藤山哲人のモバイルバッテリー診断

バッファロー「BSMPB04」【訂正版】

~高性能・高効率なのに低価格。でもちょっとクセあり

「モバイルバッテリー診断」は、スマートフォンの外部電源として普及しているモバイルバッテリーをレビューするコーナーです。(編集部)
バッファロー「BSMPB04」

 5,000mAhクラスのモバイルバッテリーというと、石鹸ほどのサイズの製品が多いが、今回紹介するバッファローの「BSMPB04」(5,200mAh)は、細長のスリムタイプになっている点が特徴だ。

 スマートフォンがほぼ2回充電できるうえ、実売価格も2,500円程度と安い。しかも、最大出力は2ポート合計で2A(2,000mA)あり、第3世代iPadの充電にも対応する。

メーカー名バッファロー
品名・型番BSMPB04BK
バッテリー容量5,200mAh
繰り返し利用回数500回
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
42.4×100.7×23.9mm
重量140g
カラー・モデルブラック/ホワイト
販売価格2,500円程度
対応スマートフォンAndroid:○
iPhone:○
iPod:○
iPad:○
その他、USB充電対応のデジカメ、ゲーム
本体上部。USBコネクタは2つある。珍しい機械式のスライドスイッチだ
本体上部から見て右側。とくに何もない
本体天面。ブルーに光る4灯のバッテリー残量計があほか他、バッファローのサプライ製品ブランド「iBUFFALO」のロゴが印刷されている
本体下部にはスペック表記がある
本体上部から見て左側。こちら側サイドもとくに何もない
本体底面には何もない
■■注意■■

・実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わる点にご注意ください。
・実験結果は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません。
・実験結果に基づいた実容量やロス率は、その値を保障するものではありません。
・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません。

USBコネクタ2基搭載で最大2A出力が可能。ただし電源OFFは手動

 同梱のケーブルは15cmほどと短いが、スマートフォンと重ねてポケットに入れて充電するにはちょうどいい長さ。Yシャツのポケットは重さがあるため難しいかもしれないが、ズボンのポケットくらいなら大丈夫。カバンに入れて使うには、もう少し長めのケーブルが欲しいところだ。

スマートフォンと重ねるのには、ちょうどいい長さのケーブルが付属する
カバンに入れて使うには、ケーブルは短すぎるかもしれない

 まずは内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォン(ARROWS X F-10D)を実際に充電してみた。スマートフォンの充電回数は、2回ジャストといった感じだ。

・スマートフォン充電テストの結果
充電回数「2回」と「10%」(3,834mAh相当)
※測定条件は、WiFi:ON、Bluetooth:ON、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリ「Battery Mix」にて容量変化を記録

 USBコネクタは2つある。片側に「Apple」もう片側に「Android」と刻印されているが、筆者が調べた限りでは、出力電流などに違いはなかった。出力できる最大電流は、2ポート合計で2Aとなっているので、第3世代iPadの充電も可能。また通常のスマートフォンなら2台同時の急速充電もできるパワフルさを持っている。

 バッテリー残量計は、ブルーのLED4灯となっており、25%刻みで読み取れる。電源ON時には、常に残量が表示されるので電源の状態と残量をひと目確認でき便利だ。

【お詫びと訂正】初出時、バッテリー残量計について、事実と異なる記述がありました。上記の通り訂正し、お詫びさせていただきます。

 電源スイッチは使いにくい。オモチャなどで使われているシンプルなスライドスイッチを採用しているため、スマートフォンを充電し終えても電源が自動で切れない。そのため、充電後はモバイルバッテリーの電源を手動でOFFにする必要がある。上手に使うには、スマートフォン側に充電管理アプリをインストールして、充電完了したら音声でお知らせする、などの工夫が必要になる。何も充電していないのにスイッチを入れたままで、電源が消し忘れ、ということがよくあった。

 価格が安いぶんスライドスイッチの使い辛さをヨシとするか、もう少し高くても押しボタンスイッチでオートパワーオフのある製品にするか。この当たりは好みが分かれそうだ。

USBコネクタにはAppleとAndroidの刻印がある
バッテリー残量はブルーのLED4灯で表示される
スライドスイッチは硬く誤操作はないが、充電完了後に自動でOFFにできない。一般的な押しボタンに比べると少し不便さを感じる
【スマートフォン充電(出力)スペック】
項目詳細
USBコネクタ数2
USB最大電流2ポート合計で2A(2,000mA)
充電ケーブル (コネクタ)Micro USB - USB
残量インジケータ1色4灯式
自動電源OFFなし
同時充電スマートフォン2台:○
スマートフォン+iPad2:○
ただし、合計出力は最大2Aまで

安定した電圧に、69%という極めて高い実容量率は魅力

 たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。

 なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。

電圧は5.0Vで微動だにしない
電流は900mAを中心に±50mAのフレ(幅)がある。時折50mAを越えているところもあるが、標準的な安定性と言っていいだろう

 独自の測定器でテストした結果、電圧は微動だにしない、安定した5.0Vを出力する。電流は900mAあたりを中心に、始終±50mAのブレが見られるが、実用上はまったく問題ない。

 注目すべきは、実際にスマートフォンへ充電できる実容量だ。表示容量5,200mAhのうち、69%(3,570mAh)がスマートフォンの充電に使える。これはかなり高い数値だ。

実際に給電できる実容量は、表示容量の69%に当たる3,570mAh。かなり優秀な数値だ

 なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合、カッコ内が内蔵バッテリー容量を示している。

【実用量と各種スマートフォンの充電回数予測】
項目詳細
バッテリー表示容量5,200mAh
連続利用時の実用量3,570mAh(69%)
連続実用量1,000mAh あたりの価格700円
充電回数(理論値)Android(1,300mAh):2.9回
Android(1,500mAh):2.6回
Android(1,800mAh):2.1回
Android(2,000mAh):1.9回
Android(2,200mAh):1.7回
Android(2,500mAh):1.5回
Android(3,000mAh):1.3回
iPhone 4S(1,432mAh):2.7回
iPhone 5(1,434mAh):2.7回
iPad 2(6,580mAh):0.6回
iPad 3(11,560mAh):0.3回
ソニー PSP(1,200mAh):3.2回
任天堂 3DS(1,300mAh):2.9回

充電性能は標準的。別売のUSB-ACアダプタは2Aのものを

 パッケージには専用充電器が同梱されていなかったので、最大2A出力できるUSB ACアダプタを利用して充電した。カタログ上では充電に7時間かかるとあったが、実際にはおよそ6時間10分だった。5,000mAhクラスの製品としては遅くもなく早くもなく、極めて標準的といえる。

 充電時に必要な電流は5V 1Aとなっている。別途USB ACアダプタを購入する場合は、余裕をもって2A出力できるものを選ぶといいだろう。なお繰り返し利用回数は500回で、一般的なモバイルバッテリーと同じだ。

【本体充電スペック】
項目詳細
本体充電用コネクタMicro USB
添付充電器(仕様)なし
充電時間(カタログ値)7時間
充電時間(実測)6時間10分
繰り返し利用回数500回

文句なしの高性能だが、電源スイッチに難あり。アプリでカバーしたい

 安定した電圧、2Aまで出力できるパワフルさ、実容量率の高さと非常に高性能で安いモバイルバッテリーだ。しかし、コストダウンした分だけ、電源スイッチの部分で使いづらいクセがあるのも事実。バッテリーアプリを自分でインストールして、設定をカスタマイズして不便さをカバーできるスキルがある人向けと言っていいだろう。

 なお、まったく同じ形状で容量も5,200mAhと同じでありながら、出力が2ポート合計で1.6A(1,600mA)の「BSMPA04」という製品もある。型番もそっくりだが、2A出力できるのは「BSMPB04」。購入時には注意していただきたい。

【総合評価】
メーカー・品名バッファロー「BSMPB04」
ロスの少なさ ★★★★☆(4)
持ち歩きやすさ★★★★★(5)
単位容量の安さ★★★★★(5)
 充電の早さ ★★★☆☆(3)
使い勝手のよさ★★★★☆(4)

藤山 哲人