが、この製品は出力と充電コネクタが兼用となっている。モバイルバッテリーを充電する場合は、専用-USBケーブルを接続して、USB ACアダプタに接続する。

テストでは2A出力できるUSB ACアダプタを使った

 充電に必要な電流は1Aなので、USB ACアダプタは1.5A以上のものを選ぶといいだろう。

 充電時間はカタログでは4時間となっていたが、実際に2A出力のACアダプタを利用したところ、スペックどおりの3時間56分で充電できた。この時間で1回ぶんの充電ができれば、午前中に一度使い切ってしまっても、会社や学校で再度充電し、帰りにまた使える状態にできる。

【本体充電スペック】
本体充電用コネクタ専用-USBケーブルを利用
添付充電器(仕様)なし
充電時間(カタログ値)4時間
充電時間(実測)3時間56分
繰り返し利用回数500回

小さなバッグに入れてもかさばらないオシャレバッテリー

 10色ものカラーバリエーションがあるモバイルバッテリーはMiPOWシリーズ以外にあまり見かけない。高級感あふれるアルミボディーに美しいアルマイト加工のモバイルバッテリーとお使いのスマートフォンでトータルコーディネイトしてはどうだろう?

 最近の3,000mAhクラスの大容量バッテリーを内蔵するスマートフォンには容量不足だが、標準的な2,000mAhクラスの内蔵バッテリーを持つスマートフォンやiPhoneシリーズを1回フル充電できるモバイルバッテリーとしてオススメだ。

【総合評価】
メーカー・品名act2 MiPOW Power Tube SHAKE 2600
ロスの少なさ ★★★☆☆(3)
持ち歩きやすさ★★★★★(5)
単位容量の安さ★☆☆☆☆(1)
 充電の早さ ★★★★☆(4)
使い勝手のよさ★★★★☆(4)
 評価項目 悪← →良

藤山 哲人